Tokyo

12/13 (金)

日本推しラトビア人アルトゥルさんと虎ノ門−新橋の老舗をめぐる

老舗のご当主や観光ガイドなど、そのエリアに詳しい方々に見どころを案内してもらうまちあるきシリーズの第2回。

日本の文化や料理などをSNSで紹介するインフルエンサーである日本好きなラトビア人、アルトゥルさんと、東京都港区の虎ノ門−新橋の神社と老舗を巡ってみました。案内役はagataJapanのマークです。

虎ノ門のパワースポット「金刀比羅宮」に参拝

まずは虎ノ門駅2A出口からすぐの神社、虎ノ門金刀比羅宮(地図①)へ。アルトゥルさんの故郷であるラトビアについてのお話を聞いていたらあっという間に着いてしまいました。

[embed]https://youtu.be/ySYUwDszQUU[/embed]

動画でもご覧いただけます。

虎ノ門金刀比羅宮は、万治三年(1660年)に讃岐国丸亀藩主であった京極高和が、その藩領内である香川県琴平町にある象頭山に鎮座する金刀比羅宮(本宮)の御分霊を当時藩邸があった芝・三田の地に勧請、延宝七年(1679年)に現在の虎ノ門に遷座した神社です。

主祭神である大物主神は、海陸安穏・五穀豊穣・万民泰平といった国や人々に平安をもたらしてくれる神様。一説には運を司る神とも伝えられており、運気を上げたい人におすすめのスポットです。
二人でご利益があるようにしっかりお参りしてから、次のスポットへ向かいました。


⚫︎虎ノ門金刀比羅宮
東京都港区虎ノ門1丁目2−7
03-3501-9355

http://www.kotohira.or.jp

創業225年の老舗呉服店「丁子屋」で着物をレンタル

虎ノ門金刀比羅宮を出て桜田通りを進み、虎ノ門ビジネスタワー1Fにある丁子屋(地図②)へ。丁子屋は、創業225年の老舗呉服店で、反物からの仕立てから着物のレンタルサービスまで手掛けています。店内では、6代目女将小林絵里さんが温かく迎えてくださいました。

「うちは近江商人が始まりで、もともと滋賀の創業なんです。江戸の中期に二代目小林吟右衛門という人が虎ノ門の地に創業し、それ以来虎ノ門に120年くらいおりまして、私でちょうど6代目の呉服屋となります。」(小林さん)
1798年(寛政10年)に滋賀県で創業し、1831年(天保2年)に日本橋で呉服・太物商を開いて、家号を丁子屋として今に至るそうです。


「ちなみに、三国時代の中国にあった呉の国から反物や着物とかが普及したということで、呉の国の服=呉服屋さんというんですよ。」(小林さん)
反物という言葉は初耳だというアルトゥルさん。
一本の反物から1着の着物ができるという女将の話にも興味津々でした。

ぜひ、着物を体験してみたい!というアルトゥルさんにうってつけの着物のレンタルサービスを体験してもらうことに。丁子屋では、顧客の利用目的や好み・スタイルにあったコーディネイトを提案してくれるので初心者でも安心です。
着物のレンタルだけでなく、着付けサービスも利用可能なので、アルトゥルさんも江戸庶民の着流しスタイルに大変身!

アルトゥルさんには日本文化の代名詞でもある着物を堪能してもらいながら、次の目的地へと向かいます。


⚫︎丁子屋
港区虎ノ門1-17-1 虎ノ門ヒルズビジネスタワー1F
03-3591-0529
https://www.choujiya-toranomon.co.jp

「鳥かど家」で味わう絶品の鰻と鳥料理

環二通りに出て赤レンガ通りまで進み、右折後すぐのところにある、続いての目的地は「鳥かど家」(地図③)さん。鳥かど家さんは1912年(大正元年)創業の鰻と鶏料理の老舗店です。

一番の名物は、毎朝問屋から厳選して仕入れる国産の鰻を使った「鰻重」です。タレには愛知県産のみりんを使用し、こだわりの味を出していらっしゃいます。鳥かど家さんでは、秘伝のタレに浸しては焼きを3度繰り返して香ばしく焼き上げるのだとか。

もう一つの看板メニューは、千葉県産の地鶏を使用した「地鶏親子重」。卵は最高級の奥久慈卵を使用し、鶏肉の旨味を閉じ込めています。
鰻が大好きだというアルトゥルさん。ピカピカに輝いている鰻を見るアルトゥルさんの目もとても輝いていました。

「よろしかったらこちらも召し上がってみてください。うちのオリジナルで、「鰻の汽車ポッポ」といいます。」と圧力鍋で鰻を一匹丸ごと柔らかく煮た一品を出してくれたのは3代目当主の鈴木徹雄さん。

鰻のコラーゲンたっぷりで濃厚な味つけが美味の「鰻の汽車ポッポ」もアルトゥルさんのお気に召した模様。圧力鍋がシュシュシュという音と新橋が鉄道発祥の地であることにちなんで名付けた一品があるのも老舗ならではですね。


⚫︎鳥かど家
東京都港区新橋4-27-9 新橋スズキビル1F
050-5484-8045/03-3431-0534
https://a068100.gorp.jp

「新正堂」でお詫びの品におすすめの和菓子を

赤レンガ通りから環二通りに入り、右折するとすぐに次の老舗「新正堂」(地図④)さんに到着。新正堂さんは1912年(大正元年)創業の老舗の和菓子屋さんです。

新正堂さんの名物はなんといっても「切腹最中」。
切腹とは、自分で腹を切ることです。江戸時代に武士が自らの落ち度に責任をとるために行っていた行為ですが、忠臣蔵の起こりとなった浅野内匠頭が切腹した田村屋敷跡に店舗があることにちなんでこの名がつけられたとのこと。


今回は、通常の「切腹最中」と季節限定の「栗切腹最中」がいただくことに。

シンプルな「切腹最中」を食べたアルトゥルさんは、「最中を食べる時結構パサパサしますが、こちらの最中は全然そういう感じがないですね。」と驚いた様子。
「最中の皮って上顎にくっついてしまうことがありますよね。うちの皮はしっかりと焼き色をつけていて、原材料のもち米も良いものを使っているので、上顎につかないんですよ。」(店員さん)


最中の皮は材料と焼き加減にこだわった最中の皮は、口当たりが抜群。餡には純度の高い砂糖を使用し求肥入りで甘さを抑えたさっぱりとした味わいが特徴です。
私は季節限定の「栗切腹最中」をいただきましたが、栗がぎっしりで何個でもおかわりできそうな美味しさでした。今季は例年に比べて1.5倍の量の栗を餡に使用しているそうで、これをもらったら誰もが謝罪を受け入れてしまいそうだなと思いました。

最初切腹という言葉にびっくりしていたアルトゥルさんでしたが、日本のサラリーマンが謝罪の時に持っていく手土産だと説明したら納得してくれました。
アルトゥルさんもお友達のアイスを勝手に食べてしまったとのことで、謝罪のために「切腹最中」をプレゼントするそうですよ。


⚫︎新正堂
東京都港区新橋4-27-2
03-3431-2512
https://www.shinshodoh.co.jp

「新橋玉木屋」の佃煮は珠玉の味わい

環二通りを新橋方面に進み柳通りを渡ると見えてくるのが、本日最後の老舗「新橋玉木屋」(地図⑤)さん。

綺麗な店内ですが、新橋玉木屋さんは、江戸時代の天明2年(1782年)に創業した老舗の佃煮店です。保存料・着色料は不使用で創業から伝え継がれた秘伝のタレが染み込んだ様々な佃煮を取り揃えています。

「佃煮は、お魚や野菜、お肉などを醤油ベースのソース、さらに甘辛のソースを加えて煮込んだものです。うちは江戸前の佃煮なので、深いコクと旨味がある味が特徴です。保存食なので未開封なら3ヶ月もちますよ。」(小貫さん)


新橋玉木屋さんは240年の歴史があり、創業時から売られている「ざぜん豆」は240年以上製法を変えていない伝統の味が光る逸品です。ざぜん豆の由来は、原料のがんくい豆の形が坐禅をする姿に似ているためとされています。


玉木屋さんではイートインスペースがあり、佃煮をおにぎりで味わえます。
おにぎりは3種類の具材から好きなものを1つ選べるシステム。今回はおかかが入っている味道楽・あさり・昆布がメインのお茶漬けの友から選ぶことに。アルトゥルさんがおかかが好きとのことで味道楽、私マークがあさりをいただくことにしました。

どのおにぎりも新米の新潟県産コシヒカリに玉木屋の佃煮をたっぷり使用したボリュームたっぷりのおにぎりです。ごはんを握る回数は5回程度。ふんわりと仕上げることで口の中で味が広がります。おにぎりセットには、緑茶とざぜん豆もついてきます。


「鰹節が入っているからパサパサすると思っていましたがそんなこと全然なくてびっくりです。めっちゃうまいですね。」(アルトゥルさん)
味道楽は、鰹削り節にごまや松の実などを加えており食感も楽しい味わいが魅力です。
私はあさりのおにぎりをいただきましたが、とても香りがありました。


「最近はヨーロッパからの観光客の方々が茹でたパスタにかけて、オリーブオイルと和えて召し上がるためにご購入されるんですよ。」(小貫さん)
甘い味付けのざぜん豆もいただきましたが、こちらはヨーグルトと混ぜてデザート感覚で食べる方もいらっしゃるんだそうです。


「玉木屋の佃煮はしっかりとした江戸前の味なので、日本酒やワインといったさまざまなお酒に合いますね。」(小貫さん)
実は玉木屋さんでは事前予約をすると、ワインとペアリングで佃煮を使った料理が店内でいただけます。
今回は特別に佃煮と日本酒もしくはワインとのマリアージュの中でも特に人気のある「あみバター」をいただきました。

「レーズンバターみたいな見た目ですね。アルトゥルさん、あみってなんだか分かります?」(マーク)
「え、あみとは…?」(アルトゥルさん)
「あみというのは、分類上はプランクトンになるんですけれど、とても小さなエビのような形をしています。」(小貫さん)


玉木屋さんでは国内の淡水で獲れる貴重な“いさざあみ”を使用しているとのこと。
添えてあるクラッカーに挟んで食べてみると、まさにお酒のアテにぴったりの味でした。
「しっかりとした味ですね。フランスにはハーブバターとかあるので、外国人にも気にいってもらえると思います。クラッカーを添えているのも良い出し方ですね。」(アルトゥルさん)

「(新たなことにチャレンジしていく姿勢は)日本のすごく好きなところです。歴史を大事にしながらどんどん新しいものを試していって、色々進化させていくっていうところはすごく尊敬しています。」(アルトゥルさん)


伝統的なものを守りつつ、新しいものとの組み合わせで海外の方にも佃煮の良さを発信している玉木屋さん。
こうした老舗企業にはぜひ頑張っていただきたいものですね。


⚫︎新橋玉木屋
東京都港区新橋4-25-4
03-6450-1231
https://www.tamakiya.co.jp

駅前のSL広場で最後に感想を。

アルトゥルさんに虎ノ門〜新橋界隈の老舗めぐりの感想をお聞きしました。


「港区の中には、最新のいろんな建物がある中に伝統的な老舗が色々ありましたが、いかがでしたか?」(マーク)
「とても面白かったし、勉強になりましたし、めちゃくちゃ楽しかったです。」(アルトゥルさん)
「それは良かったです。特に印象に残っているものってありますか?」(マーク)
「いや全部素晴らしかったです。鰻もおにぎりも美味しくて…どれか一つって選べないですね。僕以外の外国の方にも、今日見て回ったような老舗を訪れて日本の歴史を知ったり、実際に伝統的な体験をしてもらいたいですね。」(アルトゥルさん)

 

アルトゥルさん、さまざまな老舗巡りにお付き合いいただきありがとうございました!

 

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