「伝統とは、守るものではなく、攻め続けた結果である」——2025年10月11日、東京・日本橋で開かれた「老舗・ご当地サミット」のパネルトークで語られた言葉です。登壇したのは、創業1804年(文化元年)の有田焼窯元アリタポーセリンラボ(弥左ヱ門窯)、色鍋島を受け継ぐ今右衛門窯、そして創業1818年(文政元年)の日本橋の菓子舗榮太樓總本鋪。佐賀の焼きものと江戸の飴が、ひとつの商品になるまでの話です。
全編26分20秒。前半は東都のれん会の立場からの基調講演「100年続く老舗の条件とは」、後半は有田焼と日本橋の異業種コラボレーション「日本橋 ITOKASHI」の開発秘話という二部構成になっています。
「老舗・ご当地サミット/有田焼の革新〜 老舗×老舗 日本橋 ITOKASHI コラボレーション」(YouTubeチャンネル「agataJapan」)/収録:2025年10月11日・老舗フェスティバル2025「老舗・ご当地セミナー」(会場:野村コンファレンスプラザ日本橋6F 大ホール)/再生時間:26分20秒/公開:2025年11月27日
動画の見どころ(タイムスタンプ)
この回は概要欄に章立てが設定されています。そのまま目次として使えます。
- 00:05 オープニング・プログラム紹介
- 01:09 【基調講演】100年続く老舗の条件とは?
- 03:19 老舗が愛され続ける「安心感」と、主人の姿勢
- 06:32 【パネルトーク】有田焼の革新 × 日本橋コラボレーション
- 08:43 登壇者の自己紹介
- 11:54 今右衛門窯の挑戦——海外ブランドとのコラボレーション
- 15:13 伝統工芸を現代の生活へ——マウスパッドからカフスまで
- 16:18 「伝統=挑戦」——時計や化粧品ブランドとの取り組み
- 19:44 【新商品発表】榮太樓總本鋪 × 有田焼「梅ぼ志飴」の陶器
- 21:30 開発秘話——あの「独特の赤」を釉薬で再現する難しさ
- 23:13 今後の展開
- 24:17 食 × 器の「二度おいしい」ギフト戦略
登壇したのは誰か
- 小川 文男 氏(竺仙 代表取締役社長/江戸東京ブランド協会 理事長)——基調講演
- 松本 哲 氏(アリタポーセリンラボ 七代目弥左ヱ門)
- 今泉 義雄 氏(今右衛門窯)
- 細田 将己 氏(榮太樓總本鋪 代表取締役社長)
- 松尾 佳昭 氏(収録当時の有田町長)
- 林 正勝(スターマーク株式会社 代表取締役/モデレーター)
※松尾氏は収録当時の有田町長です。有田町長は2026年4月の町長選で交代し、現在は鷲尾佳英氏が務めています(2026年10月30日確認)。
有田焼とは——400年前、日本で初めて磁器が焼かれた土地
有田焼は、佐賀県西松浦郡有田町を中心につくられる磁器です。朝鮮半島から渡った陶工李参平(日本名・金ヶ江三兵衛)が元和2年(1616年)に泉山で磁器の原料となる陶石を見つけ、上白川の天狗谷窯を開いたことが起こりとされてきました(近年の研究では、天神森窯・小溝窯など西部の窯で1610年代の初めから磁器づくりが始まっていたことが分かっています)。
寛永14年(1637年)、鍋島藩は有田・伊万里一帯の窯を13か所に整理します。藩が幕府や大名への贈答用に最高級品だけを焼かせたのが鍋島焼で、その窯は延宝年間(1673年ごろ)に大川内山に置かれました。有田の磁器は伊万里の港から積み出されたため、江戸時代には産地を問わず「伊万里」と呼ばれていました。有田焼は昭和52年(1977年)10月14日に経済産業大臣指定の伝統的工芸品となっています。(出典:有田焼に関する公開資料/2026年10月30日確認)
アリタポーセリンラボ(弥左ヱ門窯)とは——創業は何年か
創業は1804年(文化元年)。アリタポーセリンラボ株式会社として、200年以上続く有田焼の窯元です。動画に登壇した松本哲氏が七代目弥左ヱ門にあたり、代表取締役を務めています。
- 本社兼工場:佐賀県西松浦郡有田町黒牟田丙3037番地8/TEL 0955-43-2221
- 東京連絡事務所の営業時間:10:00〜17:00
- 公式サイト:aritaporcelainlab.com
(出典:アリタポーセリンラボ公式サイト 会社情報/2026年10月30日確認。公式サイトには2026年2月17日付で価格改定の告知があり、現在も営業しています。有田の直営店・カフェの営業時間は公式サイトの案内をご確認ください。)
動画では、伝統的な器づくりにとどまらず、時計や化粧品のボトル、マウスパッド、カフスといった「現代の生活のなかで使うもの」へ有田焼の技術を広げてきた取り組みが語られます。「伝統=挑戦」という言い方は、ここから出てきたものです。
今右衛門窯とは——色鍋島を一子相伝で受け継ぐ窯
今泉今右衛門家は、鍋島藩の御用赤絵屋をつとめた家系で、藩窯の技法色鍋島を受け継いでいます。赤絵の調合と技術は一子相伝の秘伝として伝えられてきました。現在は十四代にあたります。
- 十四代今泉今右衛門:1962年(昭和37年)生まれ。2002年(平成14年)に襲名
- 2014年(平成26年)、重要無形文化財「色絵磁器」の保持者(人間国宝)に認定
- 2009年 紫綬褒章、2012年 日本陶磁協会賞・佐賀新聞文化賞、2023年 日本陶磁協会賞金賞
- 今右衛門窯:〒844-0006 佐賀県西松浦郡有田町赤絵町2-1-15/TEL 0955-42-3101
- 営業時間 9:00〜17:00/定休日 第一日曜日、12月29日〜1月6日、8月15日〜16日
- 公式サイト:imaemon.co.jp
(出典:今右衛門 公式サイト アクセス・十四代今泉今右衛門 陶歴/2026年10月30日確認)
動画で語られるのは、重要無形文化財の技をもつ窯が、海外のブランドやメーカーと組んで現代の製品をつくっているという話です。「守る」ことと「出ていく」ことが、同じ窯のなかで同時に進んでいます。
榮太樓總本鋪と竺仙——江戸側の二軒
榮太樓總本鋪は文政元年(1818年)創業の日本橋の菓子舗です。細田徳兵衛が武蔵国飯能から江戸に出て九段坂に「井筒屋」を構えたのが始まりで、安政4年(1857年)に3代目・細田安兵衛が日本橋西河岸町に店を構え、屋号を「榮太樓」に改めました。名物は金鍔と、三角形の梅ぼ志飴。現在の代表取締役社長は動画に登壇した細田将己氏です。
動画の後半で発表されたのが、その梅ぼ志飴を有田焼の器に納めた新商品でした。開発でいちばん難しかったのは、梅ぼ志飴のあの独特の赤を釉薬で再現することだったといいます。食べ終えたあとに器が残る——「二度おいしい」贈りものという考え方です。
基調講演に立った小川文男氏は、天保13年(1842年)創業の染呉服の老舗竺仙の五代目で、江戸東京ブランド協会の理事長も務めています。東都のれん会は昭和26年(1951年)2月8日、上野に14店が集まって名前が決まり、48店で発足した会です。加盟の目安は「3代100年」。講演では、老舗が愛され続ける理由を「安心感」と、主人自身の姿勢に置いて語っています。
名物・商品
- アリタポーセリンラボ:JA/JT/JB古伊万里草花紋の二段重、ロックカップなど。器のかたちは現代の食卓に合わせたもので、文様は古伊万里の系譜を引いています
- 今右衛門窯:色鍋島の飾皿・湯呑など。墨はじきや薄墨といった技法が使われます
- 榮太樓總本鋪:梅ぼ志飴、榮太樓飴、果汁飴、ひとくち煉羊羹。動画で発表された有田焼の器入りの飴はコラボレーション商品です
- 竺仙:浴衣、江戸小紋
買う・訪ねる
- アリタポーセリンラボ:老舗通販.net「アリタポーセリンラボ」(2026年10月30日時点で8点)/公式 aritaporcelainlab.com
- 榮太樓總本鋪:老舗通販.net「榮太樓總本鋪」(同時点で5点)/日本橋本店 東京都中央区日本橋1-2-8
- 今右衛門窯:佐賀県西松浦郡有田町赤絵町2-1-15(9:00〜17:00/第一日曜定休)。老舗通販.netでの取り扱いはありません
- 竺仙:老舗通販.net「竺仙」(同時点で掲載0点。取扱は時期により変わります)
- エリアから探す:佐賀県の老舗/東京都の老舗
※有田焼の器の販売、工房見学の可否や受付時間は時期によって変わります。訪ねる前に各窯元へご確認ください。
老舗フェスティバル2026、ご来場ありがとうございました
2026年10月3日、東京・日本橋で「老舗フェスティバル2026 by agataJapan」を開催しました。全国の老舗が一堂に集まり、ご当地ブース、老舗・ご当地サミット、奉納能などに多くの方が足を運んでくださいました。ご来場・ご出展いただいたみなさまに、あらためて御礼申し上げます。当日の様子は公式SNSのハッシュタグ「#老舗フェスティバル」「#老舗ウィーク」でもご覧いただけます。
この記事で紹介する動画は、前年の老舗フェスティバル2025(2025年10月11日・野村コンファレンスプラザ日本橋)で開催した「老舗・ご当地セミナー」の記録です。
100年続く老舗の品を、お取り寄せで
「老舗通販.net」は、3代100年以上続く老舗だけが参加する通販サイトです。2010年の開設以来、全国の老舗の品を扱ってきました。遠方でお店に足を運べない方も、ここから取り寄せられます。
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この動画は、agataJapan が主催する「老舗フェスティバル」のセミナー記録シリーズの一本です。老舗・ご当地セミナーでは、老舗の当主や自治体、研究者が登壇し、ものづくり・商品開発・地域の文化をテーマに話しています。YouTubeチャンネル agataJapan でご覧ください。
シリーズの記事一覧は 動画で見る日本の老舗 にまとまっています。
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