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浅草川松|創業1873年、雷門十軒目の鰻重を六代目が語る【動画】

東京・浅草。雷門をくぐらずに雷門通りを田原町の方へ歩くと、十軒目に「川松」の暖簾があります。創業は明治6年(1873年)。関東大震災で店を焼かれながら同じ場所に建て直し、150年以上、国産の鰻を焼き続けてきた日本料理店です。

その六代目・松澤彰子氏が、ご当主インタビュー番組「伝統はイノベーションの連続である」に登場しました。この記事では動画をご紹介しながら、川松という一軒の来歴と、江戸から続くうなぎ屋という商いの背景を、公開されている資料で裏を取りながら整理します。

この動画の見どころ

この回はCICライブのシリーズで、概要欄に章立てのタイムスタンプが設けられていません。そのため本記事ではタイムスタンプを記さず、番組の構成と、動画を見る前に知っておくと理解が深まる点を挙げます。

  • 45分の長尺インタビュー。再生時間は45分18秒。ご当主の語りをまとまった長さで聞ける回です
  • 語り手は六代目・松澤彰子氏。動画のタイトルと概要欄に「浅草 川松 6代目 松澤 彰子氏」と記されています
  • 番組のテーマは「伝統はイノベーションの連続である」。3代100年続いてきた秘訣を、伝統と革新、家訓という切り口から伺う構成です
  • 公開は2021年5月。飲食店が最も厳しかった時期の収録であることを念頭に置くと、語られる内容の重みが変わります

浅草川松とは — 創業は何年か

創業は明治6年(1873年)です。公式サイトはページタイトルに「創業明治6年」と掲げ、本文では「明治初期創業」「鰻を中心とした日本料理店です」と記しています。浅草槐の会が運営する「浅草大百科」の会員店紹介も「伝統の味とおもてなしの気持ちを受け継いで創業150年を越えました」とし、2026年現在で153年目にあたる計算と合います。

店の場所は創業当時から変わっていません。agataJapanの浅草川松の老舗ページによれば、明治6年にうなぎ屋として現在と同じ場所に創業し、当時の店にはバルコニーが備わっていたといいます。その後、関東大震災(1923年)で店舗は焼失しましたが再建し、今も同じ浅草の地で営業を続けています。

住所は東京都台東区浅草1-4-1、雷門通り沿い。東京メトロ銀座線・都営地下鉄浅草線の浅草駅から徒歩3分、つくばエクスプレスの浅草駅から徒歩8分です。

看板メニュー「冨貴」の名は三代目女将から

川松の品書きの中心にあるのが、鰻料理を一通り楽しめるコース「冨貴(ふき)」です。この名は三代目女将の名前から採られています。公式サイトは「看板メニューの冨貴(3代目女将の名前です)は様々な鰻料理をお楽しみ頂けます」と記し、浅草大百科の紹介文も同じ説明をしています。

先祖の名を冠した一皿が今も品書きの看板に残っている、という一点だけでも、この店が代を数えて商いを渡してきたことが伝わってきます。六代目が守っているのは味だけではありません。

うなぎ屋はなぜ江戸の商いになったのか

動画では語られない背景を補っておきます。鰻は日本では先史時代から食べられてきた魚で、文字の記録は『風土記』(713年)に遡ります。『万葉集』(759年)には夏の疲れに鰻を食べることを詠んだ歌もあり、暑い時期に鰻を食べる感覚は千年以上前からあったことになります。

「蒲焼」という言葉の最初の記録は1399年の『鈴鹿記』とされます。この頃の鰻は筒切りや丸ごとの串焼きで、味噌や酢を付けて食べるものでした。串に刺した姿が蒲(がま)の穂に似ていたことから蒲焼と呼ばれるようになった、という説が一般的です。

江戸で鰻が大衆のものになったのは、埋め立て地に鰻が豊富だったからです。屋台で売られる鰻は、力仕事をする人々が手早く安く食べられるもので、一串の値段は蕎麦一杯とほぼ同じでした。1700年ごろに背を開いて骨を取ってから串を打つ方法が広まり、関東の濃口醤油が普及すると、1700年代半ばにはタレをつけて焼く蒲焼が形になります。江戸の人々は地元の鰻を「江戸前」と誇り、他所の鰻を「旅鰻」と呼んで区別しました。

浅草界隈に鰻屋が多いのはこの延長線上にあります。隅田川の河口に近く、水辺の魚を扱う店が並んだ土地柄です。agataJapanでは同じ台東区で川の魚を扱ってきた駒形どぜう、浅草で肉食の普及を担ったちんやのご当主インタビューも記事にしています。

関東風の蒲焼とは何が違うのか

川松の鰻は関東風です。関東風は背から開いて焼き、15分ほど蒸して余分な脂を落とし、タレをつけて焼き直します。やわらかく軽い仕上がりになるのが特徴です。一方の関西風は腹から開き、蒸さずにそのままタレをつけて焼くため、脂が残り香ばしさが前に出ます。

なお「武士が腹を切るのを嫌ったから関東は背開きになった」という説は俗説とされ、背開きは身の切り方と蒸しの工程に適していたという説明のほうが実際に即しています。浜松や諏訪は蒸さずに焼き、福岡は焼いてから蒸す「せいろ蒸し」にするなど、焼き方は土地ごとに違います。

職人の世界では「串打ち三年、割き五年(八年とも)、焼き一生」という言葉が使われます。鰻を割く専用の鰻裂き包丁も地域ごとに形が違い、技術の積み重ねが味を分ける商いであることを示しています。川松が「2日間水に打たせてから調理する」(老舗ページ)という手順を守っているのも、この積み重ねの一部です。

いまのうなぎが置かれている状況

鰻を扱う店を紹介するうえで触れておくべきことがあります。ニホンウナギは2014年6月12日にIUCNレッドリストで絶滅危惧種(EN)に指定されました。環境省のレッドリストでも2013年2月1日から絶滅危惧IB類に分類されています。

卵から成魚まで人の手で育てる完全養殖は2010年に研究段階で成功しましたが、コストの問題で商業化には至っていません。つまり現在の養殖は、天然のシラスウナギを採って育てる形に依存しています。産卵場所は2006年にマリアナ海嶺のスルガ海山付近で幼生が見つかり、その後の調査でも同じ海域での産卵が確認されています。

一尾の鰻が安いものではなくなった背景には、この資源の事情があります。150年焼き続けてきた店が、これから先も焼き続けられるかどうかは、店の努力だけで決まる話ではありません。

何が名物か — 品書きと価格

2026年10月10日に公式サイトで確認した主な品書きです。価格はすべて税込です。

  • 鰻重 上 きも吸付 5,500円 / 鰻重 中 きも吸付 4,500円 / 鰻重1/2サイズ きも吸付 2,500円
  • いかだ重(きも吸付) 7,900円 — 重箱からはみ出るほどの鰻を並べた一品
  • 中入れ丼(きも吸付) 7,000円 — ご飯の下にも鰻が入る二重層の丼
  • 冨貴(ふき) 6,600円 — 鰻ざく、おさしみ、鰻巻、柳川(小)、鰻重(1/2)、きも吸い、香の物などの定食。三代目女将の名を冠した看板
  • 司(つかさ) 8,800円 — 前菜、おさしみ、茶わんむし、揚物、酢の物、鰻重(1/2)、吸物、香の物、デザートの構成
  • 一品料理:柳川なべ 2,420円 / 鰻巻 2,100円 / 鰻ざく 1,870円 / 茶わんむし 990円
  • 天ぷら:天ぷら定食 4,500円 / かき揚 3,300円 / 天丼(吸物付) 2,700円

※agataJapanの老舗ページには「うな重 中 3,300円」「冨貴コース全8品 5,280円」と記載がありますが、これは掲載当時の価格です。本記事は公式サイトの現行価格を採りました。ご利用の際は公式サイトでご確認ください。

買う・訪ねる

  • 住所:東京都台東区浅草1-4-1(雷門通り沿い、雷門から十軒目)
  • 電話:03-3841-1234
  • 営業時間:平日 11:30〜15:00(L.O.14:15)/17:00〜20:00(L.O.19:15)、土・日・祝 11:30〜20:00(L.O.19:15)
  • 定休日:月曜日(月曜が祝日の場合は火曜)。公式サイトに定休日カレンダーがあり、変更される場合があるため予約時の確認が案内されています
  • 公式サイト:浅草川松
  • agataJapanの老舗ページ:浅草川松
  • エリアから探す:東京都の老舗

※営業時間には出典による差異があります。公式サイトは平日夜を17:00〜20:00(L.O.19:15)としていますが、浅草大百科とagataJapanの老舗ページは17:00〜21:00(L.O.20:00)と記しています。本記事は公式サイトの記載を採用しました(2026年10月10日確認)。

川松は飲食店のため、通販サイト「老舗通販.net」には出店していません(2026年10月10日に全244コレクションを確認)。鰻重は店で召し上がっていただく品です。なおテイクアウトの取り扱いについては店舗へお問い合わせください。

同じ浅草の老舗の品は、老舗通販.netの浅草老舗特集にまとまっています(2026年10月10日時点の取扱は梅園・吉徳)。

老舗フェスティバル2026 by agataJapan

agataJapanは2026年10月3日(土)、東京・日本橋の福徳の森と仲通り周辺で「老舗フェスティバル2026 by agataJapan」を開催しました。全国の老舗が出店し、当日限定の逸品やセミナーが並ぶ一日となりました。ご来場・ご出展いただいた皆さま、ありがとうございました。

当日の様子は公式SNSのハッシュタグ「#老舗フェスティバル」「#老舗ウィーク」でもご覧いただけます。会場で出会った一軒の背景を、こうした動画で深く知っていただくのがagataJapanの役割です。

100年続く老舗の品を、お取り寄せで

「老舗通販.net」は、3代100年以上続く老舗だけが参加する通販サイトです。2010年の開設以来、全国の老舗の品を扱ってきました。遠方でお店に足を運べない方も、ここから取り寄せられます。

老舗通販.net で老舗の品を探す

動画シリーズ「日本の老舗」について

この回は、ご当主インタビュー番組「伝統はイノベーションの連続である」(CICライブ)の一本です。日本各地の文化と経済の中心である「老舗」をテーマに、3代100年続いてきた秘訣を、伝統と革新、家訓といった普段あまり語られてこない切り口から伺う45分の番組です。

チャンネル「日本の老舗」では、全国のご当主インタビューを公開しています。agataJapanでの記事化分は「動画で見る日本の老舗」からまとめてご覧いただけます。

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スターマーク株式会社は、agataJapanと老舗通販.netの運営を通じて、老舗の魅力を伝える取り組みを続けています。動画取材・記事化・EC出店・ブランディングのご相談は、スターマーク株式会社のお問合せフォームからお寄せください。

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