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10/12 (土)

ビジネス会食を成功させる、お店選びのコツと気配りすべきポイント

取引先をもてなすビジネス会食。どんなお店を選ぶかで、あなたや所属する組織・企業に対する取引先の評価は大きく変わってきてしまいます。今回は、マナーコンサルタントの西出ひろ子さんに、ビジネス会食を成功に導く、お店選びのポイントやコツを教えていただきました。

ビジネス会食とは? 接待とはどう違う?

“客をもてなす”という意味の“接待”。一般的にビジネスシーンで取引先の相手をもてなすことに使われています。一方、“会食”とは、“人が集まって食事をすること”を意味します。どちらも、今までの付き合いに感謝し、今後も良好な関係を維持することを目的に相手をもてなすことには変わりありません。
「接待やビジネス会食の最終目的は、今後も良好なお付き合いが続くことです。そのためには、相手に心地よく喜んでいただけるお店選びを心掛けましょう。 “選んだお店=自社”という評価になることを意識して、準備をしましょう」(西出さん:以下同)。

お店選びの担当を任されて、まず明確にすることとは?

大切なビジネス会食のセッティングを任されたら、何から始めればいいのでしょう。
「まず予算を確定させます。予算をどのくらいに設定するのか、それによってお店の格が決まってきます。それから、周りを気にせずに話ができ、なおかつ特別感も演出できるように、個室があるお店を選ぶといいですね。座敷の場合、正座で立ったり座ったりが大変なので、掘りごたつ式のテーブルがある店や、和室でもテーブル席のお店を選ぶと喜ばれます」。

お店選びの際に役立つ、相手の情報とは?

お店選びには、相手の好みなどを反映させることも大切です。ゲストのどんな情報を知っているといいのでしょう。
「最低限聞いておいた方がいい情報は、苦手な料理のジャンルや食材、控えている食材やアレルギーの有無です。せっかくの高級料理でも、相手の苦手なものであるほか、アレルギーや食事制限(塩分・糖分)などがあって食べてもらえなかったら意味がありません。このほか、好きな料理のジャンルや食材、飲みものの好みや、喫煙の有無、来店する時に社用車でくる場合は、駐車場の有無などを確認しておくと万全です。聞きづらい場合は、秘書や後輩の方を介して伺うとスマートです。もちろん、直接聞けるのであれば、それでもOKです」。

ビジネス会食の設定時間について

ビジネス会食といえば、夕食の席を思い浮かべがちですが、ランチタイムでも良いのでしょうか。
「最近の傾向としては、夜はそれぞれにプライベートを楽しむ時間という考えがあり、夜の会食は減ってきています。先述の通り、ビジネス会食の目的は、今後も良好なお付き合いが続くこと。会食を行う時間帯によって格が決まるということもないので、ランチタイムでの会食でも問題ありません。時間帯は関係ないと考えて良いと思います。またコロナ前から、ロンドンのビジネスマンたちの間では、アフタヌーンティーで商談することが流行っています。男性でもスイーツ好きな方は多いですし、シャンパンなどのアルコール提供もありますから、今後のビジネス会食ではアフタヌーンティーも選択肢の一つとしておすすめです」。

お店選びのポイントと、予約方法は?

実際にお店を選ぶ際、個室のほかに、どんなことを重視して選ぶといいのでしょう。
「ご招待するにあたって、ポイントは2つあります。一つは、駅から近いなど、アクセスの良さです。ゲストが出てきやすいエリアを選びましょう。もう一つは、普段なかなか行けないようなワンランク上のお店を選ぶことです。ちょっとご褒美的なお店や、予約がとれない話題のお店などを選ぶと、招待される側も大切に扱われている印象をもってもらえると思います」。

ビジネス会食を成功させるためには、できれば予約前に下見に行くのも大切といいます。
「特に初めて利用するお店の場合は、可能であれば、一般客として来店し下見をすると安心ですね。料理の味はもちろんのこと、店の場所がわかりにくくないか、個室から声が漏れていないかどうか、トイレや喫煙所の位置、スタッフの態度などを確認し、自分が納得できるお店であれば当日余裕をもってもてなすことができるでしょう」。

では、お店を訪問する時間の余裕がない、予約が取れない等で下見が難しい場合はどうすればいいでしょう。
「その場合は、電話で聞いて問題ありません。予約するかどうかの判断のためなので、先にいろいろ聞くことは悪いことではありません。そのときのお店の対応も判断基準になると思います。飲みものや料理の種類、料理を出すタイミングや、食事が始まってから食べ終わるまでにかかる時間、客層や個室の音漏れの有無のほか、傘の貸出があるかどうかなどを確認すると万全です」。

予算や料理の味、過ごしやすさ等の条件をクリアした店が見つかったら、いよいよ予約です。その際はお店にはどんな情報を伝えると良いのでしょうか。
「日時と人数、個室の予約、コース、ゲストのNG食材のほか、ビジネス会食であることを伝えるとお店の方も理解してくれると思います」。

ビジネス会食を成功させる秘訣

ビジネス会食は、当然ながら予約が済んだら終わりではありません。ゲストに良い時間を過ごしてもらうために知っておきたい、事前の心配りもお聞きしました。
「ビジネス会食を成功させるためには、相手にどれだけ楽しんでもらえるかが重要です。それにはコミュニケーションが非常に大切になってきます。ビジネス会食の第一印象をよくするためにも、メール等での事前連絡を丁寧にすることを心掛けてください。日時やお店の名前、公式ホームページアドレス、お店のアクセス方法のほか、場所が分かりにくい場合は、目印となるポイントや迷わないための行き方を明記し、『何かありましたら、こちらにご連絡ください』と、当日にやり取りができる連絡先(自分の携帯電話番号等)を知らせます。そして、『当日、お会いできることを楽しみにしております』とひと言添えるといいでしょう」。

また当日の出迎えについてもお聞きしました。
「出迎えのスタイルもさまざまです。一般的には、お店の個室で待っていれば問題ありません。より丁寧に対応したいと思う場合は、約束の時間の10〜15分前になったら、お店の前でお客様をお待ちするパターンもあります。しかし、お客様によっては、入店前に電話やメール送信をしたい、お化粧室に行きたいなどの事情があるかもしれません。もし店頭で待つ場合は、その旨を一報しておくと先方も心づもりができますね。一見丁寧にみえる振る舞いでも、相手によっては早々に拘束されるのを快く思わないケースがあることを念頭に、相手との関係性に応じて、どのような対応をすれば良いのかを選択してまいりましょう」。

ビジネス会食の成否は丁寧な事前準備にかかっています。そのためには、ゲストやお店に関するリサーチが非常に重要。特にお店の情報は、実際に足を運ばないとわからないことも多いため、出来る限りの下見を心がけましょう。そして、開催前日などにはアナウンスメールを。手間を惜しまず相手を思って準備をした分だけ、お客様にも自分たちにとっても楽しく実りあるひと時が過ごせるはずです。

取材・文/手塚よしこ
イラスト/篠塚朋子

西出ひろ子さん

お話をお聞きしたのは...

マナーコンサルタント。相手の立場に立つ『真心マナー®』をモットーに活動。NHK大河ドラマや映画、CMなどにおける俳優やアスリート、タレントへのマナー指導及び出演の他、皇室関連のマナー取材も多数。書籍監修および執筆も100冊以上と多く、著者累計は100万部を突破。西出さんが伝えるノウハウは日常の生活や仕事で気軽に取り入れられつつも手応えを感じられるもので、納得度の高い内容が人気。
西出ひろ子さんの情報は公式サイト及び、Instagramにて随時更新中。

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