駒形どぜうの動画サムネイル

駒形どぜう|創業1801年、江戸のどぜうなべを七代目が語る【動画】

浅草・江戸通り沿いに、二階に窓のない商家が建っています。駒形どぜう。目の前を参勤交代の行列が通ったため、大名行列を見下ろす無礼を避けて、通りに面した二階には窓を設けなかった——そう伝えられる建物です。戦後に江戸時代の図面をもとに建て直された出し桁造りで、現在の店舗は昭和39年(1964年)のものです。

創業は享和元年(1801年)。11代将軍・徳川家斉の時代に、武蔵国出身の初代・越後屋助七が、浅草寺への参詣客が通る浅草駒形の地にどぜう汁を出すめし屋を開いたのが始まりです。以来220年あまり、どじょう料理一筋で続いてきました。

YouTubeチャンネル「日本の老舗」では、どじょうを丸ごと使うふわふわの食感と、200年以上変わらない仕込みについて紹介されています。再生回数は9万7千回を超え、このシリーズのなかでも際立って多く見られている回です。動画とあわせて、「どぜう」という独特の表記の由来から整理しました。

どじょう丸ごと!ふわふわ食感の浅草名物!『駒形どぜう』(YouTubeチャンネル「日本の老舗」)

公開日:2022年12月10日/再生時間:9分56秒

動画の見どころ

  • どじょうを切らず裂かず、丸ごと提供するという考え方
  • 酒を惜しみなく飲ませて身をやわらかくする、独特の下ごしらえ
  • 江戸甘味噌でゆっくり煮込み、骨まで柔らかくする工程
  • 全国の生産者を訪ねて質の良いどじょうを買い付ける、目利きの仕事
  • 入れ込み座敷という空間と、料理の出し方
  • 時代に合わせて店の役割と提供する価値を変えてきたこと

※この回の概要欄には章立てのタイムスタンプがないため、見どころを箇条書きで示しています。

駒形どぜうとは——創業は何年か

創業は享和元年(1801年)。初代・越後屋助七が浅草駒形でどぜう汁のめし屋を開きました。やがて評判を呼んで繁盛し、2代目(3代目との説もあります)助七が売り出したくじらなべも人気になります。「どじょうという一番小さい魚を使った料理を出しているのだから、一番大きな魚の料理を出してみよう」という思いつきから始まったのだそうです。

関東大震災と第二次世界大戦で店舗を焼失しましたが、その都度再建。現在の店舗は昭和39年(1964年)に建てられたものです。現在の当主は7代目・渡辺隆史さん。「作法もなく、カジュアルに楽しめる敷居の低さが身上です。主役はあくまでお客様」と語っています。(出典:agataJapan.tokyo「駒形どぜう」、2026年10月1日確認)

なぜ「どぜう」と書くのか

どじょうは、歴史的仮名遣いでは「どぢやう」あるいは「どじやう」と綴ります。いずれも4文字です。文化3年(1806年)の大火で店が類焼した際、4文字は割り切れて縁起が悪いとして、縁起のよい奇数の3文字「どぜう」に改めた——そう伝えられています。看板は「撞木屋仙吉」という看板書きに依頼して書かせたといいます。(出典:agataJapan.tokyo「駒形どぜう」、Wikipedia「駒形どぜう」、2026年10月1日確認)

仮名遣いとしては誤りですが、店の歴史そのものを記録した表記でもあります。いまでは「どぜう」はどじょう料理店全般を指す言葉のようにも使われています。

江戸甘味噌と「江戸のファストフード」

どぜうなべの味の芯になっているのは江戸甘味噌です。米麹を多く使い、塩分を抑えて短期間で仕込む味噌で、色は濃いのに甘い。江戸の町で広く使われた味噌で、駒形どぜうではちくま味噌の江戸甘味噌を用いています。どぜう汁はこの味噌でゆっくり煮込み、どぜうなべの場合はさらに割下で煮るという手間をかけます。

どじょうは小骨も内臓も含めて丸ごと食べられる魚で、たんぱく質やカルシウムを手早く取れる食材でした。働く人が朝から立ち寄って汁と飯をかき込み、仕事に向かう——創業以来、昼営業と夜営業の区別のない通し営業を続けているのは、その食べ方に合わせた営みの名残です。三社祭の時期には特別に朝7時から店を開け、法被姿の担ぎ手がどぜう汁を食べて神輿へ向かう光景が見られるといいます。

「江戸のファストフード」と呼ばれるのは、安くて早くて栄養が取れる、という三つがそろっていたからです。

入れ込み座敷という空間

暖簾をくぐると、江戸の雰囲気をそのまま残した入れ込み座敷が広がります。藤畳の上に金板(かないた)と呼ばれる板状のテーブルが並び、炭火の上で煮えたどぜうなべが供されます。二階は椅子席の大広間と個室、地下一階も椅子席です。

ご当主は「今後も従業員全員が板場に立てる技術を持ち、接客も全員が行えるようすべての仕事を知り、つねに客席に目配りをしながらお客様に一番の食べ頃を提供できるように努力を続けていく」と語っています。炭火の上の鍋は、放っておけば煮詰まります。誰が見ていても食べ頃を出せる体制が必要だ——という話です。

何が名物か——どぜうなべとどぜう汁

  • どぜうなべ……2,100円。酒で酔わせたどじょうを江戸甘味噌で煮込んだのち、浅い鉄鍋に並べ、炭火の上でこまめに割下を差しながらネギをたっぷりのせて食べます。七味・山椒はお好みで
  • どぜう汁……350円。一番小さいどじょうを使用。酒に酔わせてからちくま味噌で仕込みます。ささがきごぼうを添えた汁を白飯と一緒に食べるのが江戸スタイル。ごはんは宮城県登米産のひとめぼれ
  • さらしくじら……1,300円。2代目(3代目との説もあり)が始めたくじら料理。現在はミンククジラの肉を使っています
  • おすすめの一杯……5代目当主が全国を行脚して見つけた、どぜうなべに合う日本酒・京都伏見「ふり袖」

※価格と品書きは時期によって変わります。最新の情報は公式サイトでご確認ください。(2026年10月1日確認)

買う・訪ねる

  • 店舗:東京都台東区駒形1-7-12
  • 電話:050-5448-6266(公式サイト記載)/agataJapan.tokyoでは 03-3842-4001 と案内しています
  • 営業時間:11:00〜20:30(L.O.20:00/公式サイト記載)。agataJapan.tokyoでは 11:00〜21:00(L.O.)と案内しており、情報に差があります。お出かけ前に店舗へご確認ください
  • 定休日:月ごとに不定の休業日があります(公式サイトに掲載)。agataJapan.tokyoでは「大晦日と元旦のみ」と案内しています
  • 公式サイト:駒形どぜう 本店
  • agataJapan.tokyoの紹介ページ:駒形どぜう/味を守る姿勢(当代インタビュー)/40分煮込み、骨まで柔らかく仕上げる
  • エリアで探す:東京都の老舗

※駒形どぜうの品は老舗通販.netでは取り扱いがありません(2026年10月1日確認)。店舗でお楽しみください。

あわせて読みたい(浅草・台東区の老舗):梅園|創業1854年、浅草の元祖あわぜんざいを守る【動画】/常盤堂雷おこし本舗|創業1816年、浅草名物の雷おこしを語る【動画】/いせ源|創業1830年、東京唯一のあんこう鍋を七代目が語る【動画】

老舗フェスティバル2026で全国の老舗に会える

agataJapanでは毎年、日本が世界に誇る老舗の技術と文化に触れられるイベント「老舗フェスティバル by agataJapan」を開催しています。2026年は日本橋で開催します。

  • 日時:2026年10月3日(土)10:00〜18:00(予定)
  • 会場:福徳の森・仲通り周辺(東京都中央区日本橋室町2-5-10)
  • 入場:無料(飲食・セミナーなどは別途費用)
  • 内容:老舗・ご当地マルシェ、伝統工芸ワークショップ、全国の酒蔵による日本酒の飲み比べ、老舗サミット、ステージパフォーマンスほか
  • 詳細:老舗フェスティバル2026 by agataJapan
  • チケット・特設ページ:老舗通販.net 老舗フェスティバル2026特設ページ

会場に隣接する福徳神社は、古くから商売繁盛の祈願で親しまれてきた神社です。老舗の逸品を手に取りながら、日本橋の歴史と文化に親しむ一日をお過ごしください。

100年続く老舗の品を、お取り寄せで

「老舗通販.net」は、3代100年以上続く老舗だけが参加する通販サイトです。2010年の開設以来、全国の老舗の品を扱ってきました。遠方でお店に足を運べない方も、ここから取り寄せられます。

老舗通販.net で老舗の品を探す

YouTubeチャンネル「日本の老舗」

この動画を公開しているYouTubeチャンネル「日本の老舗」では、創業100年を超える老舗の当主に、老舗を老舗たらしめる「五つの奥義」を語ってもらうインタビューシリーズを配信しています。ほかの回は動画で見る日本の老舗からご覧ください。

老舗のブランディング・販路開拓のご相談

スターマーク株式会社は、老舗通販.net の運営とagataJapanのメディア運営を通じて、老舗の魅力を国内外に伝える仕事をしています。自社の歴史や技術をどう伝えればよいか、ECや海外向けの販路をどう広げるか——そうしたご相談はスターマークのお問合せフォームからお寄せください。

新着・おすすめ情報

  1. 萬年堂本店

  2. 竹とすだれ 西河

  3. 【いせ辰】「辰」の正月飾り千代紙

  4. 【第17回】「田舎蕎麦」と「更科蕎麦」の違いとは

  5. 最初は‟武士の内職”から。日本の夜を168年間、江戸提灯で照らし続ける「吉野屋商店」

  6. 【竺仙】干支手拭

  7. かんだやぶそば

  8. 清月堂本店_水原康晴さん

    清月堂本店

  9. 2023年土用の丑の日はいつ? 由来やうなぎを食べる理由とは?

  10. 言問団子

  11. 竺仙

  12. 【老舗ご当主・識者と歩く】日本推しラトビア人アルトゥルさんと虎ノ門−新橋の老舗をめぐる

  13. 【かんだやぶそば】春の味覚「若竹そば」のご紹介

  14. 京都でも最古の歴史を持つ「松井酒造」。日本酒づくりを軸に展開する、革新的な取り組み

  15. 【第11回】江戸時代に生まれた「かけそば」の起源