Tokyo

07/13 (土)

退職や異動する人への餞別の品。金額の相場、選び方、渡す際のマナーは?

年度末といえば職場でも別れの季節。人事異動や退職で会社を去る人が増える時期です。そこでお世話になった方に感謝を込めて贈りたい餞別のマナーを、マナーコンサルタントの西出ひろ子さんに伺いました。

安すぎず高すぎない、贈る相手別の金額の相場は?

今までお世話になった人との別れや旅立ちに、これまでの感謝の気持ちと前途を祈る気持ちを込めて贈る金品が餞別です。

餞別の品を贈る際に、まず気になるのが金額の相場。安過ぎず、高過ぎずの丁度良い価格の品物を選びたいものですよね。贈る相手別に考えると上司や先輩に贈る送別品の相場は5000円程度、同僚や後輩には3000円程度が相場となっています。
複数人で贈る場合、高価すぎると相手の負担になりますし、安価すぎると失礼になるので気をつけましょう。

特別感があり思い出にもなる餞別の品の選び方

せっかく贈るのですから、相手には気持ち良く受け取ってもらいたいもの。餞別の品として選んで喜んでもらえるアイテム例を教えてもらいました。

「プレゼントにおすすめなのが名入れグッズです。私は、会社を辞められる方に名入れのお箸を贈ることが多いですね。なかには会社名を入れることもあります。記念品として、思い出してもらえますし、特別感があります。男性上司には、奥様やお子さん、大好きなペットに宛てたものを用意するのも一案です。贈り物の一番大事なことは、相手が喜ぶ顔を思い浮かべながら選ぶことだと思います。餞別には消えモノではないほうが好ましいと言われていますが、たとえばお酒の好きな方に名入れのシャンパンを贈るなどは問題ありません。記念として特別感もあり喜ばれます」(西出さん)
以下に挙げたアイテム例から、喜んでもらえるものを考えてみましょう。

<餞別の品におすすめのアイテム例>

●名刺入れや、ボールペンなどのオフィスグッズ
●名入れマグボトル
●花束、フラワーアレンジメント
●リラックスアイテム、ビューティアイテム
●アクティビティ体験チケット
●食器やインテリア(引っ越す方向け)

なお、部署や関係者みんなで贈る場合、何を選ぶのか、金額はいくらくらいにするのかなどを、事前にしっかり伝えておくことが大切だそうです。

「餞別を贈る際に大切なのは、関係者の皆さんでよく話し合うということです。いつ、だれが、何を贈るのか、しっかりとコミュニケーションをとってみんなが納得する内容にしましょう。誰かが勝手に決めてしまうと、不満を持つ人が出てしまうので、きちんと伝えることがポイントです」(西出さん)

餞別の品として贈ってはいけないNGアイテムは?

選ぶ際に少し意識しておきたいのが、“避けた方が良い”とされてきたアイテムの存在とその理由です。例えば、苦・死を連想させるという理由から櫛やシクラメンが、もっと勤勉にとの意味にとられるという理由から文具や時計・カバンが、またハンカチは手巾(しゅきん)とも表しますがそれが手切れ・縁切りを連想させるという理由から、贈り物には不向きと考えられていました。こういったアイテムは他にもありますが、これらは本当に避けるべきなのでしょうか。

「これらのアイテムは縁起を担ぐために避けた方がいいといわれてきましたが、現代ではこういったことを気にしない人が増えていますし、これらをもらってうれしい人も多いです。避けられていたという知識を知った上で、相手との関係性や相手の好みに合わせて、プレゼントを選びましょう。コロナ禍になって『ニューノーマル(新しい常態)時代』といわれていますが、この新時代は“真時代”と言えます。真時代は選択の時代だと思います。しっかり自分で考えて、何をどうしていくか選んでいく時代。ですから、知識を知った上でどんなものを選ぶかで、その人の真価が問われます。相手が喜ぶもの、贈る側の気持ちが込められたものであれば、どんなものを選んでもいいと思います」(西出さん)。

餞別の品にのし紙は必要か?表書きと水引の種類は?

もう1つ気になるのが、餞別品にかけるのし紙。そもそものし紙はかけた方がいいのか。また、かける場合、表書きや水引の種類にもルールはあるのでしょうか?

「餞別品にのし紙をかけるかどうかは、それぞれです。正式なスタイルで贈りたいと思えば、かける方が良いでしょう。餞別品にかけるのし紙の表書きは、“御礼”が無難です。退職する理由は、定年退職や結婚・ 出産、転職など人によってさまざま。そのため、のしの書き方も“感謝”や“謹呈” “御結婚御祝”などがありますが、“御礼”と記入することで、どんな理由でも対応できます。水引は赤白蝶結びのものが基本。名入れは送り主の名前を入れます。部署で連名の場合は、“代表者名+〇〇部一同”と書きましょう。なお、のし紙は、昔、贈り物に高級品であるあわびを添えて贈っていたというところから、それがのしたあわびとなり、現代では、印刷されたのしあわびとなりました。よって、生ものを贈るときにはのし紙は不要です。」

餞別の品を渡す時期は最終出社日かその前日に

次に、餞別の品をいつ渡すかについて。ベストなタイミングはいったいいつなのでしょうか?

「贈るタイミングは、最終出社日やその前日が一般的です。有休消化などがあるので、最後の出社日が最適ですが、部署内でお別れ会などをするなら、そのときに贈りましょう。こうしなければならないという決まりごとはないので、状況とみなさんのご都合に合わせ、臨機応変に対応して問題ありません」(西出さん)。

いつから有休消化に入るのかを前もって確認しておくと安心ですね。また、あまりに早く渡してしまうと「早く出て行け」と言われているような気になる人もいるので、その点も注意が必要だそうです。

なお、重いものや大きいものを贈る場合には、自宅に送ることも考えましょうと西出さん。

「持ち帰りが困難だと感じた場合、ご自宅への送付は失礼に当たりません。口頭で『荷物になるといけないと思ったのでお送りました』と伝え、送別の場では色紙や手紙、花束などを手渡しするのも一般的です」(西出さん)

自分が離れる立場だったら、餞別の品にお返しは必要?

基本的に餞別にはお返しや返礼は不要とされています。ですが、気持ちとしてお世話になったお礼を伝えたいという場合は用意しても良いでしょう。

「贈るアイテムは、どんなものをいただいたかや、相手との関係性などにもよると思います。会社によってお返しは不要といったルールが決められている場合があるので、事前に確認しておきましょう。大人数なら、ひとり300円~500円を目安に、お礼の品としてお菓子などでも問題ありません。親しかった人たちに記念になるものを贈りたい場合は、先述した名入れのお箸など、名入れグッズもいいと思います。その際、のしは仰々しくなってしまうのでかけなくて良いでしょう。日本は包む文化の国なので、最低限の簡易包装をして、餞別をいただいた後日に渡しましょう。その際、『今までお世話になりました。ありがとうございました』というお礼と、『これから頑張ってね』という相手に対する手書きのメッセージを贈ることができれば心も伝わり素敵ですね。餞別を最終出社日にいただいたら、そのお返しを準備しておきその場で渡すか、後日、会社宛に送ると良いでしょう」(西出さん)。

相手に喜んでもらいたい気持ちを大切に

餞別のマナーというある程度の型はあるものの、相手への感謝や喜んでもらいたいという気持ちを込めて準備することが何より大事です。相手の好みはもちろん、次のステージへと進む背中を後押しできるようなものが何かを考えて選ぶことで、心豊かな贈り物ができるはずです。

取材・文/手塚よしこ
イラスト/篠塚朋子



西出ひろ子さん

お話をお聞きしたのは...

マナーコンサルタント。相手の立場に立つ『真心マナー®』をモットーに活動。NHK大河ドラマや映画、CMなどにおける俳優やアスリート、タレントへのマナー指導及び出演の他、皇室関連のマナー取材も多数。書籍監修および執筆も100冊以上と多く、著者累計は100万部を突破。西出さんが伝えるノウハウは日常の生活や仕事で気軽に取り入れられつつも手応えを感じられるもので、納得度の高い内容が人気。
西出ひろ子さんの情報は公式サイト及び、Instagramにて随時更新中。

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