【第4回】「関東の蕎麦、関西のうどん」食べ方を見ればその人の出身地が分かる

芝大門 更科布屋 店主の独り言 更科そば 蕎麦

「天ぷら」「そば」「寿司」「うなぎ」は、江戸を代表する「食」と言われ、それぞれが江戸の庶民文化の中で培われてきました。このコラムでは、そば店の店主として、そばにまつわる面白い話や、一般的には知られていないそばにまつわる意外な事実などをお伝えします。そば文化をより知っていただくきっかけになれば幸いです。※当コラムは「芝大門  更科布屋」の店内で、月に1話、お客様に配っているリーフレットから転載しております。

食べ方には生まれ育った環境や文化が垣間見える

世間でよく言われる「関東の蕎麦」・「関西のうどん」の色分けが近年ずいぶんと変化をしてきたように思います。 名店・老舗と言われる蕎麦屋が関西にもずいぶんと出てきましたし、讃岐うどんは今や東京でブームを引き起こす存在にもなっています。美味いものは美味いのでしょう、甘さ・辛さや濃さ・薄さはあるものの、慣れ親しんだ醤油と鰹の出しの味なのですから。
とはいえ、そこには生まれ育った環境や文化が色濃く反映されていますので、歴然とした違いが生まれる事となります。
落語家もその違いをしっかり見て、蕎麦とうどんの食べ方の差を表現していますが、
蕎麦屋の調理場から見ていても、お客様が「うどんの国」の関西出身者か、「蕎麦の国」の関東出身者かが判断できるのです。

そばの食べ方で出身地を見分ける方法

出身地を見分けるポイント、それはお蕎麦をお食べになる時に麺を入れた食器、つまり丼や猪口の位置です。
丼や猪口を口に近づけて食べるか、そうでなく、麺をつまみ上げて口に入れるかの相違です。
これこそが汁の濃度による相違の原点であります。
汁の濃度が違うからこそ、このような食べ方の違いが生まれたとも言えます。
結論から先に申し上げますと、丼に口を近づけ麺を汁と一緒にすすりこむのは関西出身者。
汁からつまみ上げて口に運ぶのが関東出身者となるようです。
うどん優勢の関西では汁の味(濃度)が薄い。その為に麺を汁と一緒にすすりこまないと味が麺に乗らないのだと思われます。美味しく食べるのはこの方法が不可欠なのでしょう。
その結果食べた後に汁は残らず、うどんをすすり終わると汁もなくなります。
一方蕎麦優勢の関東では、麺は汁につけてからつまみ上げて食べるもの。
その為汁も「飲んじゃ辛いが、食っちゃ美味い」という濃度に作ってあります。蕎麦を汁につけた後持ち上げて食べますから、その位の濃度がないと蕎麦に味が絡みません。うどんと異なり食べ終った後に汁が残る事になりますが、そこで「蕎麦湯」をさして飲む事にも適したものに作っている訳です。
うどんと蕎麦、それぞれ美味しく食べる方法があるということですね。

この記事を書いたのは…

寛政3年(1791年)、薬研堀(現在の東日本橋)で創業。大正2年(1913年)から増上寺門前にお店を構えるそば店「更科布屋」の7代目ご当主。芝の地で創業100年以上の伝統を有する老舗の会「芝百年会」の会長も務める。
更科布屋ホームページ

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