「1秒タオル」が大ヒット。150年続くタオルの老舗
たとえば、タオルを1センチ角の端切れにして、水を張った水槽に落としてみます。しばらく水面にプカプカと浮かびそうなものですが、水を一瞬で吸って、なんと1秒以内に沈み始めるタオルがあります。これが「1秒タオル」です。日本のタオルの基準は60秒以内というから、その吸水力に驚かされます(※)。
開発したのは、東京都内でありながら緑豊かな青梅市に工場と直営店を構えるタオルメーカー「ホットマン」です。
「タオルを作り始めた昭和38年(1963年)から『良いタオルとは何か?』を問い続け、『一番重要なのは吸水力である』という結論に至りました。以来、“本物”を目指して、研究を重ねています」と、7代目代表取締役・坂本将之さん。
そんなたゆまぬ努力が「1秒タオル」として実を結んだのは、平成25年(2013年)のこと。良質な地下水を豊富に利用し、余分な油脂や不純物を徹底的に取り除く独自製法で吸水性を高めたタオルをより多くの方に知っていただくために、「1秒タオル」と名付けて販促していきました。一方で、当時工場長だった坂本さんは、1秒以内という試験結果を常に出せるように製造処方の再構築と徹底を行います。
妥協なく本物を追い続ける姿勢は、企画から製造、販売までの工程をすべて自社で行うことができる“製販一貫”にもあらわれています。国内タオル業界でこのスタイルを貫くのは、「ホットマン」のみなのです。
「弊社のタオルは、手触りがふんわりとしていて、とても長持ちします。これは綿の厳選から紡績、撚糸、染色、織り、仕上げまでを全て自社で徹底して管理しているからこそ。織りの工程では、細い糸を密度高く、丁寧に織り上げる絹織物の技術も駆使しています。布地がいつまでもフワフワでヘタらないのはそのためです」と、穏やかな口調ながらも熱いまなざしで語る坂本さん。
柔軟剤を使えば、カンタンに柔らかく仕上がるタオル。しかし、そうした薬剤が肌を刺激し、糸の持つ吸水力を阻害する面もあるため、ホットマンは製造段階では絶対に使用しないのだとか。
「毎日、直接肌に触れるものだからこそ、薬剤ではなく技術によって安心して使える良品を届けたいと思っています」。
社名通りの“ホット”な愛がこめられて、「一度使ったらやみつきになる」と人々を熱狂させるトップクラスのタオル。自分へのご褒美や大切な人への贈り物に、おひとついかがですか。
※吸水性を調べる試験「沈降法(JIS規格)」によるもの。