替えのきかない味、江戸好みを今に伝える折詰弁当
現存する日本最古の折詰弁当専門店がここ、日本橋弁松総本店です。日本橋に魚河岸があったころからおいしいもの好きの江戸っ子の腹を満たしてきました。
折箱のサイズがそのまま商品名になった「並六」「並かし七」、白いご飯が詰まった「白詰」、赤飯の「赤詰」などお弁当の名前も昔のまま。初めて食べるなら、まずは「並六」が基本です。
封をされた包み紙を開くと、経木ならではの森の香りが漂います。間伐材を使った経木の折詰は地球に優しいエコな包装といえます。
ふたを開ければ懐かしさがこみ上げるおかずたちがぎっしり。経木の折箱に詰められたご飯は、木が余分な湿気を吸ってくれるため、冷めてもベタつかずにもっちりしています。白いご飯も、赤飯も、たこ飯やほたて飯といった変わりご飯も、思わず経木についたご飯を最後までお箸でこそげて食べてしまいます。なぜこんなにおいしいのでしょう。
砂糖と醤油をたっぷり使った甘辛の野菜の甘煮、出汁が染み出す玉子焼、かまぼこ、生姜と昆布の辛煮に魚の照焼、〆に甘い甘い豆きんとん。こんなメリハリのきいた味つけになったのは、「日持ちをよくするため」「見栄っ張りの江戸っ子は高い砂糖をけちけちせずに使った」「江戸で働く肉体労働の職人たちのためにカロリーの高い濃い味にした」「江戸っ子は中途半端な味つけを嫌い、濃い味を好んだから」などなど、諸説あるそうです。
いずれのおかずも甘辛の絶妙のバランスで味がきっちりと決まった「これぞ日本橋弁松の味」、代々の職人が技を継承しながら一つひとつおいしさを追求してきた唯一無二の味なのです。
だからこそ「やっぱり弁松」「無性に食べたくなる」というお客様も多く、最近ではSNSなどを通して若い世代にもその魅力が広がっています。