注目は70年ぶりにリニューアルした深川店
成田山深川不動尊の仲見世通りにある和菓子司「梅花亭 深川店」。古くからある建物が多く建ち並ぶこの一画で、2021年12月にリニューアルオープンしたばかりの明るくモダンなデザインの外観が目を引きます。
「お客様に気軽に立ち寄っていただけるように入口の扉を大きく開けて、外から店の奥まで見通せる開放的な空間をつくることにこだわりました」と話すのは取締役の望月実千さん。
「敷地が細長いので、狭さを感じさせないように各所に工夫を凝らしました。奥の喫茶スペースは片側の壁を全面鏡にすることで、倍の広さに感じられるようになっています。瓦屋根が鏡に映り込むことで、まるで2階建ての古い家屋が店の奥に建っているようにも見えるんですよ」
店内を装飾する瓦や木材は、旧店舗で使われていたものを一つひとつ取り外して移設したのだそう。テーブル席の足元には、年季の入った板(2階窓の手摺)が入山札をイメージした形で埋め込まれていたり、頭上には可愛らしい雀のオブジェがあったりと、遊び心溢れる空間になっています。
今回70年ぶりとなるリニューアルの指揮をとった望月さんは、長年イギリス系金融関係の仕事をしていましたが、2016年にシンガポールより帰国し、高齢の母に代わって店を切り盛りするようになったのだそう。
「まったく別業種の仕事を経験してきたからこそ、この小さな店に立った時に、梅花亭ならではの良さが見えてきたんです。大量生産できなくても機械化したりアウトソースすることなく、とことん手づくりにこだわるのがうちのやり方。たとえば名物のどら焼きは一度に9枚しか焼けないのですが、手間と時間を惜しまずに一つひとつ愛情を込めてつくることが大切だと考えています」
喫茶スペースでは店で扱っている全ての商品が味わえるほか、ここだけのオリジナルスイーツも用意されています。