にんべんと榮太樓總本鋪のヒット商品開発セミナーの動画サムネイル

ヒット商品開発|創業1699年にんべんと榮太樓總本鋪の革新を語る【動画】

東京・日本橋で、鰹節ひとすじに元禄12年(1699年)から。江戸の菓子舗として文政元年(1818年)から。にんべんと榮太樓總本鋪の社長が同じ壇上に並び、「ヒット商品はどう生まれたのか」を語り合いました。2025年10月11日、老舗フェスティバル2025の「老舗・ご当地サミット」で行われたセミナーです。無料で出していた出汁を有料に切り替えた話、本店を改装して売り場を「体験の場」に変えた話、そして二つの老舗が組んで飴をつくった話。25分54秒の動画を、章立てにそってご紹介します。

「老舗・ご当地サミット『ヒット商品開発秘話:老舗企業の革新に迫る』/老舗・ご当地セミナー/老舗フェスティバル 2025 by agataJapan」/再生時間 25分54秒/公開 2025年12月10日/会場 野村コンファレンスプラザ日本橋6F 大ホール/開催日 2025年10月11日(土)

動画の見どころ(タイムスタンプ)

この回は概要欄に章立てが記載されています。以下はその並びです。

  • 00:00 オープニング・登壇者紹介
  • 01:03 登壇者による自己紹介と企業概要
  • 04:57 新ブランド開発のきっかけ
  • 05:39 にんべん:伝統と「だしバー」の誕生秘話
  • 08:29 榮太樓總本鋪:本店リニューアルと「価値体験」への転換
  • 13:28 ヒット商品誕生のエピソード
  • 13:50 にんべん:有料での出汁提供に踏み切ったわけ
  • 17:48 榮太樓總本鋪:職人による「焼きたて金鍔」提供の狙いとは
  • 18:29 老舗同士のコラボレーション事例
  • 18:52 にんべん×榮太樓總本鋪「旨み飴」「サーティーワンアイスクリーム」開発
  • 22:20 【まとめ】革新を可能にした哲学
  • 24:16 日本橋の未来と地域への貢献

登壇したのは誰か

  • 髙津 伊兵衛氏(株式会社にんべん 代表取締役社長)
  • 細田 将己氏(株式会社榮太樓總本鋪 代表取締役社長)
  • 弥富 尚志氏(東京都よろず支援拠点 チーフコーディネーター/モデレーター)

進行役の弥富氏が所属するよろず支援拠点は、中小企業庁の「中小企業・小規模事業者ワンストップ総合支援事業」にもとづいて各都道府県に置かれている、無料の経営相談窓口です。チーフコーディネーターは中小企業庁が公募で選定します。老舗の商品開発を、経営支援の現場から見る目で聞き出していく構成になっています。(出典:中小企業庁/2026年10月31日確認)

にんべんとは——創業は何年で、何を変えてきたのか

創業は元禄12年(1699年)。初代・髙津伊兵衛が日本橋四日市の土手蔵で、鰹節と塩干類の商いを始めたのが起こりです。享保5年(1720年)には瀬戸物町(現在の室町)に移って本店とし、初代自らが「現金掛値なし」の看板を書きました。天保のころ(1830年ごろ)には銀製の薄板でつくった商品券を発行しており、徳川時代の末期に出された商品券のなかでは最古のものとされています。昭和44年(1969年)には、袋に窒素ガスを封入して酸化を防ぐ削り節「フレッシュパック」を業界に先駆けて発売しました。会社としての設立は大正7年(1918年)11月20日で、設立時の社名は株式会社高津商店。現在の商号は株式会社にんべん、代表取締役社長は髙津伊兵衛氏です。本社は東京都中央区日本橋室町一丁目5番5号。(出典:にんべん公式サイト 会社概要・沿革/2026年10月31日確認)

当主インタビューを軸にしたにんべんの単独記事は、にんべん|創業1699年、本枯鰹節とだしを十三代目が語るにあります。商品券の仕組みや本枯鰹節の工程は、そちらで詳しく扱っています。

榮太樓總本鋪とは——屋台の金鍔から日本橋の菓子舗へ

創業は文政元年(1818年)。細田徳兵衛が武蔵国飯能(現在の埼玉県飯能市)から江戸に出て、九段坂に「井筒屋」を構えたのが始まりです。安政4年(1857年)、3代目・細田安兵衛が日本橋西河岸町に独立した店を構え、屋号を「榮太樓」に改めました。この屋号は安兵衛の幼名「栄太郎」に由来します。会社としての設立は2011年(平成23年)11月、代表取締役社長は細田将己氏、本社は東京都中央区日本橋箱崎町14-2です。(出典:榮太樓總本鋪公式サイト 会社概要/2026年10月31日確認)

名代の金鍔(きんつば)は、栄太郎が屋台で焼いた商品が始まりで、魚河岸の商人たちの評判を呼んで江戸中に広まりました。三角形の梅ぼ志飴は安政年間の創製。鋏で切った紅色の飴が三角形になり、その姿が梅干しに似ていたことから、江戸っ子が「梅ぼ志」と呼んだのが名の由来です。梅は入っていません。技の話は榮太樓總本鋪|創業1818年、日本橋の飴と金鍔を守る技にまとめています。

新しい売り場はどう生まれたか——「だし場」と本店リニューアル

動画の04:57から08:29は、両社が新しいブランドや業態に踏み出したきっかけにあてられています。

にんべんの「日本橋だし場(だしば)」は、公式の沿革では平成22年(2010年)に「一汁一飯」をコンセプトとして始まったものです。現在は日本橋本店(COREDO室町1・1階)に立ち飲み形式のスタンディングバーが併設され、営業時間は11:00〜18:00。鰹節を売る店が、だしそのものを店先で出す場をつくった形です。贈答向けには「本枯鰹節 飲むおだし」も並びます。(出典:にんべん公式サイト 沿革・店舗情報/2026年10月31日確認)

榮太樓總本鋪の日本橋本店は2020年8月1日にリニューアルオープンしました。約200平方メートルの売り場に江戸の長屋の街並みを再現し、「Art×和菓子」をテーマに、それまで別々の売り場に分かれていた5つのブランド——榮太樓、あめやえいたろう、日本橋 榮太樓、からだに、えいたろう、東京ピーセン——を一つの店に集めています。職人が客の目の前で菓子をつくるオープンキッチンと、和菓子カフェ「日本橋 えいたろう茶屋」を併設し、焼きたての名代金鍔、みたらし団子、メゾンカイザーのパンを使ったあんバタートーストなどを店で食べられるようにしました。動画で「価値体験」という言葉が出てくるのは、この改装の話です。(出典:日本橋経済新聞/2026年10月31日確認)

ヒット商品はどこから来たか

13:28からが商品そのものの話です。にんべんは「有料での出汁提供に踏み切ったわけ」(13:50)を、榮太樓總本鋪は「職人による焼きたて金鍔提供の狙い」(17:48)を語ります。どちらも、それまで無料や既製品で済ませていたものを、あえて手間と価格をかけた「その場でしか得られないもの」に置き換えた話です。焼きたての名代金鍔が店で出せるようになったのは、上の2020年の改装でオープンキッチンができたからでした。

老舗が老舗と組むとどうなるか——うまみ飴とアイスクリーム

18:29からは、二つの老舗が組んだ事例です。

榮太樓飴「うまみ飴」は、にんべんの「金色の鰹だし」——本枯鰹節に椎茸と昆布を合わせただし——を、白ざら糖の有平糖と合わせた琥珀色の飴です。着色料と香料は使っていません。2024年10月1日から1年間の限定販売で、榮太樓總本鋪とにんべんの両社で扱われ、発売記念のキャンペーンは同年10月1日から15日まで行われました。なお動画の概要欄では「旨み飴」と表記されていますが、両社のプレスリリースでの表記は「うまみ飴」です。(出典:両社のプレスリリース/2026年10月31日確認)

もうひとつがサーティワン アイスクリームとのコラボレーションです。フレーバー名は「黒みつ入り日本橋のみたらし」。2025年4月30日から5月6日まで、日本橋三越本店 本館1階 中央ホールに開かれた期間限定店舗「サーティワン三越」で販売され、5月9日から全国のサーティワン アイスクリーム店舗(一部店舗を除く)でも売られました。甘じょっぱいみたらし風味に、黒みつのリボンを合わせた一品です。老舗の菓子と鰹だしが、アイスクリームチェーンの全国の店頭に乗った事例になります。(出典:ORICON NEWS/2026年10月31日確認)

背景知識——鰹節と江戸の菓子、そして日本橋

鰹節には、燻して乾燥させただけの荒節と、そこにカビを何度も付けて熟成させる本枯鰹節があります。本枯の技術が確立したのは江戸末期から明治にかけて。削りの厚みは0.05ミリ以下まで薄くされ、口の中でとろけるような食感が生まれます。にんべんのフレッシュパックは、家庭で鰹節を削らなくなる時代を見越した商品でしたが、特許を取得したうえで他社にも使用を許可しました。業界全体を伸ばすほうを選んだ判断です。

一方の江戸の菓子は、上方の菓子とは成り立ちが違います。金鍔が屋台から始まったように、職人の技が町の商いと地続きでした。そして江戸の日本橋は五街道の起点であり、魚河岸を抱えた商いの中心地。人と金と情報が集まる場所には、進物や手土産の需要が生まれます。日本橋に鰹節屋と和菓子屋の老舗が揃っているのは偶然ではなく、町の機能がそのまま店を育てた結果です。動画の最後(24:16)が「日本橋の未来と地域への貢献」で締められるのは、この土地の文脈の上にあります。

同じ老舗・ご当地サミットのセミナーからは、有田焼|創業1804年の窯元と榮太樓總本鋪の異業種コラボも記事にしています。こちらは榮太樓總本鋪が有田の窯元と組んだ「ITOKASHI」の回で、本記事と合わせて読むと、同じ菓子舗が異業種とどう組んでいるかが見えてきます。

【おしらせ】榮太樓總本鋪 日本橋本店は一時閉店し、仮店舗で営業中です

この動画は2025年10月の収録です。その後、日本橋地区の再開発にともない、2020年に改装した日本橋本店(東京都中央区日本橋1-2-5)は2026年3月31日の営業をもって一時閉店しました。最終営業日の3月31日18時からは閉店式が行われています。2026年4月15日からは仮店舗(東京都中央区日本橋1-2-8/電話 03-3271-7785/10:00〜18:00)で営業を再開しており、本店跡地には2032年ごろに新しい本店が戻る予定です。安政4年(1857年)に日本橋へ店を構えてから169年ぶりの移転になります。動画に出てくる本店の売り場やカフェは、現在はこの仮店舗での営業に切り替わっているため、ご来店の際は公式サイトの最新のお知らせをご確認ください。(出典:榮太樓總本鋪公式サイトのお知らせおよびプレスリリース/2026年10月31日確認)

買う・訪ねる

にんべん

  • 公式サイト:にんべん/オンラインショップ:にんべん公式通販
  • 日本橋本店:東京都中央区日本橋室町2-2-1 COREDO室町1・1F/電話 03-3241-0968/月〜金 11:00〜19:00、土・日・祝 10:30〜19:00/1月1日を除き年中無休(COREDO室町1に準ずる)
  • 日本橋だし場 本店(本店併設のスタンディングバー):11:00〜18:00
  • 文字でも詳しく:agataJapan.tokyo のにんべん 日本橋本店
  • 老舗通販.net には、2026年10月31日時点でにんべんの取り扱いはありません

榮太樓總本鋪

エリアで探す:東京都の老舗/中央区の老舗 連載一覧:動画で見る日本の老舗

老舗フェスティバル、ご出展・ご来場の御礼

この動画は、2025年10月11日に野村コンファレンスプラザ日本橋で開かれた「老舗・ご当地セミナー」のアーカイブです。老舗フェスティバルは毎年秋に日本橋で開催しており、老舗フェスティバル2026 by agataJapanは2026年10月3日に開催しました。ご出展いただいた老舗の皆さま、ご来場いただいた皆さまに、あらためて御礼申し上げます。セミナーのアーカイブは今後も記事としてご紹介していきます。

よくある質問

にんべんと榮太樓總本鋪の創業は何年ですか?

にんべんは元禄12年(1699年)、榮太樓總本鋪は文政元年(1818年)の創業です。セミナーではそれぞれ「創業326年」「創業207年」と紹介されており、収録年の2025年から数えた年数と一致します。

「うまみ飴」とはどんな商品ですか?

にんべんの「金色の鰹だし」を使い、白ざら糖の有平糖と合わせた榮太樓飴です。2024年10月1日から1年間の限定販売で、着色料と香料は使われていません。

「日本橋だし場」はいつからあるのですか?

にんべんの公式の沿革では、平成22年(2010年)に「一汁一飯」をコンセプトとして始まったとされています。現在は日本橋本店に併設されています。

チャンネル「agataJapan」について

この動画は、スターマーク株式会社が運営するYouTubeチャンネル「agataJapan」で公開されている、老舗フェスティバルの「老舗・ご当地セミナー」のアーカイブです。全国の老舗のご当主や、地域の産業に取り組む方々の話を収録しています。

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