和菓子 饅頭 銀座 670年もの歴史を持ち、それでいて変化を恐れない。意欲的な革新をつづける「塩瀬総本家」 和菓子饅頭 貞和5(1349)年創業──。日本風の甘い饅頭を発明し、670年以上の歴史のなかでイノベーションを起こしつづけ、今なお日本の和菓子文化を支える「塩瀬総本家」。その歴史や家訓を三十五代目当主、川島一世さんに伺います。初代、林浄因による甘いお饅頭の発明、足利家、徳川家との関わりも深い塩瀬家の発展と饅頭の変遷など、大河以上に壮大なその歴史は、”饅頭”に抱くイメージを超えた数々の驚きを私たちにもたらしてくれます。〜前編より続き〜林:引き続き、塩瀬総本家の歴史を伺っていきます。1460年林浄因の奈良の店から、惟天盛佑が京都に店を開きました。今も烏丸三条に饅頭屋町の名前が残ります。しかしその直後である1467年に起こったのが応仁の乱。そこで祖先が疎開した先が三河国設楽郡塩瀬村でした。商売のできない間、祖先は中国に渡り、新たな知識を身に着けます。そこで生まれたのが今でも塩瀬総本家の看板メニューである「薯蕷(じょうよ)饅頭」でした。林:これがいいサイズなんですよね。食べだすと止まらなくなります。川島さん:当時疎開していた塩瀬城の写真もあります。林:わー、すごい。川島さん:現在の愛知県新城市に構えられていた小さなお城です。この城を治めていた豪族、塩瀬氏より頂戴し、屋号を塩瀬と名乗るようになりました。林:それまでは単に「饅頭屋」と名乗っていたんですよね。江戸時代の饅頭は「オーダーメイド」川島さん:その後の繁盛ぶりを示すのが、「日本第一番本饅頭所」と記された大看板。銀閣寺を作った足利義政公より看板の字を書いていただきました。また、後土御門天皇より、大変名誉な五七の桐の御紋をいただいています。それから、もう一人忘れてはならないのが……。林:でましたね。川島さん:林宗二の孫、林宗味です。お茶が大好きで、千利休の孫娘をお嫁さんにもらったんです。彼はお茶に欠かせない塩瀬袱紗(ふくさ)という道具を発明し、饅頭とともに販売していたということです。その後、京都の家は残念ながら絶えてしまうんですが、江戸に上った祖先は日本橋、霊岸島、京橋の江戸三家に分かれ、繁盛したということです。林:なるほど。川島さん:とくに有名だったのが、塩瀬五左衛門。林:霊岸島の祖ですね。川島さん:塩瀬山城伝来記を記し、塩瀬中興の祖といわれた方です。繁盛の様子は『続江戸砂子』(1735年)、『江戸名物詩選』(1836年)といった江戸のガイドブックにも記されています。江戸時代は、棚にお饅頭を並べて「これ一つ」というような売り方は基本的にしません。注文を伺ってから、大奥やお寺にお納めするのが基本でした。林:基本的にはオーダーメイド。川島さん:当時、お砂糖は江戸幕府が管理する輸入品でした。江戸末期、江戸幕府の財政事情が悪化した際に、サトウキビを沖縄や徳島で育てることをはじめ、やっと庶民もお砂糖を食べられるようになったということです。林:それまでお砂糖というのはとても贅沢なものだったんですね。川島さん:実は、林浄因は奈良に子孫を残して中国に帰ってしまうんです。どこに帰ったか正確な場所がわからないので、彼の故郷である中国杭州西湖の国立公園内に碑を建立して、毎年秋に饅頭祭という行事を開催しています。川島さん:そして、これが今の塩瀬総本家本店、並びに本店内茶室です。林:それから、家訓ですね。川島さん:社長室では、渡辺崋山という江戸時代の学者の遺訓を額に入れて展示しています。「まず朝は召使より早く起きよ」「十両の客より100文の客を大切にせよ」など商売の家訓と、「今日一日三つ君父師の御恩を忘れず不足を言うまじきこと」など生活の家訓がございます。 最大の発明品「あんこ」の誕生林:塩瀬総本家のイノベーションにはどのようなものがあるのでしょうか。川島さん:まずは饅頭の変遷ですね。時間がたつと固くなってしまう小麦の饅頭が薯蕷饅頭になり、あんこの味が格段によくなったことで、皮の非常に薄い本饅頭が生まれました。この革新は、当社一社で行ったことです。 林:すごいですね。川島さん:林浄因の最大の功績はあんこを発明したということです。その変化により、饅頭も変遷を進めていった。それで、生まれたのが江戸時代から当社に伝わる上生菓子の『菓子見本帳』です。あんこだけで工芸品のようなお菓子を生み出す技術が、江戸時代に確立したんですね。林:そして次ですね。川島さん:戦後もお菓子の改革が起こり、当社もそれに適応するべく、いろいろなチャレンジをしています。サンリオとのコラボでキティちゃん型の饅頭をつくったり、歌舞伎座とコラボして隈取り饅頭を生み出したり、オリンピック用にチョコレート羊羹を開発したり。白い薯蕷饅頭にはなんでも描けるんですよ。林:さて、あっという間にお時間が来てしまいました。670年以上にわたる歴史をこの45分でまとめてもらうという無理をお願いしまして……。この内容は川島さんのお母様である川島英子さんが描かれた『まんじゅう屋繁盛記』にも余すことなく描かれています。歴史や民俗学、神社好きな方など、ぜひみなさんも読んでみてください。あんこを発明し、また最近ではサンリオや歌舞伎座ともコラボするなど、イノベーティブな取り組みに意欲的な塩瀬総本家。壮大な歴史を持つことに決して胡座をかかず、常にチャレンジを続ける姿勢は眩いばかりです。※この対談を動画で見たい方はコチラ あなたはどちら...? 行きたい999 興味あり999 関連する老舗Related Spot 買う 文京区 菊見せんべい総本店 せんべい和菓子 買う 銀座 塩瀬総本家 本店 和菓子饅頭 買う 上野・谷中・日暮里 信泉堂・谷中せんべい せんべい和菓子手焼きせんべい 買う 神田三原堂 せんべいどら焼き和菓子最中 一覧ページへ 同じエリアの老舗Same Spot 食べる 銀座 銀座若松 あんみつお汁粉 食べる 新橋・品川・お台場 銀座 日比谷松本楼 本店 カレーテラス席日比谷公園 食べる 銀座 銀座天國 かき揚げ天ぷら天丼 食べる 銀座 資生堂パーラー 銀座本店 ケーキパフェフルーツパーラ― 買う 銀座 塩瀬総本家 本店 和菓子饅頭 エリア一覧ページへ 老舗を探すSearch 検索する その他 浅草 向島・本所 日本橋 銀座 丸の内・八重洲 神田 上野・谷中・日暮里 飯田橋・神楽坂 お茶の水・湯島・後楽園 新橋・品川・お台場 麻布・赤坂・六本木 両国・亀戸 門前仲町・清澄白河 江戸川・江東 亀有・柴又 芝 渋谷・代官山 新宿・中野 目黒・世田谷 池袋・赤羽 大森・蒲田 吉祥寺・杉並 八王子・町田・府中 東村山・青梅・奥多摩 伊豆諸島・小笠原諸島 検索条件をクリア 検索する 食べる 買う 体験する 泊まる 検索条件をクリア 検索する 100年以上続く老舗のお歳暮・お中元・手土産をお取り寄せできる通販サイト 通販サイトへ 日本のよいものを世界へ Spotify YouTube Twitter Facebook Instagram TikTok キーワードから探すTag 寺社、仏閣 史跡、文化財 日本酒 着物 国府エリア 和服 散歩 蕎麦 伝統工芸 桜 更科そば 重要文化財 和菓子 春 お花見 日本刀 フォトスポット お祭り 浅草の老舗 日本美術 端午の節句 江戸 紅葉 伝統芸能 こどもの日 ひな祭り あんこ 日本庭園 佃煮 浴衣 コンテンツContents 江戸まちごよみ 江戸まちめぐり 私が選んだ逸品 エリア 食べる 買う 体験する 泊まる イベント情報 ライブカメラ 老舗ニュース まちめぐりガイド まちごよみ用語辞典 TOP ホーム 江戸まちごよみ 江戸まちめぐり 老舗ご当主・識者と歩く 東京文学散歩 古地図で江戸散歩 お祭りレポート 老舗レポート 私が選んだ逸品 食べる 買う 体験する 泊まる イベント 老舗ニュース まちめぐりガイド まちごよみ用語辞典 コラム 大人のマナー講座 季節の暮らし方 老舗ご当主インタビュー 老舗総合研究所 ライブカメラ サイトからのお知らせ 江戸まちツアー 江戸の老舗オンラインサロン エリア 浅草 向島・本所 日本橋 銀座 丸の内・八重洲 神田 上野・谷中・日暮里 飯田橋・神楽坂 お茶の水・湯島・後楽園 新橋・品川・お台場 麻布・赤坂・六本木 両国・亀戸 門前仲町・清澄白河 江戸川・江東 亀有・柴又 芝 渋谷・代官山 新宿・中野 目黒・世田谷 池袋・赤羽 大森・蒲田 吉祥寺・杉並 八王子・町田・府中 東村山・青梅・奥多摩 伊豆諸島・小笠原諸島 お問い合わせ よくある質問 このサイトについて サイトポリシー プライバシーポリシー Social フリーワードで検索Search キーワードから探すTag 寺社、仏閣 史跡、文化財 日本酒 着物 国府エリア 和服 散歩 蕎麦 伝統工芸 桜 更科そば 重要文化財 和菓子 春 お花見 日本刀 フォトスポット お祭り 浅草の老舗 日本美術 端午の節句 江戸 紅葉 伝統芸能 こどもの日 ひな祭り あんこ 日本庭園 佃煮 浴衣 MENU
林:引き続き、塩瀬総本家の歴史を伺っていきます。
1460年林浄因の奈良の店から、惟天盛佑が京都に店を開きました。今も烏丸三条に饅頭屋町の名前が残ります。しかしその直後である1467年に起こったのが応仁の乱。そこで祖先が疎開した先が三河国設楽郡塩瀬村でした。商売のできない間、祖先は中国に渡り、新たな知識を身に着けます。そこで生まれたのが今でも塩瀬総本家の看板メニューである「薯蕷(じょうよ)饅頭」でした。
林:これがいいサイズなんですよね。食べだすと止まらなくなります。
川島さん:当時疎開していた塩瀬城の写真もあります。
林:わー、すごい。
川島さん:現在の愛知県新城市に構えられていた小さなお城です。この城を治めていた豪族、塩瀬氏より頂戴し、屋号を塩瀬と名乗るようになりました。
林:それまでは単に「饅頭屋」と名乗っていたんですよね。
江戸時代の饅頭は「オーダーメイド」
川島さん:その後の繁盛ぶりを示すのが、「日本第一番本饅頭所」と記された大看板。銀閣寺を作った足利義政公より看板の字を書いていただきました。また、後土御門天皇より、大変名誉な五七の桐の御紋をいただいています。それから、もう一人忘れてはならないのが……。
林:でましたね。
川島さん:林宗二の孫、林宗味です。お茶が大好きで、千利休の孫娘をお嫁さんにもらったんです。彼はお茶に欠かせない塩瀬袱紗(ふくさ)という道具を発明し、饅頭とともに販売していたということです。その後、京都の家は残念ながら絶えてしまうんですが、江戸に上った祖先は日本橋、霊岸島、京橋の江戸三家に分かれ、繁盛したということです。
林:なるほど。
川島さん:とくに有名だったのが、塩瀬五左衛門。
林:霊岸島の祖ですね。
川島さん:塩瀬山城伝来記を記し、塩瀬中興の祖といわれた方です。繁盛の様子は『続江戸砂子』(1735年)、『江戸名物詩選』(1836年)といった江戸のガイドブックにも記されています。江戸時代は、棚にお饅頭を並べて「これ一つ」というような売り方は基本的にしません。注文を伺ってから、大奥やお寺にお納めするのが基本でした。
林:基本的にはオーダーメイド。
川島さん:当時、お砂糖は江戸幕府が管理する輸入品でした。江戸末期、江戸幕府の財政事情が悪化した際に、サトウキビを沖縄や徳島で育てることをはじめ、やっと庶民もお砂糖を食べられるようになったということです。
林:それまでお砂糖というのはとても贅沢なものだったんですね。
川島さん:実は、林浄因は奈良に子孫を残して中国に帰ってしまうんです。どこに帰ったか正確な場所がわからないので、彼の故郷である中国杭州西湖の国立公園内に碑を建立して、毎年秋に饅頭祭という行事を開催しています。
川島さん:そして、これが今の塩瀬総本家本店、並びに本店内茶室です。
林:それから、家訓ですね。
川島さん:社長室では、渡辺崋山という江戸時代の学者の遺訓を額に入れて展示しています。「まず朝は召使より早く起きよ」「十両の客より100文の客を大切にせよ」など商売の家訓と、「今日一日三つ君父師の御恩を忘れず不足を言うまじきこと」など生活の家訓がございます。
最大の発明品「あんこ」の誕生
林:塩瀬総本家のイノベーションにはどのようなものがあるのでしょうか。
川島さん:まずは饅頭の変遷ですね。時間がたつと固くなってしまう小麦の饅頭が薯蕷饅頭になり、あんこの味が格段によくなったことで、皮の非常に薄い本饅頭が生まれました。この革新は、当社一社で行ったことです。
林:すごいですね。
川島さん:林浄因の最大の功績はあんこを発明したということです。その変化により、饅頭も変遷を進めていった。それで、生まれたのが江戸時代から当社に伝わる上生菓子の『菓子見本帳』です。あんこだけで工芸品のようなお菓子を生み出す技術が、江戸時代に確立したんですね。
林:そして次ですね。
川島さん:戦後もお菓子の改革が起こり、当社もそれに適応するべく、いろいろなチャレンジをしています。サンリオとのコラボでキティちゃん型の饅頭をつくったり、歌舞伎座とコラボして隈取り饅頭を生み出したり、オリンピック用にチョコレート羊羹を開発したり。白い薯蕷饅頭にはなんでも描けるんですよ。
林:さて、あっという間にお時間が来てしまいました。670年以上にわたる歴史をこの45分でまとめてもらうという無理をお願いしまして……。この内容は川島さんのお母様である川島英子さんが描かれた『まんじゅう屋繁盛記』にも余すことなく描かれています。歴史や民俗学、神社好きな方など、ぜひみなさんも読んでみてください。
あんこを発明し、また最近ではサンリオや歌舞伎座ともコラボするなど、イノベーティブな取り組みに意欲的な塩瀬総本家。壮大な歴史を持つことに決して胡座をかかず、常にチャレンジを続ける姿勢は眩いばかりです。
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