幅広い世代に愛される和菓子を追求し続ける甘味処
浅草寺・雷門をくぐり、観光客でにぎわう仲見世通りを中ほどまで歩いて左に曲がると「梅園浅草本店」が見えます。まず目を引かれるのが店頭に並ぶテイクアウト用の和菓子の数々。なかでも直径11cm、140gもある大判のどら焼や、ソフトクリームをどら焼の皮で巻いた斬新なアイデアが光るどらソフトは、幅広い世代に人気。仲見世通りをブラブラ歩きながら食べるおやつにはピッタリです。
梅園が大切にしているのは、伝統の継承と挑戦です。たとえば、それぞれの商品に合わせて調節されるあんこは伝統の甘さ。また店内の調理場にある餅つき機は50年以上使用されており、せいろも必ず同じメーカーのものが使われています。すべては、味や作り方を大きく変えず、伝統を守るためとのこと。「受け継がれてきた甘さや味を好んでくれるお客様に、梅園の和菓子をずっと楽しんでいただきたい。そんな思いもあるんです」と、ご当主・清水貴司さんは語ります。
一方、新しく取り組んだのはSNSの活用。2019年にInstagram、2020年にTwitterのアカウントを開設しました。それは多くの若い世代に梅園の魅力を伝えたいという思いから。いまでは若い世代のお客様の来店が増え、Instagramではハッシュタグ「#浅草梅園」の投稿も増えているそうです。清水さんも「160年以上、店を続けてこられたのは、既存のお客様を大事にしつつ、時代に合わせた要素や商品を加えてきたから。どちらか一方ではなく両方のバランスを保つことが、和菓子と梅園の魅力を次の世代へとつなげていくカギになる」と語ってくれました。