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蔦の家|創業1937年、西京漬の極み「京華漬」を三代目が語る【動画】

蔦の家(つたのや)は、東京都新宿区四谷で西京漬を商う店です。創業は昭和12年(1937年)。もともとは四谷で和食割烹を営んでいた店で、政治家や経営者にも通われた料理屋でした。その店が客の求めに応じて売り始めた西京漬が、いまでは看板商品になっています。

店の西京漬には「京華漬(きょうかづけ)」という独自の名前がついています。「京」は西京漬が生まれた京都、「華」は華の大江戸。京都の味を江戸の店が引き受けたという意味が、商品名そのものに込められています。

agataJapanのYouTubeチャンネルでは、三代目当主・一萬田英希(いちまだ ひでき)氏が語る約28分のインタビューを公開しています。江戸東京ブランド協会の企画「江戸東京ブランド巡り — 江戸のスゴ技、うまいもの教えます」の第13回です。この記事では動画の内容に加えて、創業と沿革、京華漬の製法、西京漬という食べものの背景、買える場所を、公式サイトなどで裏を取ってまとめました。(本文の事実関係はいずれも2026年10月12日に確認しています)

動画で語られているのは何か

動画は2022年11月27日の公開で、長さは28分6秒。聞き手に答える形で、三代目が京華漬の成り立ちと作り方、そして新商品の話をしていきます。この回には章立て(チャプター)が設定されていないため、以下は動画の概要欄と、同じ取材をもとにしたagataJapanの連載コラム(前編・後編)から、話題の並びを整理したものです。タイムスタンプは動画側に用意がないため記していません。

  • 西京漬が看板になるまで — 四谷の和食割烹として始まった店が、客の求めに応じて西京漬を売り始めた経緯
  • 「京華漬」という名前 — 京都の「京」と華の大江戸の「華」を合わせた命名の由来
  • 味噌床のつくり方 — 秘伝の醤油ベースの「返しダレ」を、熟成させた味噌床(味噌どこ)に合わせる
  • 大名切り — 厚い角切りにする店独自の切り方。外側から味噌が入り、中心には魚の旨みが残る
  • 漬け込みの時間 — 魚の種類に応じて日数を変える。切り身は厚い大名切りより短く漬ける
  • 京華鮨「鯖」 — 西京漬の鯖を焼き、黒米と白米を合わせた飯で握る寿司。10年以上前に開発したもの
  • 京華燻製 — 京華漬をさらにチップで長時間燻し、解凍すればそのまま食べられるようにした新商品
  • 三代目が引き受けたもの — 先代に誘われて店に入り、10年ほど働いたのちに後を任された経緯と、守るものと変えるものの線引き

蔦の家とは

株式会社蔦の家。創業は昭和12年(1937年)で、2026年で89年目にあたります。所在地は東京都新宿区四谷4-3-2 中川ビル1F、東京メトロ丸ノ内線「四谷三丁目」駅の近くです。代表取締役は三代目の一萬田英希氏。公式サイトは店を「八十余年来の伝統製法」を土台とする店と紹介しています。

一萬田氏は先代に誘われて店に入り、10年ほど働いたのちに後を継ぐよう頼まれたと語っています。連載コラムでは「伝統の商品を守りつつ、新しい商品開発などに積極的に取り組んで頑張っております」と述べており、京華燻製や京華鮨は、その言葉どおりに生まれた商品です。

店は和食割烹から始まりました。いまも物販が中心ですが、酒類販売業免許(四法1154)を持ち、日本酒「蔦」も扱っています。2024年11月には、原材料・人件費・運送費・光熱費の高騰を理由に一部商品の価格を改定したことを公式サイトで告知しています。

京華漬はどう作られているのか

西京漬は、白味噌を味醂で伸ばした床に魚を漬け込む料理です。京華漬がふつうの西京漬と違うのは、主に三つの点です。

一、味噌床に「返しダレ」を合わせる

熟成させた味噌床(店では「味噌どこ」と呼びます)に、秘伝の醤油ベースの「返しダレ」を混ぜ込みます。味噌は西京味噌と、より甘みの強い京味噌を合わせたもの。この調合と熟成が、公式サイトのいう「他に類を見ないコクと香ばしさ」のもとになっています。(※味噌の種類については、公式インタビューが二種の調合と説明する一方、新宿区のふるさと納税の商品説明は「三種の味噌」と記しています。配合の詳細は非公開のため、本記事では当主本人の説明にもとづいて記しました)

二、「大名切り」で厚く角に切る

店独自の切り方で、魚を厚い角切りにします。見た目が豪勢になるというだけではありません。厚く切ると、味噌は外側から入り、中心には魚そのものの旨みが残る。味噌の味と魚の味の両方を一切れのなかに同居させるための切り方です。最上級の「孟宗竹割蓋(もうそうちくわりがい)」は腹側の身を使い、価格を抑えた品は尾に近い部分を使います。

三、一切れずつ手で漬け、手で包む

漬け込みは一切れずつ手作業で行い、漬け上がったものをガーゼで包んで出荷します。漬け込みにかかるのは数日で、魚の種類によって日数を変えます。(※連載コラムは前編で3〜4日、後編で2〜3日としており、魚や切り方によって幅があるものと読めます。厳密な日数は店にご確認ください)包装も「ひとつ、ひとつ、手で包み結ぶ」と公式サイトが掲げるとおり、手で行われています。

商品は、大名切りの「孟宗竹割蓋」「すだれ巻き」「竹皮包み」と、一切れずつ真空包装した「おひとつ包装」、それらを組み合わせた詰合せ(「万葉」「花鳥」「羽衣」など)に分かれます。切り身の魚種は目鯛・銀鱈・鰆・サーモン・メロなどで、たらこの西京漬もあります。2026年9月には秋限定の詰合せ「萩」が加わりました。

新しい商品も続けて出しています。「京華燻製」は、京華漬をさらにチップで長時間燻したもの。焼く手間がいらず解凍すればそのまま食べられ、西京焼とは違うしっとりした食感になります。魚を食べる機会が減っているなかで、手軽に魚を口にしてほしいという発想から生まれた商品で、京華漬とは別のロゴを与えられています。赤は火、黒は煙。2026年7月には「スモークレッグチキン」が加わり、魚以外にも広がっています。

西京漬と白味噌、そして四谷という土地

「西京」という言葉は、明治維新で都が江戸に移って東京と呼ばれるようになったあと、京都を指して使われた呼び方です。西京味噌は白味噌の一種で、公家・宮廷の食文化のなかで育ちました。初代・丹波屋茂助が禁裏御所(現在の京都御所)の注文を受け、宮中料理用の味噌を仕込んで献上したのが始まりとされています。当時貴重だった米を多く使い、麹を糖化させて自然な甘みを出すため、塩分は5%前後と低い。関西の白味噌仕立ての雑煮や酢味噌、田楽、味噌松風といった菓子にも使われ、そのひとつの使い道が、味醂で伸ばして魚や肉を漬ける西京漬です。

塩分が低く甘い味噌床は、塩蔵のように魚を長く保たせるためのものではありません。味噌の酵素が魚のたんぱく質に働いて旨みを引き出し、焼いたときに糖が色づく。保存のための加工から、味を作るための加工へ——西京漬は、その移り変わりの上にある食べものです。

店のある四谷という土地にも、来歴があります。「よつや」が文献に現れるのは天正18年(1590年)の内藤清成『天正日記』。徳川家康が甲州街道と青梅街道を整えたとき、その途中に設けられた四谷大木戸が、地名として「四谷」と名づけられた最初とされます。大木戸は元和2年(1616年)に置かれた江戸市街の出入りの検問所で、寛政4年(1792年)に廃止されました。その跡を示す碑は、いまの新宿四丁目交差点の近くにあります。地名の由来には四軒の茶屋説と四つの谷説がありますが、いずれも定説ではありません。

蔦の家の住所は四谷4-3-2。大木戸があったあたりから、ほんの目と鼻の先です。京都の味噌で魚を漬ける店が、江戸の出入口だった場所に店を構えている。「京華」という名前は、地理の上でもよく合っています。

買う・訪ねる

  • 店舗 — 東京都新宿区四谷4-3-2 中川ビル1F。営業時間 10:00〜19:00(土曜は18:00まで)、定休日は日曜・祝日。電話 03-3357-8337。(2026年10月12日に公式サイトで確認。お出かけの前にご確認ください)
  • 公式サイト・オンラインショップ — 西京漬の極み「京華漬」蔦の家。商品の種類ごとにページが分かれており、お召し上がり方の解説もあります。
  • ふるさと納税 — 新宿区の返礼品に京華漬「肉類お楽しみセット」が入っています。自治体を通じて取り寄せられます。
  • 百貨店の催事 — 丸井今井札幌の「江戸老舗めぐり展」、山形屋(鹿児島)やトキハ(大分)の「大江戸のれん市」などに出展しています。開催の情報は公式サイトのお知らせに随時掲載されます。
  • agataJapan.tokyo の連載 — ご当主インタビューを前編(京華漬とは)・後編(京華燻製とブランディング)の二本に分けて掲載しています。

なお、蔦の家は「老舗通販.net」には出店していません。魚や味噌を使った保存のきく品を探すなら、同サイトの発酵食品や食の名物の特集が入口になります。agatajapan.com では、同じく魚とご飯の相性を商いにしてきた新橋玉木屋(東京・港区/佃煮)や山本海苔店(東京・日本橋/味付け海苔)のご当主インタビューも記事にしています。東京都の老舗の一覧もあわせてご覧ください。

老舗フェスティバル2026 by agataJapan

2026年10月3日、東京・日本橋で「老舗フェスティバル2026 by agataJapan」を開催しました。全国の老舗が一堂に集まり、三井本館見学会や老舗・ご当地セミナーをはじめとする企画に多くの方がお越しくださいました。ご来場いただいた皆さま、ご出展いただいた老舗の皆さまに、あらためて御礼を申し上げます。

蔦の家は2026年のフェスティバルには出展していませんが、京都の味噌を江戸の店が引き受けて八十余年続けてきた仕事は、このイベントが伝えようとしてきた「三代百年を越えて受け継がれてきたもの」に重なります。当日の様子や御礼は、以下のページからご覧いただけます。

100年続く老舗の品を、お取り寄せで

「老舗通販.net」は、3代100年以上続く老舗だけが参加する通販サイトです。2010年の開設以来、全国の老舗の品を扱ってきました。遠方でお店に足を運べない方も、ここから取り寄せられます。

老舗通販.net で老舗の品を探す

動画で見る日本の老舗

この動画は、一般社団法人江戸東京ブランド協会が主催し、東京都が後援、★STARMARK®が企画した「江戸東京ブランド巡り — 江戸のスゴ技、うまいもの教えます」の第13回です。江戸開府から四百年を越える東京に根を張ってきた老舗の旦那衆が、知られていない技と、知って嬉しいうまいものを、自分の言葉で紹介していくシリーズです。

YouTubeチャンネル「日本の老舗」とagataJapanでは、全国の老舗のご当主インタビューを公開しています。agatajapan.com では、このシリーズの記事を 動画で見る日本の老舗 にまとめています。

老舗の魅力の伝え方について、ご相談ください

スターマーク株式会社は、老舗の取材・記事化・動画制作・EC(老舗通販.net)の運営を通じて、三代百年を越えて続いてきた事業の価値を伝える仕事をしています。自社の歴史をどう伝えればよいか迷っている企業の方、老舗との協業をお考えの方は、スターマークのお問合せフォームからご連絡ください。

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