北斎や門人が描いた板本の魅力を紹介
浮世絵と聞くと、「冨嶽三十六景」のような一枚摺の版画を思い浮かべることが多いと思いますが、実は「板本(はんぽん)」から次第に絵のみが独立して成立したともいわれます。「板本」とは、版木に文字や挿絵を彫って摺ったものを本に仕立てたもので、浮世絵師・葛飾北斎も、物語の挿絵や自らの絵を集めた絵手本など、たくさんの板本を出版していました。
当企画展では、その板本にフォーカスし、葛飾北斎や彼の門人が描いた板本、前後期あわせて約110点を展示。第1章「板本の基礎知識」では、板本の形態や、板木や包み紙、内容(ジャンル)による分類など、葛飾北斎が生きた時代の板本を理解するために参考になる基礎知識を紹介。第2章「板本に関するトピックス」として、初摺と後摺の違いなど板本について知られていない知識や、葛飾北斎が制作した絵巻物のような板本「絵本隅田川 両岸一覧」などを展示。第3章「所蔵者・読者の痕跡」では、所蔵者による入手の喜びが記されたものや、読者によるいたずら書きなど同館に所蔵されるまでに板本に残された痕跡を紹介。 第4章「板本の優品」では、錦絵のような多色摺の本や、当館初公開の希少本など板本の優品の数々を展示します。