夏目漱石が『吾輩は猫である』に書き、正岡子規が句と紀行文に残した団子屋があります。日暮里・芋坂の羽二重団子。創業は文政2年(1819年)、200年を超えて同じ場所に店を構えています。
商品は驚くほどシンプルです。餡をまとった「餡団子」と、生醤油を塗って焼き上げた「焼き団子」。それだけ。だからこそ、ごまかしが効きません。7代目当主は「家訓にも『団子生地をつくなら人の倍の回数を』とあるほどです」と語ります。
YouTubeチャンネル「日本の老舗」の【五つの奥義】シリーズでは、シンプルを極めた団子がどうつくられるのかを当主が語っています。動画とあわせて、店の沿革と「羽二重」という言葉の背景を整理しました。
公開日:2022年11月5日/再生時間:10分28秒/ナレーション:セイン・カミュ
動画の見どころ
- なめらかで歯切れのよい生地をつくる工程——米粉と水を合わせ、臼と杵でつく
- 家訓「団子生地をつくなら人の倍の回数を」が意味すること
- 餡団子と焼き団子でレシピが別だという話
- 素材を選び抜いた結果、日持ちが1日限りになるという割り切り
- シンプルであるがゆえにごまかしが効かない、という当主の言葉
- 200年以上続く店が、伝統の継承と新しい挑戦をどう両立させているか
※この回の概要欄には章立てのタイムスタンプがないため、見どころを箇条書きで示しています。
羽二重団子とは——創業は何年か
創業は文政2年(1819年)。植木職人だった初代が、王子街道を往来する人々に向けて根岸で茶屋を開いたのが始まりです。藤棚があったことから当初は「藤の木茶屋」と呼ばれていましたが、なめらかな団子が絹織物の羽二重のようだと評判になり、やがて屋号そのものが「羽二重団子」になりました。商品の評判が店の名を書き換えたかたちです。
現在の当主は7代目・澤野修一さん。本店は今も創業と同じ場所にあり、店内には正岡子規ゆかりの店として俳句を投句するポストが置かれています。イートインスペースがあるので、谷根千散歩の休憩にも立ち寄れます。(出典:agataJapan.tokyo「羽二重団子 本店」、2026年9月28日確認)
澤野さんは「2020年からは、美味しさをそのまま保てる瞬間冷凍の技術を用いて通信販売もスタートさせました。200年以上の歴史の中で、さまざまな苦難を乗り越えてきましたが、これからも『早起きをしろ』『団子生地をつくなら人の倍の回数を』の家訓を守り、挑戦を続けたいと思います」と語っています。
「羽二重」とは何か——絹織物にたとえられた食感
羽二重は平織りの織物の一種です。名の由来は織り方にあり、織機の筬(おさ)の一羽に経糸を2本通すことからこう呼ばれます。通常の平織りが経糸1本であるのに対し、細い経糸を2本使うため、生地はやわらかく、軽く、光沢がある。白く風合いがよいことから、和装の裏地としては最高級品とされてきました。(出典:Wikipedia「羽二重」、2026年9月28日確認)
つまり「羽二重のようだ」という評判は、単に「なめらか」という以上のことを言っています。白さ、軽さ、そして絹特有の艶——団子の見た目と舌触りを、当時の人が知っている最上級の手触りにたとえたわけです。その比喩がそのまま屋号になって200年残っている、というのがこの店の面白さです。
文豪たちはなぜ通ったのか——根岸という土地
江戸から明治にかけて、根岸のあたりは風流を好む粋人が住まう別荘地でした。羽二重団子は「芋坂横の団子屋」としてそうした文化人に親しまれ、多くの文学作品に登場します。明治半ばに出版された名店番付「維新の頃より明治のはじめ 大江戸趣味風流名物くらべ」にも、その名が記されています。
美術思想家の岡倉天心も、この団子をつまみに酒を飲み、家に帰るのを忘れたというエピソードがご子息の随筆で語られているほどのファンだったといいます。かつて日暮里は富士山に沈む夕日が見えた場所でもあり、澤野さんは「文豪たちも夕暮れを眺めながら、団子で晩酌をしていたのでは」と話します。団子を肴に酒を飲む——甘い餡と香ばしい生醤油という組み合わせを思えば、うなずける話です。(出典:agataJapan.tokyo「羽二重団子 本店」、2026年9月28日確認)
何が名物か——餡団子と焼き団子
- 羽二重団子(餡団子・焼き団子)……1本302円。甘さ控えめのこし餡で包んだ「餡団子」と、生醤油を塗って香ばしく焼き上げた「焼き団子」。餡団子は蒸して、焼き団子は2回に分けて醤油に浸け焼き上げるため、生地から別のレシピでつくられます。本当に必要な素材だけを選び抜いているため、日持ちは1日限りです
- 店内の定番セット……「餡団子」「焼き団子」1本ずつと煎茶のセット。ミニサイズの2種と抹茶がついた「抹茶セット」も
- しづくあん……12個入り961円。「餡団子」を小ぶりな雫形に仕立てたお土産向きの品
- プティもなか……1個129円。ひと口サイズであんこをはさんだ最中
- かのこ羹 栗入り……大粒の栗を使った、冷やして食べる羹(かん)
※取り扱い商品と価格は時期によって変わります。最新の品揃えは老舗通販.netと公式サイトでご確認ください。(2026年9月28日確認)
買う・訪ねる
- 老舗通販.net:羽二重団子の商品一覧
- 本店:東京都荒川区東日暮里5-54-3(電話 03-3891-2924)
- 営業時間:平日9:30〜16:30(L.O.16:15)、土日祝10:00〜16:30(L.O.16:15)/年中無休
- 公式サイト:羽二重団子
- agataJapan.tokyoの紹介ページ:羽二重団子 本店/文豪たちが愛した逸品! シンプルを極めた「羽二重団子」の魅力とは
- エリアで探す:東京都の老舗
※営業情報はagataJapan.tokyoの掲載内容です(2026年9月28日確認)。変更される場合があるため、お出かけ前に公式サイトでご確認ください。
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老舗フェスティバル2026で全国の老舗に会える
agataJapanでは毎年、日本が世界に誇る老舗の技術と文化に触れられるイベント「老舗フェスティバル by agataJapan」を開催しています。2026年は日本橋で開催します。
- 日時:2026年10月3日(土)10:00〜18:00(予定)
- 会場:福徳の森・仲通り周辺(東京都中央区日本橋室町2-5-10)
- 入場:無料(飲食・セミナーなどは別途費用)
- 内容:老舗・ご当地マルシェ、伝統工芸ワークショップ、全国の酒蔵による日本酒の飲み比べ、老舗サミット、ステージパフォーマンスほか
- 詳細:老舗フェスティバル2026 by agataJapan
- チケット・特設ページ:老舗通販.net 老舗フェスティバル2026特設ページ
会場に隣接する福徳神社は、古くから商売繁盛の祈願で親しまれてきた神社です。老舗の逸品を手に取りながら、日本橋の歴史と文化に親しむ一日をお過ごしください。
100年続く老舗の品を、お取り寄せで
「老舗通販.net」は、3代100年以上続く老舗だけが参加する通販サイトです。2010年の開設以来、全国の老舗の品を扱ってきました。遠方でお店に足を運べない方も、ここから取り寄せられます。
YouTubeチャンネル「日本の老舗」
この動画を公開しているYouTubeチャンネル「日本の老舗」では、創業100年を超える老舗の当主に、老舗を老舗たらしめる「五つの奥義」を語ってもらうインタビューシリーズを配信しています。ほかの回は動画で見る日本の老舗からご覧ください。
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