色彩と模様の美しさに浸る華やかな江戸千代紙
小ぢんまりした店内に、彩り豊かな千代紙、おもちゃ絵、張り子人形がひしめく菊寿堂いせ辰は、大人も子どももワクワクせずにはいられない魅力に溢れています。
木版手摺でつくられている「江戸千代紙」は、京都の千代紙に比べ、模様や色のコントラストが明瞭で、描かれるモチーフも歌舞伎などの江戸庶民の好みが反映されているのが特徴。かつては、女の子の玩具として普及した「姉さま人形」の着物にしたり、折り紙として広く愛されました。最近では、絵の表装やランプシェードに使うなど、インテリアに利用するお客様も少なくありません。
また、「千代紙」と並ぶ看板商品の「おもちゃ絵」は、江戸庶民の暮らしを描いた版画のこと。モチーフとして描かれているのは季節の行事や動物などさまざまで、子どもの絵本や図鑑のように親しまれてきました。
「おもちゃ絵」や「千代紙」の品揃えは1000点以上。いずれも木版手摺りで1色ずつ重ねて摺っていくことから、何枚もの版木を使用します。なかには30以上の色板を使うものもあるのだそう。新たな図案の商品をつくり上げるには、高い技術を持った絵師、彫り師、摺り師が必要なので、商品となるまでに3年以上を費やすといいます。昔の図案を商品に仕上げていくことも。
千代紙の模様があしらわれた文具や手ぬぐい、風呂敷など、気軽に購入できる雑貨も数多くあり、家族や友人への贈り物を選ぶのにもぴったりのお店です。