六本木交差点から外苑東通りを東京タワー方面へ進むと、左手に落ち着いた佇まいの和菓子店が現れます。青野総本舗。周囲はビルと人の流れが絶えず入れ替わる街ですが、この店は安政3年(1856年)の創業以来、この地で和菓子をつくり続けてきました。
名物は「鶯(うぐいす)もち」。あんを求肥(ぎゅうひ)で包み、きな粉をまぶしたひと口サイズの菓子です。よく見かける鶯もちとは少し違います。違いを生んだのは、昭和初期に4代目が受け取ったある注文でした。
YouTubeチャンネル「日本の老舗」の【五つの奥義】シリーズでは、6代目当主が、街が変わっても青野が変わらずにいられる理由を語っています。動画とあわせて、店の沿革と和菓子の背景知識を整理しました。
公開日:2023年7月29日/再生時間:8分14秒/ナレーション:セイン・カミュ
動画の見どころ
- 六本木という街の変化のなかで、老舗和菓子店が守ってきたもの
- 名物「鶯もち」のつくり方——求肥で包み、きな粉をまぶすまで
- きな粉の炙り方を時代に合わせて変えてきたという話
- あんの炊き分け——用途によって小豆と甘さを使い分ける考え方
- 店舗に隣接する工房で、職人が手づくりする日々の風景
- 変えないことと変えることを、当主はどう切り分けているか
※この回の概要欄には章立てのタイムスタンプがないため、見どころを箇条書きで示しています。
青野総本舗とは——創業は何年か
創業は安政3年(1856年)。麻布市兵衛町(現在の六本木一丁目駅周辺)で和菓子屋として店を開き、近隣の大名下屋敷や寺社仏閣への和菓子の御用を務めていました。明治20年(1887年)に現在の場所へ移転しています。現在の当主は6代目・青野輝信さん。創業から170年になります。(出典:agataJapan.tokyo「青野総本舗」、2026年9月28日確認)
いま使われている包装紙には古地図がデザインされており、創業当時の麻布のかたちをうかがうことができます。店の歴史を語る資料が、そのまま毎日の包み紙になっているわけです。
店で売られる和菓子はすべて、店舗に隣接する工房で職人の手によってつくられます。現在は10人ほどの職人が在籍し、なかには当主が子どものころから青野の菓子づくりに携わっている人もいるといいます。素材は厳選したものだけを使い、あんの原料となる小豆は北海道産のなかから用途によって色や大きさを使い分けます。こしあんだけでも10種類以上のバリエーションがあり、気温や湿度に合わせてつくり方もその都度調整するそうです。
「楽屋でも汚さず食べられる菓子を」——鶯もちの由来
青野の鶯もちが生まれたのは昭和初期。4代目当主が、役者である兄から「楽屋でも汚さず食べられる菓子を」と依頼されたことがきっかけでした。舞台の衣装と化粧を崩さずに口へ運べるように——そこから、ひと口サイズで個包装という形にたどり着きます。用途から形が決まった菓子です。
名前の由来は、松尾芭蕉の句「鶯をたづねたづねて阿左婦(あさぶ)まで」。笹舟に眠る鶯をイメージしてつくられたといいます。麻布という土地の名が詠まれた句を、菓子の名に重ねたかたちです。(出典:agataJapan.tokyo「青野総本舗」、2026年9月28日確認)
求肥とは何か——時間が経っても硬くならない理由
鶯もちの生地は求肥(ぎゅうひ)です。餅とよく似ていますが、つくり方が違います。餅は蒸したもち米をついて柔らかさを出しますが、求肥は餅粉に砂糖と水飴を加えて加熱しながら練り上げます。配合はおおむね餅粉1に対して砂糖2、水飴1。大量の砂糖と水飴が保水性をもたらすため、時間が経っても柔らかく、食べるときに温め直す必要がありません。
ひと口サイズで個包装、そして持ち歩いても硬くならない。楽屋で食べる菓子に求肥が選ばれたのは、理にかなっています。なお求肥の名は、中国で澱粉と砂糖を煮た供物「牛脾糖」に由来し、日本に伝わった際に「牛皮」と呼ばれたものの、獣肉を口にしない習わしから字が改められたと伝えられます。(出典:Wikipedia「求肥」、2026年9月28日確認)
何が名物か——青野総本舗の代表菓子
- 鶯もち……1個250円。北海道産小豆のこしあんを求肥で包み、北海道産特製きな粉をまぶした名物菓子
- どら焼き……1個280円。2000年代に入ってから発売した比較的新しい商品。30回を超える改良を重ねた人気商品で、「ありがとう」「祝」などの焼印や、会社名・学校名を入れることもできます(別料金)
- いろどり……900円。抹茶、あんず、黒糖とくるみの3種のひと口餅に、讃岐の和三盆糖をまぶした菓子
- 季節の和菓子……季節感のある品も多数。周囲の企業が海外からの来客のおもてなし用に求めることも多いそうです
※取り扱い商品と価格は時期によって変わります。最新の品揃えは老舗通販.netと公式サイトでご確認ください。(2026年9月28日確認)
買う・訪ねる
- 老舗通販.net:青野総本舗の商品一覧
- 店舗:東京都港区六本木3-15-21(電話 03-3404-0020)
- 営業時間:9:30〜19:00(土曜・祝日は18:00まで)/定休日:日曜、元旦
- 公式サイト:青野総本舗
- agataJapan.tokyoの紹介ページ:青野総本舗
- エリアで探す:東京都の老舗
※営業情報はagataJapan.tokyoの掲載内容です(2026年9月28日確認)。変更される場合があるため、お出かけ前に公式サイトでご確認ください。
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老舗フェスティバル2026で全国の老舗に会える
agataJapanでは毎年、日本が世界に誇る老舗の技術と文化に触れられるイベント「老舗フェスティバル by agataJapan」を開催しています。2026年は日本橋で開催します。
- 日時:2026年10月3日(土)10:00〜18:00(予定)
- 会場:福徳の森・仲通り周辺(東京都中央区日本橋室町2-5-10)
- 入場:無料(飲食・セミナーなどは別途費用)
- 内容:老舗・ご当地マルシェ、伝統工芸ワークショップ、全国の酒蔵による日本酒の飲み比べ、老舗サミット、ステージパフォーマンスほか
- 詳細:老舗フェスティバル2026 by agataJapan
- チケット・特設ページ:老舗通販.net 老舗フェスティバル2026特設ページ
会場に隣接する福徳神社は、古くから商売繁盛の祈願で親しまれてきた神社です。老舗の逸品を手に取りながら、日本橋の歴史と文化に親しむ一日をお過ごしください。
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この動画を公開しているYouTubeチャンネル「日本の老舗」では、創業100年を超える老舗の当主に、老舗を老舗たらしめる「五つの奥義」を語ってもらうインタビューシリーズを配信しています。ほかの回は動画で見る日本の老舗からご覧ください。
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