進化し続ける「一眼レフカメラ」の歴史と魅力を知る
一眼レフカメラは、撮影用とファインダー用を兼ねた1つのレンズ(一眼)を備え、そのレンズを通した光を鏡で反射(レフレックス)させてファインダーに導く型式のカメラです。撮影用レンズの画角やピントをファインダーで確認しながら撮影できることから、職業写真家や本格的な撮影を楽しむアマチュアを中心に長い間使用されてきました。
その歴史は古く、写真が発明される以前に画家がデッサンなどに使用していた器具の「カメラ・オブスクラ」は一眼レフ型式でした。19世紀から20世紀前半頃までは箱型の大型木製一眼レフカメラが使用され、1930年代にロールフィルムを使用する金属製の小型精密一眼レフカメラが登場してからは、さまざまな撮影に対応する多用途カメラとして確固たる地位を築き、デジタル時代に至るまで主要機材として映像の記録を支えてきました。
一眼レフカメラは、日本のカメラ産業にも大きな役割を果たしました。日本のカメラメーカー各社は、戦後の1950年代頃から、主軸製品をそれまで目標としていたライカ型の透視ファインダーカメラから、当時は一般撮影に用いられることがあまり多くはなかった一眼レフカメラへと転換しました。これが功を奏し、日本がカメラ大国へと飛躍するきっかけとなり、日本製一眼レフカメラは長きにわたり撮影機材の主役として活躍しました。
ミラーレスカメラやスマートフォンで撮影する機会が増えた現在でも、“一眼レフ”は本格的なカメラの代名詞として語られることがあります。また、一眼レフの光学ファインダーならではの自然な見え方や、ミラーやシャッターが複雑に連動し正確に作動する精密さは、魅力的であり続けています。
この展示では、「一眼レフカメラ」の歴史をひも解くとともに、一眼レフカメラの機構や魅力について紹介いたします。
■展示予定より
「カメラ・オブスクラ」
1790(寛政2)年頃 製造不詳
正確に絵を描くために使用する写真発明以前の光学器具。ラテン語で “カメラ”は部屋、“オブスクラ”は暗いという意味で、「カメラ」の語源となった。
「オルソスコープ」
1890(明治22)年 トゥールタン(フランス)
最初のフランス製一眼レフカメラ。
「ソホレフレックス」
1910(明治43)年 マリオン(イギリス)
乾板使用の木製一眼レフカメラ。
「エキザクタ」
1933(昭和8)年 イハゲー(ドイツ)
初期の金属製小型精密一眼レフカメラ。
「プリマレフレックス」
1936(昭和11)年 クルト・ベンツィン(ドイツ)
6×6センチ判の画面を撮影するフォーカルプレンシャッター式一眼レフカメラ。
「デュフレックス」
1943(昭和18)年 ガンマ(ハンガリー)
ポロミラーによるアイレベルファインダー、クイックリターンミラーを備える一眼レフカメラ。
「コンタックス S」
1949(昭和24)年 VEBツァイス・イコン(東ドイツ)
ファインダーに初めてペンタプリズムを使用した一眼レフカメラ。
「アサヒフレックス Ⅰ」
1952(昭和27)年 旭光学工業(日本)
国産初の35ミリ判一眼レフカメラ。縦位置撮影を考慮して透視ファインダーも備える。
「ミランダ T」
1955(昭和30)年 オリオンカメラ(日本)
国産初のペンタプリズム搭載35ミリ一眼レフカメラ。
「ズノー」
1958(昭和33)年 ズノー光学工業(日本)
ボディの内部機構と連動する自動絞り方式。当時は“完全自動絞り”といわれた。
「ゼンザブロニカ (D)」
1959(昭和34)年 ブロニカカメラ(日本)
下降式クイックリターンミラー、フォーカルプレンシャッターを備えた6×6センチ判一眼レフカメラ。
「オリンパスペン F」
1963(昭和38)年 オリンパス光学工業(日本)
ハーフ判(18×24ミリ)画面のレンズ交換式一眼レフカメラ。
「キヤノン AE-1」
1976(昭和51)年 キヤノン(日本)
マイクロコンピューター搭載で大幅に電子化。内部ユニット化などで高性能、低価格を実現
「ミノルタ α7000」
1985(昭和60)年 ミノルタカメラ(日本)
交換レンズのAF駆動源(モーター)をボディ側にもつAF一眼レフカメラ。
「ニコン D1」
1999(平成11)年 ニコン(日本)
当時としては低価格の65万円で発売し、デジタル一眼レフカメラの普及に貢献。
(展示予定機種は変更される場合があります)
※ここに記載したカメラ名は展示予定機種の一部です。