性別・年齢にとらわれない「美しい人びと」
明治期以降に一般的な単語として広まった「美人画」。日本では古来より美しい女性の姿がよく描かれてきましたが、在原業平や光源氏など魅力的な男性の姿も描かれてきました。
今回の特別展では、上村松園(うえむらしょうえん)、伊藤小坡(いとうしょうは)、鏑木清方(かぶらききよかた)、伊東深水(いとうしんすい)といった今も人気がある美人画家が描いた作品とともに、下村観山(しもむらかんざん)、吉川霊華(きっかわれいか)による男性像や、フランスの女性画家であるローランサン、近年注目の高いヴァン・ドンゲン、ドニなどの西洋絵画も紹介します。
必見は、上村松園による『春宵』。全盛期の昭和 11年(1936年)に描かれた作品で、桜花散る春の宵、女性の囁きに僅かに微笑む若い芸妓が描かれています。表情や仕草、化粧法や着衣、結髪などが美しく描かれ、上村松園の美意識と的確な描写力を感じ取れ、松岡美術館の日本画コレクションで最も人気の高い作品です。また、中庭には桜の木があり、3月下旬ごろ訪れると、お花見しながら名作を鑑賞できます。