浅草 浅草の老舗甘味処「梅園」。お客様や取引先との信頼関係によりブランドが確立される 和菓子甘味処 老年代から若子供まで、幅広い年齢層に親しまれる和の甘味処、梅園。長い歴史の中で関東大震災や東京大空襲を乗り越え、浅草のシンボルともいえる本店を構えつつ、全国に和菓子店も展開しています。名物のあわぜんざいを筆頭に、世代を超えて人々を虜にする甘美な新商品を次々と生み出す七代目ご当主清水貴司さんにお話を伺いました。前編の記事直径約12センチ、あんこもずっしり。1個食べれば大満足な「どら焼」あわぜんざいとクリーム白玉あんみつの次に人気の商品といえば「どら焼」と「栗きんとんどら焼」ですね。これは無敵ですねこれは。どんな世代にも喜ばれますね。こちらも北海道産の小豆を使用していまして、自家製ですね。あんの旨みを大判で挟んだ定番のどら焼と、もう一つの栗きんとんどら焼の方は生地に黒糖を練り込んであるんです。それからくりをたっぷり使って仕上げた栗きんとんで、これもかなり人気があります。うちのどら焼は大きいんですよ。他のお店に比べてかなり大きいですね。しかも餡がずっしり入っているんですよ!直径が11〜12センチあります。他のお店は大体8センチぐらいが一般的で、さらにあんこの量もすごく多い。「これ1個食べたらもうお腹いっぱい」っていう声が多かったりします。どの世代にも大人気の商品ですね。最近洋菓子ではモンブランが流行っていますし、やっぱり栗って美味しいんだなって改めて思いました。思いっきり栗を食べたいときは、梅園さんの栗きんとんどら焼ですね。本当にずしっと入っているので、ぜひ読者のみなさんにもこのずっしり感を実際に召し上がって体験していただきたいです。ありそうで無かった斬新な新商品「どらソフト」はSNSウケも抜群!3つの商品を紹介いただきましたが、あんこ作りをとても大切に考えていることがわかりました。そうですね。商品によって糖度や、馴染むバランスを計算して配合を変えて作っています。あんこ作りがとても大事ですね。そしてその大人気のどら焼きから生まれたのが「どらソフト」!最初見た時には「なんじゃこりゃ?」って感じかと思うんですけど、元々のどら焼きの皮で何かできないかな、ということを考えていたんですよ。ふと、ソフトクリームをどら焼きの皮で巻いたら面白いんじゃないかなということで、ちょっとやってみたら意外にいけたという。うちの従業員と一緒に考えたもので、実際販売してみたら受けが良くて、若い人たちにインスタグラムなどにアップしていただくことが多いです。アイスもバニラ、ストロベリー、抹茶、ゴマなど何種類かあるのですが、どらやきの皮って何味でも合うんですよね。シンプルで新しい、そんな商品がどらソフトです。ありそうでなかった感じですよね。社内で新商品の開発はどのように行なっているのでしょうか? 清水さんご自身が思いつかれるものもあると思いますし、いろいろ新商品ありますよね。僕が思いつく時もありますけど、やっぱり営業部でいろいろ企画を出し合って、提案してもらったりしていますね。こういうのいいじゃないですかっていう社内からの提案があって、試作して、という流れでしょうか。やはり自社で商品を作られているからこそ、こういうチャレンジができるのかなと思います。さてここで読者からの質問をいただいております。「あわぜんざいはテイクアウトできますか?」ということなんですが。基本的には、あわぜんざいはやっぱりお店で食べていただきたいですね。実際、あわぜんざいのテイクアウト、お土産はあるんですけども。お家に持って帰ったときに、レンジで温めていただくということでしょうか?はい、レンジでチンして召し上がっていただければ。それで柔らかく戻るわけですね。そうですね。しおりがついていますので、作り方はそちらを見ていただければと思います。テイクアウトもできるとのことなので、皆さんご安心して召し上がってください。でもやっぱり、浅草本店か日本橋で食べていただければとは思います。「ブランド」はお客様、取引先様との信頼関係の中から確立されるここから少し「ブランド」についてお話をお伺いしていければと思っております。梅園さんのお考えになられる「ブランド」、とはどういうものでしょうか。弊社は今年で169年を迎えるんですけども、「ブランド」を確立するためには2つ大事なことがあると思っていまして、1つがお客様との信頼関係です。例えばうちは親子3代で来ていただいているお客様もいらっしゃるんですね。子どもの頃におばあちゃんに連れられてきて、やがて大人になって、結婚して子どもができて……という流れがあって。これはお客様との信頼関係があってこそと考えています。2つ目は取引先様が、長いお付き合いの会社が多いという点です。先ほどのあわぜんざいについても、道具や原料など、変えていないものは変えず、末永く取引させていただいております。味を守るために道具や原料を変えずにやってきているので、取引先様には長い付き合いの中で、弊社が大事にしていることをしっかり理解していただいております。やっぱりそういったところがブランドを確立するための要因の1つとなるのではないかと考えています。ブランドの源が信頼関係にあるということですね。私も、実は子どもの頃に、おじいちゃんと浅草に行きまして、まず駒形どぜうさんに行って、その後に梅園さんに連れていってもらった記憶がありまして。梅園さんで甘味を食べて帰ったっていうのが小さい頃の思い出でとても記憶に残っているんですよね。大人になってからも、あれをおなかいっぱい自分のお金で食べたいって思ったりして(笑)。3世代っていうのはすごくよくわかりますね。記憶があって、それをたどるように浅草に吸い寄せられて行くというのがありますよね。すごく懐かしく思うっていうのは味も含めてですよね。そうですね、味も場所も全部セットになっているというか、思い出になっているというか。やっぱり来られるお客様、みなさんそういうことをおっしゃる方は多いです。だから「あわぜんざい」の味ももちろん名称も変えられないっていうのは、そういうところもあるかもしれないですね。そうですね。あんみつ1つとっても、「食べたときにおじいちゃんを思い出した」という声もたびたび聞かれます。みなさん、懐かしいとおっしゃいますね。道具とか仕入れも、梅園さんからするとご発注先になると思うんですけど、「いつものやつお願いします」だけで安定して入ってくるっていうところがあるんでしょうね。梅園さんに対して、ちゃんとしたものをお渡ししないといけないという。お付き合いの関係性が良い商品作りに繋がっているんですね。国内外に向けて東京の老舗の魅力を、積極的に情報発信中最後に梅園さんが所属されている『江戸東京ブランド協会』のご紹介をお願いできればと思います。江戸東京には、400年以上続く伝統的な工芸や匠の技、食文化や産業など数多くの魅力がありますが、一方で国内外に発信していく知見やノウハウが不足するなど、世界的に発信していく機会はまだ多くありません。優れた技や食文化、歴史ある産業を持ちながら、後継者の確保に悩みを抱える事業者も多く、培われた伝統文化が次第に衰退していくことが懸念されています。そこで一般社団法人として江戸東京ブランド協会を立ち上げまして、PR広報活動として、展示会等の開催など国内外への発信、また技術と産業の継承のための勉強会等の後継者育成などを活動の大きな柱に掲げまして、江戸東京ブランドの確立に取り組んでいく組織です。もう1つ「江戸東京きらりプロジェクト」ついてもご紹介いただけますでしょうか?東京都の事業の一環として「江戸東京きらりプロジェクト」というものをやっております。老舗の名品や匠の技、食文化はかけがえのない東京の宝です。国内外の皆様にその魅力を知ってもらい、生活の中でもっと使っていただきたい、また東京のブランドとして共感いただくことで、東京の宝を未来に引き継いでいきたいという思いから、このプロジェクトがスタートしました。『Old meets New』というコンセプトのもと、確かな品質やデザインの美しさはもちろんのこと、現代のライフスタイルに合った新しい提案をしていこうという意欲にあふれる取り組みを厳選し、東京を代表するブランドとして紹介しています。実際にお使いいただいて評価いただくことが、素晴らしい匠の技を未来に繋げていくために必要であるというプロジェクトですね。梅園さんはSNSにも力を入れて情報発信されていますよね?2020年くらいからInstagram、Twitter、Facebookを始めました。その理由としては、梅園の存在と魅力をしっかり若い人たちに伝えていきたいという思いからですね。SNSを始めたら、浅草本店や直営店で、若いお客様にたくさんご来店いただくようになりました。フォロワーさんも若い世代が増えてきて、写真もアップしていただいたりしています。これをしっかり継続して、どんどん若い人たちに梅園を知っていただき、魅力を伝えていければと思います。今回は、浅草の老舗甘味処「梅園」の商品や魅力についてお話をお聞きしました。「あわぜんざい」や「クリーム白玉あんみつ」、最近話題となっている「どらソフト」など、どれも幅広い世代に人気の商品ばかり。浅草を訪れた際にはぜひお店で味わってみてください。※この対談を動画で見たい方はコチラ あなたはどちら...? 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あわぜんざいとクリーム白玉あんみつの次に人気の商品といえば「どら焼」と「栗きんとんどら焼」ですね。これは無敵ですねこれは。どんな世代にも喜ばれますね。
こちらも北海道産の小豆を使用していまして、自家製ですね。あんの旨みを大判で挟んだ定番のどら焼と、もう一つの栗きんとんどら焼の方は生地に黒糖を練り込んであるんです。それからくりをたっぷり使って仕上げた栗きんとんで、これもかなり人気があります。うちのどら焼は大きいんですよ。
他のお店に比べてかなり大きいですね。しかも餡がずっしり入っているんですよ!
直径が11〜12センチあります。他のお店は大体8センチぐらいが一般的で、さらにあんこの量もすごく多い。「これ1個食べたらもうお腹いっぱい」っていう声が多かったりします。どの世代にも大人気の商品ですね。
最近洋菓子ではモンブランが流行っていますし、やっぱり栗って美味しいんだなって改めて思いました。思いっきり栗を食べたいときは、梅園さんの栗きんとんどら焼ですね。本当にずしっと入っているので、ぜひ読者のみなさんにもこのずっしり感を実際に召し上がって体験していただきたいです。
ありそうで無かった斬新な新商品「どらソフト」はSNSウケも抜群!
3つの商品を紹介いただきましたが、あんこ作りをとても大切に考えていることがわかりました。
そうですね。商品によって糖度や、馴染むバランスを計算して配合を変えて作っています。あんこ作りがとても大事ですね。
そしてその大人気のどら焼きから生まれたのが「どらソフト」!
最初見た時には「なんじゃこりゃ?」って感じかと思うんですけど、元々のどら焼きの皮で何かできないかな、ということを考えていたんですよ。ふと、ソフトクリームをどら焼きの皮で巻いたら面白いんじゃないかなということで、ちょっとやってみたら意外にいけたという。
うちの従業員と一緒に考えたもので、実際販売してみたら受けが良くて、若い人たちにインスタグラムなどにアップしていただくことが多いです。アイスもバニラ、ストロベリー、抹茶、ゴマなど何種類かあるのですが、どらやきの皮って何味でも合うんですよね。シンプルで新しい、そんな商品がどらソフトです。
ありそうでなかった感じですよね。社内で新商品の開発はどのように行なっているのでしょうか? 清水さんご自身が思いつかれるものもあると思いますし、いろいろ新商品ありますよね。
僕が思いつく時もありますけど、やっぱり営業部でいろいろ企画を出し合って、提案してもらったりしていますね。
こういうのいいじゃないですかっていう社内からの提案があって、試作して、という流れでしょうか。やはり自社で商品を作られているからこそ、こういうチャレンジができるのかなと思います。さてここで読者からの質問をいただいております。「あわぜんざいはテイクアウトできますか?」ということなんですが。
基本的には、あわぜんざいはやっぱりお店で食べていただきたいですね。実際、あわぜんざいのテイクアウト、お土産はあるんですけども。
お家に持って帰ったときに、レンジで温めていただくということでしょうか?
はい、レンジでチンして召し上がっていただければ。
それで柔らかく戻るわけですね。
そうですね。しおりがついていますので、作り方はそちらを見ていただければと思います。
テイクアウトもできるとのことなので、皆さんご安心して召し上がってください。でもやっぱり、浅草本店か日本橋で食べていただければとは思います。
「ブランド」はお客様、取引先様との信頼関係の中から確立される
ここから少し「ブランド」についてお話をお伺いしていければと思っております。梅園さんのお考えになられる「ブランド」、とはどういうものでしょうか。
弊社は今年で169年を迎えるんですけども、「ブランド」を確立するためには2つ大事なことがあると思っていまして、1つがお客様との信頼関係です。例えばうちは親子3代で来ていただいているお客様もいらっしゃるんですね。子どもの頃におばあちゃんに連れられてきて、やがて大人になって、結婚して子どもができて……という流れがあって。これはお客様との信頼関係があってこそと考えています。
2つ目は取引先様が、長いお付き合いの会社が多いという点です。先ほどのあわぜんざいについても、道具や原料など、変えていないものは変えず、末永く取引させていただいております。味を守るために道具や原料を変えずにやってきているので、取引先様には長い付き合いの中で、弊社が大事にしていることをしっかり理解していただいております。やっぱりそういったところがブランドを確立するための要因の1つとなるのではないかと考えています。
ブランドの源が信頼関係にあるということですね。私も、実は子どもの頃に、おじいちゃんと浅草に行きまして、まず駒形どぜうさんに行って、その後に梅園さんに連れていってもらった記憶がありまして。梅園さんで甘味を食べて帰ったっていうのが小さい頃の思い出でとても記憶に残っているんですよね。大人になってからも、あれをおなかいっぱい自分のお金で食べたいって思ったりして(笑)。3世代っていうのはすごくよくわかりますね。
記憶があって、それをたどるように浅草に吸い寄せられて行くというのがありますよね。すごく懐かしく思うっていうのは味も含めてですよね。
そうですね、味も場所も全部セットになっているというか、思い出になっているというか。やっぱり来られるお客様、みなさんそういうことをおっしゃる方は多いです。
だから「あわぜんざい」の味ももちろん名称も変えられないっていうのは、そういうところもあるかもしれないですね。
そうですね。あんみつ1つとっても、「食べたときにおじいちゃんを思い出した」という声もたびたび聞かれます。みなさん、懐かしいとおっしゃいますね。
道具とか仕入れも、梅園さんからするとご発注先になると思うんですけど、「いつものやつお願いします」だけで安定して入ってくるっていうところがあるんでしょうね。梅園さんに対して、ちゃんとしたものをお渡ししないといけないという。お付き合いの関係性が良い商品作りに繋がっているんですね。
国内外に向けて東京の老舗の魅力を、積極的に情報発信中
最後に梅園さんが所属されている『江戸東京ブランド協会』のご紹介をお願いできればと思います。
江戸東京には、400年以上続く伝統的な工芸や匠の技、食文化や産業など数多くの魅力がありますが、一方で国内外に発信していく知見やノウハウが不足するなど、世界的に発信していく機会はまだ多くありません。優れた技や食文化、歴史ある産業を持ちながら、後継者の確保に悩みを抱える事業者も多く、培われた伝統文化が次第に衰退していくことが懸念されています。そこで一般社団法人として江戸東京ブランド協会を立ち上げまして、PR広報活動として、展示会等の開催など国内外への発信、また技術と産業の継承のための勉強会等の後継者育成などを活動の大きな柱に掲げまして、江戸東京ブランドの確立に取り組んでいく組織です。
もう1つ「江戸東京きらりプロジェクト」ついてもご紹介いただけますでしょうか?
東京都の事業の一環として「江戸東京きらりプロジェクト」というものをやっております。老舗の名品や匠の技、食文化はかけがえのない東京の宝です。国内外の皆様にその魅力を知ってもらい、生活の中でもっと使っていただきたい、また東京のブランドとして共感いただくことで、東京の宝を未来に引き継いでいきたいという思いから、このプロジェクトがスタートしました。『Old meets New』というコンセプトのもと、確かな品質やデザインの美しさはもちろんのこと、現代のライフスタイルに合った新しい提案をしていこうという意欲にあふれる取り組みを厳選し、東京を代表するブランドとして紹介しています。実際にお使いいただいて評価いただくことが、素晴らしい匠の技を未来に繋げていくために必要であるというプロジェクトですね。
梅園さんはSNSにも力を入れて情報発信されていますよね?
2020年くらいからInstagram、Twitter、Facebookを始めました。その理由としては、梅園の存在と魅力をしっかり若い人たちに伝えていきたいという思いからですね。SNSを始めたら、浅草本店や直営店で、若いお客様にたくさんご来店いただくようになりました。フォロワーさんも若い世代が増えてきて、写真もアップしていただいたりしています。これをしっかり継続して、どんどん若い人たちに梅園を知っていただき、魅力を伝えていければと思います。
今回は、浅草の老舗甘味処「梅園」の商品や魅力についてお話をお聞きしました。「あわぜんざい」や「クリーム白玉あんみつ」、最近話題となっている「どらソフト」など、どれも幅広い世代に人気の商品ばかり。浅草を訪れた際にはぜひお店で味わってみてください。
※この対談を動画で見たい方はコチラ
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