口どけのよい上質な海苔を通して日本の食文化に出会う
日本橋三越の向かい、日本橋のメインストリートに暖簾を掲げる山本海苔店。嘉永年間より日本橋で海苔の商いを続けてきた、この町の顔のひとつです。入口に立つと、時折焼きたての海苔の香りが漂ってきます。
天井が高く、奥行きのある重厚な造りの店内には、さまざまな商品と共に、海苔と山本海苔店の歴史を物語る品々が並びます。また、海苔船の船底をイメージした天井や海苔の細胞を表した信楽焼タイルで装飾された壁など、海苔にちなんだ建築要素も見逃せません。
見慣れた商品のデザインや店名の文字自体がすぐれた作品になっていることにも気付かされます。荘重かつモダンさを感じさせる店のロゴは大正から昭和にかけて活躍した書家の大池晴嵐によるもの。極上銘々海苔「梅の花」の缶の意匠は発売開始時に江戸蒔絵師の9代三田村秀芳が制作。現在のものは、そのご子息である三田村有純東京芸大教授がリデザインしたものです。
本店ならではの幅広い品揃えも、買い物をする上での大きな楽しみです。定番の「梅の花」はもちろん、スナック感覚で食べられ、若い世代にも人気の「おつまみ海苔」や、本店で焼きあげた特別な海苔、数量限定の島根県 十六島で採れる岩海苔の佃煮などの、シーズンギフトや限定コラボ商品といった特別感のある品が揃います。商品知識の豊富な店員さんと相談しながら、ギフトの用途や贈り先に適した品、もちろん自分のためのとっておきにも出会えるはずです。
もうひとつ、山本海苔店が本物の海苔ひとすじに、時代とともに発展してきた背景には、社会的責任への高い意識があります。海苔漁師を大事にする姿勢、社員一人ひとりを大切にするといった社是には、お客様を含めた海苔を取り巻く人すべての幸せへの願いが込められているのです。
パリッと小気味よい食感の後に口中でふわっとほどけ、口いっぱいに広がる深いうま味と香り。ほかにはないこの口どけこそが山本海苔店の海苔の真骨頂です。創業から継承されてきた海苔への本気とこだわり、幸せへの願いが、一枚の海苔に込められています。