極上のおもてなし空間で味わう伝統の牛鍋
「今朝」ビルが建っているのは、かつて東京の玄関口だった新橋の駅前エリア。
第一京浜通りに面したエントランスに足を踏み入れると、目に飛び込んでくるのは、豊穣のシンボルである「葡萄」と「黒毛和牛」をモチーフにした、壁画絵師・木村英輝の躍動感あふれるアート作品「Wagyu&Grape」です。アートのもたらす高揚感とともに階段を上ると、広々とした待合では、夏目漱石の弟子であり政治から教育まで幅広く活躍した哲学者・阿部能成の揮毫による「今朝」の看板が出迎えてくれます。
店主自ら掛け替えるというお軸が飾られた床の間付きのお座敷は、四季折々の花が活けられ、和のもてなしの真髄を感じます。こちらで提供されるのは、“割下”を用いた伝統的な関東スタイルのすき焼き。テーブルの上にコンロと鉄鍋を配し、調理しながらいただきます。割下の扱いや鍋に入れる順番まで、中居さんが作り方を教えてくれるので、はじめてすき焼きを食べる人でも安心です。
50年ものの南部鉄器の鉄鍋は、先代が岩手に出向き、縁の角度までこだわり抜いてつくらせた特注品。鍋肌にはしっとりと脂が馴染み、歴史の一端を伝えます。
しっかりと熱せられた鉄鍋で煮立てた割下とともに、グツグツ、ジューッ、サッとお肉を焼きつけ、とき卵に絡めます。口に入ったお肉のとろけるような柔らかさと旨みたるや。それもそのはず、こちらではA5クラスの松坂牛を中心に黒毛和牛のみを扱っているのです。今ではその技術を持つ職人も少なくなったという、肉を包丁で一枚ずつ切り出す職人技はまさに芸術。鍋に入れる前に肉の美しさを愛でるのも、すき焼きの楽しみのひとつと言えるでしょう。
また、「ザク」と呼ばれる野菜もこだわりの逸品揃い。中でも専門の問屋さんから届けられる江戸伝統野菜の千住ネギは、甘さもみずみずしさも抜群です。お豆腐も、昔から付き合いのある新橋の豆腐屋さんから毎日出来立てが届くというこだわりよう。
5代目ご当主・藤森朗さんは、海外生活を長く経験し、ワインへの造詣も深いそう。ワインセラーには素晴らしいコレクションが並び、外国からのお客様にも評判です。もちろん、すき焼きに合う日本酒も揃っています。
伝統的な“おもてなしの心”を感じる、本物のすき焼きをぜひ味わってください。