墓に立てる卒塔婆をつくる会社の看板商品が、燻製チーズ。東京都日の出町の有限会社みやびについては、以前YouTubeチャンネル「日本の老舗」の動画とあわせて紹介しました。
今回は老舗フェスティバル2026「老舗・ご当地サミット」(西武信用金庫枠)に、三代目の伊藤雅夫さんが登壇。燻製チーズの開発秘話や、30年前の決断、そして「マングローブ商法」と名づけた経営の考え方を、たっぷり語っていただきました。
YouTubeチャンネル「日本の老舗」で公開したセミナー動画とあわせて、話の内容を紹介します。
収録:2026年10月3日 老舗フェスティバル2026(東京・日本橋)/再生時間:25分28秒
動画の見どころ
- 日の出町が卒塔婆の産地になった理由——樅(もみ)の木
- 都内の神社仏閣の大木を切る「特殊伐採」を始めたきっかけ
- 趣味から始まった燻製チーズと、包装の失敗談
- 30年前、「この業界は先が暗い」と言われて
- 卒塔婆の材料はウクライナから、そしていまは
- 根が1本切れても倒れない「マングローブ商法」
チャプター
- 0:00 登壇者紹介
- 1:46 卒塔婆の町・日の出町と樅の木
- 3:49 特殊伐採を始めたきっかけ
- 5:55 趣味から始まった燻製チーズ
- 7:56 パッケージとラベルの試行錯誤
- 10:02 30年前に言われた「この業界は先が暗い」
- 12:07 卒塔婆の材料は世界を転々と
- 14:09 「マングローブ商法」という考え方
- 16:09 熊対策とドローン
- 20:40 紹介映像
卒塔婆の町と、特殊伐採
日の出町はかつて、全国の卒塔婆の大半をつくっていた町です。理由は樅の木。家を建てる材には向かない一方、白くて墨がにじまず、卒塔婆には最適でした。
みやびが特殊伐採を始めたのは、卒塔婆を納める都内の寺社から「境内の大木を切れる人がいなくなった」と相談されたのがきっかけです。最初はボランティアのように引き受けていたものが需要を増やし、ひとつの部門になりました。切った木は持ち帰り、太い桜や欅はテーブルや椅子に、枝葉はチップにして農家に、薪はストーブ用に。そして桜の端材が、燻製のチップになります。
アルミホイルから真空パックへ
燻製チーズは趣味から始まりました。冷燻が一般的なところを、みやびは温燻で挑戦。何十種類ものチーズを試して溶けにくいものを選び、約3時間、窯の温度を調整し続けます。
苦労したのは包装でした。アルミホイルでは結露し、パラフィン紙では角から傷み、真空パックでは角が破れる。インクジェットのラベルは結露でにじむ——。「近所の犬が太りました」という失敗作の行き先に、会場から笑いが起きていました。
マングローブ商法
30年前、伊藤さんは中小企業診断士に「この業界の先行きは暗い」と言われました。高齢化、核家族化、葬儀の形の変化。実際、コロナ禍を経て卒塔婆の需要は大きく減り、材料も日本の樅から東北・四国・九州、北米、中国、ウクライナ、そしていまはスイスやドイツへと移り変わってきました。
だからこそ、会社が元気なうちに失敗しても戻れる新しいことに挑む。1本柱では、切れれば倒れる。マングローブのようにたくさんの根を張れば、1本切れても倒れない——それが伊藤さんの言う「マングローブ商法」です。いまは街路樹の剪定、小学校の砂場の消毒、ドローンによる観光PRや熊の見回りまで、木と地域にまつわる仕事を広げています。
買う・調べる
- 大多摩うまいもの館 みやび工房:agataJapanの紹介ページ
- みやびの過去記事:みやび|明治40年ごろ創業、卒塔婆から燻製チーズへ広げた老舗【動画】
- 公式サイト:有限会社みやび
※みやびの品は老舗通販.netでは取り扱いがありません(2026年10月4日確認)。店舗か公式サイトでお求めください。
老舗フェスティバル2026について
agataJapanでは毎年、日本が世界に誇る老舗の技術と文化に触れられるイベント「老舗フェスティバル by agataJapan」を開催しています。2026年は10月3日(土)、日本橋の福徳の森・仲通り周辺で開催し、老舗・ご当地マルシェ、日本酒の飲み比べ、老舗サミットなどのセミナー、ステージパフォーマンスに多くの方にお越しいただきました。
- イベント詳細:老舗フェスティバル2026 by agataJapan
- 特設ページ:老舗通販.net 老舗フェスティバル2026特設ページ
- セミナー全編:老舗フェスティバル2026 セミナーアーカイブ(YouTube)
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