Tokyo

11/05 (火)

大野屋總本店

創業 安永年間(1772年~1780年)

いつの時代も“人の手でつくること”にこだわってきた和装雑貨店

映画館や劇場などが集まり、江戸・東京の文化を牽引してきた銀座や日本橋からもほど近い新富町の一角に、国の登録有形文化財になっている木造建築が特徴的な和装雑貨店「大野屋總本店」はあります。現在、当主を務めているのは7代目・福島茂雄さんです。

「大野屋總本店」で長きにわたりつくられてきたものの1つが、新富形の足袋。あらゆる商品が機械で大量生産されている現代ですが、大野屋總本店の足袋はすべて職人の手づくり。足袋に用いる布の裁断から仕上げまで、すべて店内奥の階段を上った先にある工房で行われているのです。

足袋づくりの最初の工程は、左右あわせて10枚の布を内側用、外側用、底用に裁断すること。事前に測ったお客様の足の形にあわせて断つ「立体裁断」という技法が用いられているそう。その後、工房の中でひときわ存在感をはなつ大きな足踏みミシンで、縫う箇所にあわせて糸の太さを変えながら縫いあわせていきます。縫い合わせの段階で最も注意しなければならない箇所がつま先。足の形に合わせつつ、丸みを持たせた状態で仕上げる必要があるそうです。縫い合わせた足袋は、足型にあわせて作られた木型にはめ込み、歩く際に縫い目が当たって足が痛くならないよう木槌で縫い目を叩いてならします。

「これら多くの工程に職人達の繊細かつ高度な技術が加わり、ようやくお客様一人ひとりの足にあう理想の足袋が完成するのです」と福島さん。丁寧につくられた大野屋總本店の足袋は、一般のお客様だけでなく、歌舞伎役者や舞踏家、能役者にも愛用されています。また店先では、足袋の他にハンカチ、手ぬぐい、割烹着なども販売されており、コロナ禍でつくられたユニークな色や柄のマスクも好評を博しています。

沿革History

安永年間(1772年~1780年)に、子どもの頃から手先が器用だったという初代・福島美代吉が、三田で装束の仕立て屋を開いたのが大野屋總本店の始まりです。技術の高さは薩摩藩のお屋敷から御用を承ったほど。

三田から新富町に移転したのは嘉永2年(1849年)。明治初~中期に新富座(旧守田座)や歌舞伎座といった芝居小屋が建てられ、芸者さんが集まる華やかな街となっていくなかで、5代目・福太郎が“新富形の足袋”をつくり出します。この足袋が多くの役者や芸者さんに愛用されたことで、大野屋の名は広く知れ渡りました。

福島茂雄さん

大野屋總本店 7代目ご当主

常にお客様の期待に応える商品を作っていきたい

当店の足袋はオーダーメイドだけでなく店頭でも販売しています。ご購入の際は、可能な限りお客様の足型と用途にあったものを選び、ご提供いたします。すべては「お客様の期待に、丁寧に応えていきたい」という思いがあるから。ぜひ一度、大野屋總本店にお越ししください。

注目のこの逸品Pickup

新富形の足袋

白足袋・こはぜ4枚 3,960円

新富形の足袋の魅力は、一般的な足袋よりも底の型を狭く採り、上から包み込むように覆っているため、足が細くきれいに見えること。はき心地も重視し、長時間履いてもきつさや痛みを感じないように、つま先をふっくらと丸く仕上げています。丈夫な綿生地のキャラコを使い、長く使えると評判の商品です。

手作りマスク

770円〜

コロナ禍で、お客様から「マスクをつくれないか」と聞かれたのがきっかけでつくり始めました。現在、保湿性のある綿100%ガーゼを6重にしたものと、夏でも心地よくつけられる麻が素材のものと2種類販売されています。白無地以外に花柄や格子柄を中心にユニークな柄物が多数揃っており、マスク生活を楽しめます。

老舗概要Outline

住所 東京都中央区新富2-2-1
アクセス 東京メトロ有楽町線新富町駅より3分、東京メトロ日比谷線築地駅より7分
電話 03-3551-0896
営業時間 9:00〜17:00
定休日 土日祝
支払い方法 現金・QRコード決済(PayPay)
外部リンク
オンラインショップ
公式ホームページ

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