創業 明治10年(1877年)
味が程よく染み込んだ薄い油揚げのいなり寿司
老舗が数多く連なる人形町甘酒横丁。その中ほどにある「人形町志乃多寿司總本店」は、創業140年を超える持ち帰り専門の寿司店です。店先のショーケースには、いなり寿司やのり巻、押し寿司、茶巾寿司など、多彩な品揃えの折り詰めがずらりと並んでいます。折り詰めの組み合わせが豊富なので、どれにしようか迷ってしまいそう。少し先には明治座があり、観劇帰りにこちらでお土産を購入していくお客さんも多いのだとか。
看板商品は、創業当時から変わらない味を守り続けているいなり寿司「志乃多」。その味を“変わらない”ものにするために、製法自体は素材に合わせて細やかに変化させているのだそう。
「醤油や砂糖、油揚げなどの材料は、時代によって仕入れ先が変わったり、素材の質が変化することがあります。たとえば、昔は油揚げを煮たらその日のうちに使っていたこともあったのですが、今は冷蔵庫で3~4日寝かせ、もう一度煮ています。そうした工程を経たほうが、ちょうどよく味が馴染みます」と5代目ご当主の吉益敬容さん。
使う素材によって味のブレが生じないように、手間も時間も惜しまないのが志乃多のスタイルなのです。数年前に油揚げの仕入れ先が廃業してしまったことがあり、その際には理想の油揚げを求めて奔走したそう。
「うちのいなり寿司は甘辛くて濃い目の味つけなので、味がしつこくなりすぎないように油揚げは薄めのものを特注しています。そういう油揚げを作ってくれる会社を、全国で探しました。さらに、油揚げが変われば、最適な煮方も変わります。そこはベテランの職人の勘が頼り。つきっきりで理想的に仕上がる煮方を模索しました」
油揚げをおいしく仕上げるポイントは油抜きの仕方と煮る時間だそう。そこにこだわってこそ、あらゆる世代から愛される昔ながらのいなり寿司が出来上がります。明治座の方向に少し歩くと隅田川沿いの浜町公園があるので、お好きな折り詰めをテイクアウトして青空のもとで味わうのもおすすめです。
沿革

明治10年(1877年)、明治維新により武士の職を失った初代が、好物だったいなり寿司を売り出したのが始まりです。明治後期には、当時はまだ珍しかったデリバリーサービスを開始。店の暖簾に3桁の電話番号が大きく記載されていて、電話で注文を受け、自転車で配達をしていた記録が残っています。戦後は、焼失してしまった店を建て直し、伝統のいなり寿司に加え豊富なメニュー展開で広く認知されるように。現在はのれん分けしたお店が3系統あり、それぞれ独自に経営しています。

吉益敬容さん
人形町志乃多寿司總本店 5代目ご当主
いなり寿司から始まった志乃多寿司ですが、最近では、見た目にも楽しい寿司ドーナツや家庭で手軽に楽しめる真空パックのいなりあげなど、バラエティに富んだ商品をご用意しています。伝統を大切にしつつも常に新しいことにチャレンジしていきたいです。
注目のこの逸品

のり巻志乃多
9個入り 842円
味の染み込んだ油揚げと甘酸っぱいご飯のバランスが絶妙な「いなり寿司」、程よい甘さでしっかりと歯ごたえのある「かんぴょう巻き」。看板商品の2品が同時に味わえる人気の折り詰めです。酢と塩だけで味つけした塩気が強めのガリは、甘いおいなりさんと相性抜群。おいなりさんに一切れのせていただくのがおすすめです。
スポット概要
| 住所 | 東京都中央区日本橋人形町2-10-10 |
|---|---|
| 電話 | 03-5614-9300 |
| 営業時間 | 9:00〜19:00 |
| 定休日 | 年中無休 |
| 支払い方法 | 現金・クレジットカード・電子マネー |
| 外部リンク | 公式ホームページ |







