親しい友人や親族の結婚を知ったとき、二人の門出を祝って贈りたい“結婚祝い”。しかし、“結婚祝い”は絶対に贈らなければならないものではないため、いつ、何を贈ればいいのか、 その相場などに迷いがちです。そこで、マナーコンサルタントの西出ひろ子さんに、知っておきたい “結婚祝い”のマナーを教えていただきました。これを読んで、相手に喜んでもらえる結婚祝いを目指しませんか。
結婚祝いとは?
結婚祝いとご祝儀の違いは? 結婚祝いを渡すのはどんな時?
そもそも“結婚祝い”と“ご祝儀”の違いはご存じでしょうか?まず“ご祝儀”から教えていただきました。
「“ご祝儀”とは、結婚や出産などの慶事に対してお祝いの気持ちを表すために贈る金品を意味します。しかし最近では、結婚式や披露宴に出席する際にご祝儀袋に包んで渡す現金を指します」。(西出さん/以下同)。
では“結婚祝い”とは具体的には何を差し、どういった場合に贈るのでしょうか。
「“結婚祝い”は、結婚式や披露宴時に持参するご祝儀以外にお祝いの気持ちとして贈る品や、その代わりとなる金品をさします。贈るシチュエーションとしては、結婚式や披露宴に招待されたけれど出席できない場合や、そもそも結婚式や披露宴を行わない相手に対して贈るほか、特に仲が良い相手であれば結婚式で渡す“ご祝儀”に加えて“結婚祝い”を用意し、お祝いの気持ちを伝えるケースもあります。ですが結婚式で必ず渡す“ご祝儀”に対して、“結婚祝い”は必ず贈らないといけないものではありません。贈るかどうかは、お互いの関係性や贈る側の気持ち次第となります」。
品物?現金?結婚祝いの内容とは
“結婚祝い”は、品物でも現金でも問題ないといいます。
「結婚式やその披露宴に参列や出席する場合、ご祝儀で現金を贈るので、結婚祝いは品物になります。また参列、出席しない場合、結婚祝いとして現金を贈るのは失礼ではありません。いただく側に立って考えてみても、自由に使える現金は喜ばれるはずです」。
結婚祝いの相場
結婚祝いの相場は、贈る相手との関係性や、結婚式に出席する・しない(=ご祝儀の有無)によって異なります。
「結婚式に参列せず結婚祝いのみ贈る場合は、結婚式でご祝儀を渡さない分、その相場は高くなります。結婚式に参列した上で結婚祝いも贈るなら、ご祝儀分も考慮し結婚祝いは下記表の相場内で考えれば良いでしょう。また気を付けたいのは相場より高くならないようにすること。高すぎると相手の負担になりますし、低すぎると失礼になるため、相場を目安に相手との関係性を考慮し決めてまいりましょう」。
結婚祝いの相場は、贈る相手との関係性や、結婚式に出席する・しない(=ご祝儀の有無)によって異なります。
「結婚式に参列せず結婚祝いのみ贈る場合は、結婚式でご祝儀を渡さない分、その相場は高くなります。結婚式に参列した上で結婚祝いも贈るなら、ご祝儀分も考慮し結婚祝いは下記表の相場内で考えれば良いでしょう。また気を付けたいのは相場より高くならないようにすること。高すぎると相手の負担になりますし、低すぎると失礼になるため、相場を目安に相手との関係性を考慮し決めてまいりましょう」。
結婚祝いの品物選び
結婚祝いを品物で贈る場合、避けたい品物があるといいます。
「結婚祝いの品は『相手が希望しない限り、刃物や割れやすいものは“切れる”“壊れる”を連想させるので避けましょう』と言われています。ただ、包丁など実用的なものを相手が希望する場合は、『幸せな人生を切り開いて』などのメッセージを添えて贈れば素敵ですね。また、ふたつ揃ってワンセットとなるペアアイテムを除き、セットのものを贈る際は“割り切れる“を連想させる偶数を避けるのが基本。3つ、5つなど奇数のセットにすると覚えておくと良いでしょう」。
結婚祝いは、二人の新生活に役立つものを選びたいものです。何を選んだらいいか迷ったときは、何が欲しいか相手に聞くのが一番だといいます。
「相手が望むものを贈ることが一番喜ばれます。『結婚祝いを(何名で)贈りたいんだけど、新生活にお役に立つ品物で、まだ揃ってないものはある?』などと聞いてみましょう」。
手渡し?発送? 渡し方のマナー
結婚祝いを渡す場合、手渡しでも配送でもどちらでもいいそうですが、それぞれで気を付けるべきマナーがあるとのこと。
「配送の場合は、お祝いの気持ちを伝えるためにも、手紙やメッセージカードをつけて結婚祝いを送りましょう。その際『ご結婚おめでとうございます』という祝福の気持ちと、『お二人の末永い幸せを祈っております』などの、幸せを願う気持ちを込めるのがポイントです」。
また、現金を贈る場合は必ず新札を用意しましょう。
「結婚祝いに現金を贈る場合は必ず折り目のない新札を用意し、結婚祝い用のご祝儀袋に入れます。そして手渡しする際はふくさを用い、直接渡さない場合は、必ず現金書留で送りましょう」。
のし、水引、表書き、送り主。包装のマナー
結婚祝いを品物で贈る場合、表書きは“寿”か“御祝 御結婚”や“ご結婚御祝”にします。
「結婚祝いののし紙は紅白の結び切りか、これの変型の輪結びを選び、表書きは“寿”または“御結婚御祝”としましょう」。
一方、結婚祝いに現金を贈る場合は、結婚祝い用のご祝儀袋に入れます。
「ご祝儀袋は、金銀または紅白の水引(10本)で結び切りのものを使用します。その際、金額に合ったご祝儀袋を選びます。デザイン性の高いおしゃれなご祝儀袋は友人など、親しい人に贈るのに適していますね」。
“結婚祝い”を贈る時期
結婚祝いは、贈る時期も大切です。結婚式への出欠だけでなく、結婚式そのものの実施状況などさまざまな場合で異なるので、それぞれご紹介します。いずれも新郎新婦に気遣いをさせないことが重要です。
結婚式に出席する場合の、結婚祝いを贈るタイミング
「式の当日にご祝儀をお渡ししますが、それ以外にも結婚祝いの品を贈りたい場合は、挙式の1週間前くらいまでに贈ると良いと言われています。挙式当日に持参するのは新郎新婦の荷物になるので、避けましょう。また、挙式直後も新婚旅行に行くスケジュールを把握しておき、それを避けて贈りましょう。とはいえ、新郎新婦の都合もあります。事前にいつ贈るのが都合が良いかなど、伺える関係であれば教えてもらい、そのタイミングで贈ると安心ですね」。
結婚式に欠席する場合の、結婚祝いを贈るタイミング
「披露宴に招かれたものの出席できないとき、あるいは遠方で直接お祝いを渡せないときは、挙式の1週間前までに贈るのが一般的と言われています。また、このときに参列できないお詫びの言葉とともに、お祝いのメッセージを手書きの手紙で同封すると、あなたの気持ちが伝わるのでおすすめです」。
結婚式に招待されていない場合の、結婚祝いを贈るタイミング
「結婚式に招かれていないものの、それを知り結婚祝いを渡したい場合は、挙式の1週間前までや1週間後~1カ月後くらいまでに、直接渡すか郵送すると良いでしょう。予定されていた結婚式を無事終えてから届くようにすると安心です。式に先立って婚姻届けの提出を済ませている場合はそのタイミングでも良いですね」。
結婚式を実施しない・未定の場合の、結婚祝いを贈るタイミング
「結婚式の実施予定を立てていない、あるいは結婚式を実施しないというカップルには、結婚報告を受けてから1カ月以内に贈ると良いでしょう」。
式後に結婚を知った場合の、結婚祝いを贈るタイミング
「たとえ遅れたとしても、相手に対するお祝いの気持ちを伝えることが最も大切です。結婚式後でも構いませんので、結婚報告を受けてから1カ月以内に贈ると心得ておくと良いですね」。
結婚祝いで避けるべき、NGマナー
結婚祝いを贈る相手から、過去に自分がお祝いをもらっている場合、その金額より低いのはNG
「相手との関係性や当時の年齢など考慮すべきことはありますが、自分が先に結婚して、相手から結婚祝いをいただいたことがある場合、最低限そのときにいただいた金額の分は贈りましょう。そのためにも、いざというときに慌てないように、いただいた金額を忘れずにメモしておくことが大切です」。
メッセージカード等では、“忌み言葉”“重ね言葉”の使用は避ける
「結婚祝いのメッセージには、使っていけない“忌み言葉”があります。忌み言葉とは、“わかれる”“きれる”“おわる”“かえす”“みじかい”“さいご”といった不吉な出来事をイメージさせる言葉のことです。また、結婚のように一度きりのお祝いの場合、くり返すことをイメージさせる“重ね言葉”もタブーです。“重ね重ね”“たびたび”“いろいろ”“ますます”“くれぐれも”“次々”“わざわざ”などといった同じ言葉を繰り返す言葉は避けましょう。それから、区切りや終わりを示す“句読点”も使わないのがマナーです。うっかり使わないように注意しましょう」。
結婚祝いは新郎新婦を祝福する気持ちが一番
大切な人の結婚をお祝いしたい――その気持ちの表れが“結婚祝い”です。もらう側になって考えると、品物は、相手の欲しいものや好みを考え、時間をかけて用意してくれたという気持ちがうれしいですし、現金は、新生活や結婚式に補てんするなど、好きなように使えるため喜ばれます。ですので、マナーやタブーをしっかり知ったうえで、相手のことを考え祝福の気持ちを大切に結婚祝いを選べば、きっと大成功。これからの関係性をより良いものにしていけるはずです。
取材・文/手塚よしこ
イラスト/篠塚朋子