Tokyo

12/22 (日)

【2023年残暑見舞い状のマナー】知っておきたい常識と相手別の文例集

いざ残暑見舞い状を送ろうと思ったときに悩んでしまうのが、出す時期です。そこで、マナーコンサルタントの西出ひろ子さんに、送る時期はもちろん、残暑見舞い状と暑中見舞い状との違いや、送る際に気をつけたいこと、送る相手別の文例などを教えていただきました。

残暑見舞い状の意味を知ろう

“残暑見舞い状”とは、残暑の頃、普段なかなか会えない人やお世話になった方の健康を気遣い、自分の近況を知らせる夏のあいさつ状です。“残暑”とは、“暦のうえで秋になっても残る暑さ”をさします。そこで夏のあいさつ状といえば、“残暑見舞い”のほか、“暑中見舞い”がありますが、その違いはご存じでしょうか。

「暑中見舞い状も残暑見舞い状も、“体調を崩しやすい暑い時期に相手の健康を見舞う便り”という点は同じです。大きく違うのは、出す時期です。“1年で最も暑さが厳しい時期”に出す暑中見舞い状は、秋の始まりとされる立秋の前日までに出し、立秋(8月7日ころ)以降なら残暑見舞いとして送ります。そして、書く内容も残暑を意識したものとなります」(西出さん/以下同)。

2023年の残暑見舞い状を出す時期はいつからいつまで?

残暑見舞い状を出す時期は、立秋以降

「暦のうえで8月上旬にある立秋。2023年は8月8日になります。相手に届く日が8月8日以降になる場合は、“残暑見舞い”として送りましょう。そして、遅くとも8月末には届くようにします。あまり遅くに送ると、相手が返信するのに、残暑見舞いに間に合わなくなってしまいます。そのためにも、なるべく早めに出すと安心です」。

残暑見舞い状をもらったら、返事は必要?

残暑見舞い状をいただいたら返礼するのがマナーだといいます。

「基本的に返事を出す・出さないは個人の自由ですが、礼儀として返事は出したいものです。特に目上の方や仕事関係者からいただいた場合は、返信は必須と心得ておくと良いですね。返信は同様に“残暑見舞い状”として送ります」。

また、ハガキで残暑見舞い状をいただいたら、その相手にはハガキで返すのがマナーの基本スタイルです。メールできた相手にはメールで返信すれば問題ありません。

「最も避けるべきは、何の反応もしないことです。遅れてでも連絡すると、相手は安心します。その際に、返信が遅くなった理由は特に記す必要はありません。また、最近は電話をするのはかえって迷惑になるという風潮もあります。とはいえ、『声を聞けて嬉しい』『お話したかったからお電話ありがとう』などと喜ばれるケースもあるので、相手との関係性を考えて双方にとって心地よい手段をとれるといいですね」。

残暑見舞い状の書き方

書式としては、ハガキに毛筆を使って縦書きで手書きするのが最も丁寧なスタイルです。ただし、毛筆が苦手な人などは、筆ペンや毛筆風に見えるペンなどを利用してみてはいかがでしょうか。万年筆でも構いません。ただし、ボールペンやマジックなどは、事務作業用という印象を与えかねないという理由から、挨拶状には使用しない方が良いと言われています。

したためる内容は相手との関係によって異なりますが、まずは一般的な書き方をご紹介します。

残暑見舞いの一般的な文例

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残暑お見舞い申し上げます……(1)
暦のうえでは秋になりましたが、厳しい暑さが続いております。
お元気でお過ごしでしょうか。……(2)
おかげさまで私は仕事に励んでおります。……(3)
そろそろ夏の疲れが出る時節と存じます。
どうぞご自愛のうえお過ごしくださいませ。……(4)
 令和5年 晩夏……(5)
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(1)残暑見舞いのあいさつの言葉
はじめに「残暑お見舞い申し上げます」というあいさつの言葉を、本文よりやや大きめに書きます。句点の“。”は書きません。

(2)時候のあいさつからはじまる本文
自分が感じているそのときの季節感を時候のあいさつとして書きます。その後に相手の健康を気遣う言葉を続けましょう。お世話になったことがあれば、そのお礼も伝えます。

(3)自分の近況報告
自分の仕事やプライベートについての近況報告を書きます。
「相手に気を遣わせる話題や、ネガティブに感じられる話題は、たとえ近況報告でもNGです。“病気になった”“調子が良くない”などの話題は避けるのが無難です」。

(4)結びのあいさつ
残暑見舞い状の主旨である、相手の健康を気遣い、無事を祈る思いやりのある言葉で締めくくります。

(5)日付
詳細な日付は入れません。残暑見舞い状の場合は年数の下に「晩夏」「立秋」「葉月」「秋暑」「残炎」などを入れます。

残暑見舞い状を書く上で大切なマナーは、相手を思いやる気持ちを最優先とすることです。相手の近況を尋ねる言葉や、“またお会いしたい”という気持ちをつづることもおすすめです。

上司へ送る場合の文例

“目上の方へ送る場合は、『残暑お見舞い申し上げます』ではなく、『残暑お伺い申し上げます』と書く”との説がありますが、『残暑お見舞い申し上げます』と書くと失礼なのでしょうか。

「『残暑お見舞い』としても特に大きな問題はありませんし、失礼に当たるということもないでしょう。気になる場合は『残暑伺い申し上げます』『晩夏の伺いを申し上げます』などとすると良いでしょう。立秋の候(8月8日頃から8月22日頃)であれば『立秋の伺い申し上げます』とすると情緒も増しますね。また、『伺う』は敬語です。それに“お”をつけた『お伺い』は二重敬語となります。ただし、『お伺い』は一般的に浸透している言葉ですので、一概に間違いともいえない時代です」

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立秋の伺い申し上げます

暦の上では立秋ですが、暑さ厳しい毎日が続いております。
〇〇さんにおかれましては益々ご清祥のことと存じます。

いつもご指導くださり、ありがとうございます。
お盆休み明けより、本年後半に向かって、
一層業務に励む所存です。

残暑厳しき折、くれぐれもご自愛のほどお祈り申し上げます。

 令和〇年 葉月
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ビジネス上の取引先へ送る場合の文例

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残暑お見舞い申し上げます

平素は格別のお引き立てを賜り厚く御礼申し上げます。

当社では、以下の期間を夏季休業とさせていただきます。
甚だ勝手ではございますが、何卒ご了承のうえ、
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

お盆休みのお知らせ:8月13日(曜日)~15日(曜日)

季節柄、皆様のご健勝を心よりお祈り申し上げます。

 令和〇年 晩夏
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親しい友人へ送る場合の文例

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残暑お見舞い申し上げます

秋とは名ばかりの厳しい暑さが続いていますが、お変わりありませんか。
こちらはおかげさまで、相変わらず元気に過ごしております。

今年の夏は時間が合いませんでしたが、夏が終わればひと段落つくので、
またおいしいものを食べに行きましょう。

まだまだ暑い日が続きそうですね。
健康にはくれぐれもご留意ください。

 令和〇年 秋暑
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暑中見舞い・残暑見舞いをもらった相手へ返信する場合(目上の方宛て)

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晩夏伺い申し上げます

立秋を迎え暑さの中にも秋の風を感じる今日この頃でございます。
お元気にお過ごしのご様子をお知らせくださり、感謝申し上げます。
いつもお気に留めてくださり、誠にありがとうございます。

おかげさまで、私どもも元気に過ごしております。

残暑は続くようでございますが、
どうぞお健やかに過ごされますよう祈念申し上げます。

 令和〇年 晩夏

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残暑見舞い状をハガキ以外で出す場合のマナー

残暑見舞い状はメールやSNSで送っても大丈夫だそう。こちらは暑中見舞い状に関しても同様です。

「普段からメールやSNSでやり取りしている相手なら、問題ありませんね。双方が慣れているコミュニケーション手段であれば、相手にも自分にも負担がありません。形式にとらわれ過ぎず互いにやり取りのしやすさを大事にすることが、相手思いのマナーとなりますね」。

残暑見舞い状のやり取りで避けるべきNGパターン

喪中の場合は、派手な絵柄を避けること

「喪中の場合、年賀状のやり取りは控えますが、それは年賀状が新年のあいさつを祝うものだからです。しかし、残暑見舞い状は、残暑の時期に相手が体調を崩さないようにと、相手を気遣うあいさつ状ですので、喪中だからといって控える必要はありません。気になるようでしたら、四十九日が明けるまで待ち、ハガキは無地や落ち着いた絵柄のものを選ぶとあなたの配慮も伝わるでしょう。その際、相手との関係性に応じて『お寂しい日々をお過ごしのことと存じますが、残暑厳しき折、くれぐれもご自愛ください』など、相手を思いやる文面を添えるといっそう気持ちが伝わりますね」。

お中元や残暑見舞いのお礼状を兼ねて残暑見舞い状は送らない

「お中元や残暑見舞いは、日頃お世話になっている方に感謝の気持ちを品物に託して贈るもの。一方、残暑見舞い状は、相手の健康を気遣うあいさつ状です。また、お中元や残暑見舞いのお礼状と残暑見舞い状を兼ねることは避けましょう。お礼はお礼状として送ります」。

残暑見舞い状に結婚や出産に関する写真は使用しない

「“結婚や出産などの人生の一大事は、残暑見舞いのあいさつを兼ねて報告することではない”とする説もありますが、わざわざお知らせ状を出す関係ではない相手に対して残暑見舞い状を出す際は、これらを近況としてひと言伝えたいと思うなら手書きで一筆記しても問題ではないと考えます。とはいえ、残暑見舞い状に結婚式や赤ちゃんの写真を入れることは控える方が無難です。残暑見舞い状はあくまでも、残暑厳しい季節に相手の健康を気遣うもの。その本質を忘れないようにしましょう。なお、住所変更のある場合は、相手にとっても必要な情報ですので、『住所が変わりました』とひと言つけ加えると親切ですね」。

残暑見舞い状を止めたい場合は?

疎遠になってしまった人との残暑見舞い状のやり取りを止めたい場合、“年賀状じまい”のようにひと言あいさつしたほういいのでしょうか。

「年賀状とは意味合いが違いますし、疎遠になっている人であればなおのこと、積極的にそこまでする必要はないと考えます。例えば、相手から暑中見舞い状や残暑見舞い状が届き、返信したいと思えば返信をする。そうでないと思えば、相手との関係性に応じて返信をしないというのも選択肢としてあります。もちろん、返信はしたほうが良いです。しかしそうすると次年度も同じことが繰り返しとなり、結局、残暑見舞い状を止めることにはならない可能性がありますね。相手を気遣うことも大事ですが、自分の気持ちや環境・資源を大切にすることもマナーです。現代は自身の気持ちに正直に無理のない範囲でできることを行う時代です。ご自身の気持ちや状況も大切になさって判断してくださいね」。

相手を思う気持ちを込めて出したい、残暑見舞い状

季節のあいさつ状のやり取りは、気持ちを込めたコミュニケーションとしたいもの。儀礼的なものではないからこそ送る相手への気遣いと、“あの人はどうしているかな”という自分の素直な思いを大切にして残暑見舞い状を楽しんでは。そうして送る一枚のハガキやSNSのメッセージに、受け取った相手はきっと笑顔になるはずです。

取材・文/手塚よしこ
イラスト/篠塚朋子

西出ひろ子さん

お話をお聞きしたのは...

マナーコンサルタント。相手の立場に立つ『真心マナー®』をモットーに活動。NHK大河ドラマや映画、CMなどにおける俳優やアスリート、タレントへのマナー指導及び出演の他、皇室関連のマナー取材も多数。書籍監修および執筆も100冊以上と多く、著者累計は100万部を突破。西出さんが伝えるノウハウは日常の生活や仕事で気軽に取り入れられつつも手応えを感じられるもので、納得度の高い内容が人気。
西出ひろ子さんの情報は公式サイト及び、Instagramにて随時更新中。

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