Tokyo

12/22 (日)

白木屋傳兵衞

創業 天保元年(1830年)

SDGsな道具としても注目。天才の技が継がれた江戸箒

店内に入ると、壁一面にかけられた江戸箒が目に飛び込んできます。さまざまな大きさや形の箒がずらりと並ぶ光景は芸術的。「あくまでも生活で使う道具ですが、うまい人間がつくると美しく仕上がる」と話すのは、白木屋傳兵衞7代目ご当主の中村悟さん。簡略化した製法に移行する箒店が多い中、今もほぼ手作業で職人がつくり、江戸箒づくりの天才といわれた創業者の技術を守っています。

白木屋傳兵衞ならではの製法が、「草選り」という作業。仕入れたイネ科のホウキモロコシの穂を合わせる際に、穂を指先でこすって“ランク分け”をします。良い穂になるほど弾力があり、草が多くなるため、ほこりをまとめやすく耐久性にも優れます。頼るのは指先の感覚だけ。箒を1000本つくれば1種類の穂の違いが分かるようになるという世界です。そこから2000本、3000本と経験を積み、あらゆる穂の違いを体にしみ込ませます。草選りをすることで、同じランクの箒に当たり外れが生まれず、一定の品質を保つことが可能に。「10年後にまた買いたいと言われても、綴じ糸の色を見れば、ほとんど同じものを提供できます」。ご当主が自信を持ってそうおっしゃるのは、決して機械化できない職人技があるからこそです。

穂は“ランク分け”をしたあと、竹柄とのバランスを考えて編まれます。1本を編み上げる時間は、早ければ1時間半ほど。そうして完成した江戸箒は驚くほど軽くてしなやか。同じランクでもコシや掻き出しの強さなど繊細な差があるため、白木屋中村傳兵衞商店では、箒を買う方に必ず試し掃きをすすめています。何本もの箒を試すうちに、体にしっくりくる1本が見つかるから不思議。生活を共にする相棒のような親近感が湧いてくるのも頷けます。

高度経済成長期以降、箒に代わって掃除機が台頭。しかし、ご当主は「箒こそ現代生活に合う道具」と話します。音が響かないので早朝や深夜も使える、スペースを取らない分コンパクトなお部屋でも邪魔しない、そして電気を使わないから環境に優しい。「実はSDGsなんです」とご当主が言うように、100年先まで受け継いでいきたい道具です。

沿革History

今では首都高が走るかつての京橋川は、竹屋が並ぶ「竹河岸」として栄えた地域。竹屋が軒を連ね、江戸箒(ほうき)の原材料である竹柄やホウキモロコシが手に入りやすいことから、ほうき草でつくる箒を扱う店が数軒ありました。その一軒が、白木屋傳兵衞です。当初は銀座で畳表を商う店として、天保元年(1830年)に創業しましたが、その後京橋に移転し、江戸箒の製造・販売を開始しました。関東大震災や戦災の影響もあり、昭和30年(1955年)頃には、京橋の江戸箒店は白木屋傳兵衞ただ一軒に。それでも今なお変わらず営業を続け、何十年来のお得意先を多く抱えています。現在は7代目の中村悟さんがご当主を務め、職人頭の高木清一さんはじめ3人の職人さんがいます。

中村 悟さん

白木屋傳兵衛 7代目ご当主

ライフスタイルに合わせた1本をご提案します

創業者が遺した『草選り』などの職人技を駆使し、1本1本丹精込めてつくっています。初めて箒を使う方はお店までお越しください。ライフスタイルに合わせた最適な1本をご提案します。

注目のこの逸品Pickup

江戸手箒

特上11,000円、上8,800円

白木屋傳兵衞を代表する江戸手箒です。コシの強い草を選別しているため、数ある江戸箒の中でもバネ感があり、ほこり取れがよい1本。座敷、フローリング、カーペットと場所を選ばず使えますが、特におすすめはカーペット。潜んでいたほこりや髪の毛、ペットの毛をどっさり掻き出せます。

おてがる箒、不精箒・長柄

おてがる箒4,950円、不精箒・長柄3,850円

インドネシア産の輸入草を使用した、リーズナブルな価格帯の箒も揃っています。インドネシアと日本の箒職人は縁が深く、昭和40年(1965年)頃から原料の栽培方法や箒の製作指導を現地で行っているそう。頑丈に編み上げているので、家中でオールマイティに使えます。

江戸手箒

6,600円

穂のボリュームを抑え、通常より横幅をスリムに仕上げた江戸手箒。穂が少ない分、軽くて扱いやすいのが特徴です。タンスの隙間やテレビ台の下など、掃除機でも届きづらいところの奥まで入り、ほこりを掻き出します。インテリアとしてさりげなく壁際に飾ってもおしゃれ。

老舗概要Outline

住所 東京都中央区京橋3-9-8白伝ビル1F
アクセス 都営地下鉄浅草線宝町駅より1分、東京メトロ銀座線京橋駅より3分
電話 03-3563-1771
営業時間 10:00~19:00
定休日 日曜
支払い方法 現金・クレジットカード(AMERICAN EXPRESS、VISA、JCB、Diner’s Club、Mastercard)・電子マネー
外部リンク
公式ホームページ

※掲載の情報は、記事公開時点のものです。変更される場合がございますのでご利用の際はご確認ください。

あなたはどちら...?

TOP
MENU