【第3回 四角友里さん】山おやつに欠かせない「とらやの羊羹」。季節の移り変わりを感じる和菓子の楽しみ方

麻布・赤坂・六本木 とらや 四角友里 小形羊羹 山おやつ 山歩き 干菓子 生菓子 羊羹

各界の著名人に、お気に入りの老舗の逸品を語っていただくインタビュー連載。第3回は、「山スカート」を日本で広め、若い女性を中心に新たな登山の楽しみ方を伝えてきた四角友里さんが、創業して約500年を数える「とらや」の 赤坂店を訪ねました。アクティブなイメージの山登りと、繊細な印象の和菓子は意外にも「親和性がとても高い」のだとか。ビギナーにも優しい山登りの魅力から、山で食べる和菓子、新たな和菓子の楽しみ方まで、とらや 赤坂店3階にある「虎屋菓寮」で、和菓子をいただきながらお話をお聞きしました。

四角友里さん

アウトドアスタイル・クリエイター

お話をお聞きしたのは…

「山スカート」を世に広めた、女子登山ブームの火付け役。四季折々の自然を味わいながら山歩きする魅力を伝えるとともに、全国での講演活動、執筆、アウトトドアウェア・ギアの企画開発などを手がける。『山登り12ヵ月』(山と渓谷社刊)や『一歩ずつの山歩き入門』(エイ出版社刊)など、山登り初心者にも優しい登山本を多数執筆。

四角さんのInstagramはコチラ

四角友里さん流、自然と触れ合うための山歩き

「山に出合って、人生がとても彩り豊かになったんです」。2003年、長野県にある北アルプスの上高地を訪れて以来、自然に魅了され、山歩きの原点になったと話す四角さん。
「初めての上高地は観光でしたが、その時に見た景色が忘れられなくて。実際に行くまでは、“山”って、風景の中の遠い存在でしたが、歩いた先にどーんと雄大な山並みが現れて、自分が大きな自然に包まれているような感じがしたんです。『もう少し山に近づいてみたい』という“山への憧れ”のような気持ちが湧き上がってきました」

もともと運動が得意なわけでもなく体力もない、「リュックすら重く感じるタイプでした(笑)」という四角さんは、お天気のいい日に散策路を1時間歩くことから慣らし、季節ごとにひと山、ふた山と回数を増やしていき、多い時には週1〜2回のペースで山へ通うようになったそう。
登頂やスポーツとしての爽快感を求めて登るのではなく、自然と触れ合うために始めた山歩きでは、合間の「おやつ時間」も大切にしているといいます。

写真提供:四角友里(撮影:加戸昭太郎)

「素晴らしい景色の中で、お気に入りの和菓子を食べたり、携帯用のコーヒードリッパーを持って行ってコーヒーを淹れたりと、おやつの時間をとても大事にしています。その中でも羊羹や干菓子(写真下:和三盆糖製『推古』12個入 1,296円)は私の定番です」

「こういった和菓子は、歩きながら食べられて、エネルギー源としてすぐに吸収されるので、登山にはぴったりなんです。羊羹は昔からおやつとして持っていく登山者は多く、ランニングや山登り用のスポーツ向け羊羹もあるほど。せっかくなら1番好きな羊羹が食べたいので、私はとらやさんの『小形羊羹』(292円)を持参することが多いです」
1度の登山にとらやの小形羊羹を何本か持っていくという四角さん。
「こんなに小さくても、ものすごくエネルギーが詰まっているので、最後まで歩き通すためのエネルギー補給に、また、いざというときの非常食の意味も込めて多めに持って行きます。山でいただくときには、パッケージを開けたら、そのまま片手でパクッと…。手も汚れない! この食べやすさも魅力です」

山歩きでは、非常時のために行動食(おやつやごはん)は多めに持っていくのが鉄則なのだそう。そんな意味でも、羊羹は山歩きのお供にぴったりなのです。

海を越えて、山で広がる『ジャパニーズスイーツ』

とらやの小形羊羹『おもかげ』の中でも、四季折々に変わる季節限定のパッケージをよく手にするという四角さん。海外での山登りにも、日本からとらやの小形羊羹を持参するといいます。
「海外の山のなかにいるときだからこそ、日本の味にほっとしますよね。また山小屋に泊まったとき、海外のハイカーの方と親しくなり、お互いのおやつを交換しあって、私は小形羊羹をお渡ししたことも。『ジャパニーズスイーツ!』と喜んでもらえた素敵な思い出です。小さなサイズで持ち運びがしやすく、暑さや寒さなどの温度変化にも強く、日持ちするのも便利なところです」
海を渡り、山でのコミュニケーションツールのひとつになっているという羊羹。さらに四角さんは、小形羊羹よりも大きなサイズの羊羹(とらやでは中形羊羹もしくは竹皮包羊羹と呼ばれるサイズ)を、山小屋のご主人への手土産などに選ぶことも多いそう。

「お世話になっている山小屋のご主人へお渡しするのに、羊羹なら好きな時に切って食べてもらえますし、老舗であるとらやさんのものならお客さまをお迎えした時のちょっとしたおもてなしにも使ってもらえる。数年前の年末に山小屋に伺った際には、毎年12月にだけ購入できる、新年のお祝いにぴったりな富士山を模した羊羹『髙根羹』を持っていった思い出もあります。ちなみに、登山やキャンプの帰りにはとらや御殿場店にもよく立ち寄ります。御殿場限定羊羹『四季の富士』を購入したり、虎屋菓寮であんみつを食べたり。とらやさんの主力工場が御殿場にあり、おいしい富士山の伏流水で羊羹などが作られているんだと伺い、山好きとしては嬉しく、ますますファンになりました」

四季の富士 春(1,944円)※5月下旬までの販売

山登りを始めてから、さらに好きになった和菓子

『四季の富士』は、冬は雪に覆われて夕焼けに染まる富士山、春は桜色の背景に緑の裾野が広がる富士山など、四季折々で表情を変える富士山を題材にした季節の羊羹。著書『山登り12ヵ月』(山と渓谷社刊)でも、山登りの四季折々の魅力を紹介するなど、四角さんにとって一番の楽しみは“季節の表情”だといいます。

「日本の山は花や紅葉の全盛期だけが美しいわけではなく、季節ごとに繊細かつ劇的に変わる景色に魅了されます。花が咲いている瞬間はもちろん、紅葉が落ちてからも綺麗ですし、その落ち葉が腐葉土になって次の命を育んで森が豊かになるように、綴られていく自然の物語がある。それをできる限り味わいたくて、何度も通ってしまうんですよね。山の表情は12カ月で全く異なりますし、その移り変わりを追いかけるのはじつは忙しくもあるのですが、細かな季節の表情をとらえる和菓子の世界と、とても似ていると感じます」
日本の四季の移ろいを表現してつくられる生菓子。元々甘いものが好きだったという四角さんですが、山に通い、自然を身近に感じられるようになってから、和菓子をさらに好きになったそう。
「行き先が近場の場合には生菓子をかごの弁当箱に詰めて、おやつとして持っていきます。実際に紅葉の季節に同じ紅葉色の生菓子を買って、山の上で食べたときには、周りの景色とお菓子がぴったりで嬉しくなりました」

「例えばこのきんとん製『遠桜(とおざくら)』抹茶付き(1,540円)は、山の桜のピンクの濃淡がモザイクのように混じり合うこんもりとした山並みを思い出します。山歩きをする前は、和菓子を見ても、それと呼応する景色を持ってはいなかったんですよね。自分の中に景色を思い描けるようになったからこそ、和菓子が表現している情景に、より感動するのかもしれません。」
※季節の生菓子は半月ごとにラインナップが変わります。遠桜は2023年4月21日現在販売を終了しております。
一方で、山の景色を思い起こさせてくれる和菓子は、四角さんにとって、仕事が忙しいときなど心がカサカサしたときの栄養でもあるそう。

『桜餅』抹茶付き(1,474円) ※『桜餅』は期間限定商品となり、2023年4月21日現在販売を終了しています

「なかなか山に行く時間が取れないとき、家にいながらにして手軽に自然を取り入れられるのも和菓子なんです。『自然が恋しいな』という時に買って、自宅でいただくことも多いです。季節の和菓子をいただきながら、遠くにある山の風景に思いを馳せると、心も満たされますし、手間暇をかけて丁寧につくられた生菓子は、気持ちまで贅沢になります。こちらの『遠桜』も、周りのきんとんと内側の小倉餡の食感の違いを楽しめたり、御膳餡入りの『桜餅』もぎゅっとした美味しさを塩気のある桜の葉が引き立てていて、味わい深かったです」

※季節の生菓子は、時期によって変わります

四季の移ろいの美しさを、和菓子や着物、山歩きで楽しんでほしい

アウトドアや登山の一方で、着物着付け師の経歴も持つ四角さん。着物の文化と和菓子も共通点が多いとのこと。

「着付けを習い始めた当時、『季節の花が描かれているお着物はその花が咲いてる時期に着てはいけない。季節を先取って着るもの』と教えてもらい、正直『ルールが多くて難しいな』と思っていたのですが、着物を勉強し始めたのと山歩きを好きになった時期がちょうど一緒だったので、『こないだ着た着物に描かれていたあの花、本当にいま、山に咲いてる!』と、自然や季節に目を向けるきっかけになりました。四季の移ろいがあるからこそ、季節を先取りして美しさを愛でるという日本ならではの文化は和菓子・着物に共通していて、実際に山に行けば目の前にその美しさが広がっている。その瞬間だけではなく、前後の余韻までも愉しむという感覚は、日本人特有の豊かさですよね」
山登りをする人にこそもっと和菓子を知って、見た目も味も楽しんでほしい、和菓子が好きな方、着物を着られる方にこそ、ぜひ山に足を運んでみてほしいと語る四角さん。日本の四季の美しさから生まれた和菓子の、より深い楽しみ方を教えてもらいました。
取材・文/藤井存希
写真/島村 緑

★とらや「小形羊羹」の通販はから

四角友里さんが訪れたお店Visit

とらや 赤坂店

住所 東京都港区赤坂4-9-22
アクセス 東京メトロ銀座線・丸ノ内線赤坂見附駅より7分

電話 03-3408-2331
外部リンク

公式ホームページ

四角友里さん

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お話をお聞きしたのは…

「山スカート」を世に広めた、女子登山ブームの火付け役。四季折々の自然を味わいながら山歩きする魅力を伝えるとともに、全国での講演活動、執筆、アウトトドアウェア・ギアの企画開発などを手がける。『山登り12ヵ月』(山と渓谷社刊)や『一歩ずつの山歩き入門』(エイ出版社刊)など、山登り初心者にも優しい登山本を多数執筆。

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