東京・日本橋小舟町に暖簾を掲げる竺仙(ちくせん)は、天保13年(1842年)創業の染呉服の老舗です。浴衣の一大ブランドであり、江戸小紋の染めどころとしても知られています。着れば分かる肌ざわり、一点ものの型紙、そして染工所で働く20代の若い職人たち——動画「五つの奥義」では、変えないものと変えるものの線引きがはっきりと語られます。
動画①の見どころ(タイムスタンプ)
全編11分29秒。竺仙の当主が語る「五つの奥義」は、次の順で登場します。
- 03:55 奥義一、生地の着心地は「針」に聞く——生地の良し悪しを、織りの密度や張り感から見極める。
- 05:35 奥義二、デザインの型紙は「一点物」——柄を彫った型紙そのものが唯一無二の資産であること。
- 07:51 奥義三、若い職人に活躍の場を——染工所を訪ねると、「江戸の美」を受け継ぐ職人のほとんどが20代。
- 09:10 奥義四、覚悟を表明する——何を作り、何を作らないかを言い切ること。
- 10:37 奥義五、変えるのは「伝達手段」——変えるのは中身ではなく、伝え方だという考え方。
動画② 東都のれん会とは——五代目が語る「100年続く店の集まり」
2026年10月3日の老舗フェスティバル2026「老舗・ご当地サミット」で、竺仙の五代目・小川文男さんが「東都のれん会」の成り立ちを語りました。小川さんは江戸東京ブランド協会の理事長も務めています。竺仙そのものの話ではなく、東京の老舗が業種を越えて集まった会の歴史が主題の回です。
【東都のれん会とは】100年続く店の集まり|竺仙 五代目 小川文男【老舗フェスティバル2026】(YouTubeチャンネル「日本の老舗」)/収録:2026年10月3日・老舗フェスティバル2026(東京・日本橋)/再生時間:23分59秒/公開:2026年10月5日
この回の見どころ(タイムスタンプ)
- 02:48 竺仙は浅草で創業し、戦後に日本橋へ
- 04:49 東都のれん会の始まり——昭和26年の発足
- 13:04 上野に14店が集まり「のれん会」の名が生まれる
- 15:05 48店で発足、2年後には2店が脱落
- 17:07 異業種の集まりであることの意味
- 19:08 「3代100年」の条件と、親睦の本当の意味
- 21:15 老舗の集まりで学ぶ「浮世学問」
竺仙は「浅草の店」だった
竺仙は天保13年(1842年)創業。いまは日本橋小舟町に店を構えますが、始まりは浅草・雷門前の通りでした。日本橋へ移ったのは戦後のこと。百貨店が消費を引っ張った時代に、当時の三越の社長から「日本橋においでよ」と声がかかったのがきっかけだったといいます。
昭和26年、上野に14店が集まった
東都のれん会の発足は昭和26年(1951年)。戦後の焼け野原のなかで、古い店がこれからどう生きていくのか、店主たちは毎日のように顔を合わせて話し合いました。東京新聞の記者から「残っている老舗の品と店を紹介する場をつくれないか」と持ちかけられたことも後押しになりました。
2月8日、上野の料理屋に集まったのは14店。「東京名物会」などの候補が出るなかで、ある店主が提案した「のれん会」に全員が賛成して名前が決まります。発足時の会員は48店。ところが2年後には、もう2店が脱落していたといいます。それほど変化の激しい時代だった、と小川さんは振り返ります。
異業種の老舗が集まる意味
多くの業界団体は、菓子屋なら菓子屋、呉服なら呉服という同業者の集まりです。のれん会はそうではなく、業種がばらばらの老舗の集まりでした。小川さんは、この会のいちばんの魅力を「人が作っている組織であること」だと言います。
元会長が繰り返し説いたのは「親睦」の大切さでした。ただ酒を飲みお茶を飲むことではなく、老舗の旦那衆との付き合いを通じて、学校では学べない世の中の道理——「浮世学問」を身につけていく。それが、のれん会がこれからも続いていくための土台になる、と話を結んでいます。
※加盟の条件とされる「3代100年」は、老舗通販.netの参加基準と同じ考え方です。東都のれん会の加盟店は会の公式サイトで業種別に公開されています(2026年10月6日確認)。
動画③ 【江戸東京ブランド巡り 第5回】六代目が語る、竺仙の浴衣の楽しみ方
【江戸東京ブランド巡りー江戸のスゴ技、うまいもの教えます】第5回 竺仙(ちくせん) 六代目 小川茂之/再生時間:30分15秒/公開:2022年6月16日
この動画は、一般社団法人江戸東京ブランド協会が主催し、東京都が後援、スターマーク株式会社が企画したシリーズ「江戸東京ブランド巡り——江戸のスゴ技、うまいもの教えます」の一本です(日本橋のコミュニティ「日本橋LOOP」のアクティビティとしてオンラインで配信されました)。江戸開府から400年以上の歴史を持つ「江戸東京」には、歴史に裏打ちされた工芸や匠の技、食文化が数多くありますが、後継者不足や発信力不足から衰退が危惧されています。100年後の未来を見据えて設立された江戸東京ブランド協会の「老舗の旦那衆」が、知られていないすごい技と、知って嬉しいうまいものを自ら語るという企画です。
シリーズの第5回は竺仙の六代目・小川茂之さん。概要欄は同店を「江戸中形の独特の技術・江戸小紋の渋味・雅味を今に伝える染呉服の老舗」と紹介しています。動画①・②が五代目の回であるのに対し、こちらは六代目が浴衣そのものを語る回です。
この回も章立て(チャプター)が設定されていないため、概要欄の案内にそって話題を整理しました。
- 竺仙の浴衣の特徴——江戸中形の技術がどう出るか
- 江戸小紋の渋味・雅味をいまに伝えるということ
- 今の暮らしの中での楽しみ方——いつ、どう着るか
竺仙の創業は何年か
創業は天保13年(1842年)。江戸時代後期、天保の改革が行われていたころにあたります。所在地は東京都中央区日本橋小舟町2番3号。浴衣・江戸小紋・風呂敷・手拭を扱う染呉服の店として、江戸中形の技術と江戸小紋の渋味・雅味を今日まで伝えてきました。(出典:竺仙公式サイト/2026年9月24日確認)
「江戸中形」と「江戸小紋」は何が違うのか
どちらも型紙を使って染める技法ですが、性格が違います。江戸中形は浴衣に用いられる中くらいの大きさの柄を藍で染めるもの。対して江戸小紋は、ごく細かな単位模様を一面に配し、全体を一色に染め上げるものです。遠目には無地に見えて、近づくと精緻な柄が浮かび上がる——その落差が江戸小紋の魅力です。
江戸小紋は国の重要無形文化財に指定されており、もち米粉を主剤にした防染糊づくり、型紙を用いた型付け、色調の表現が技術者の腕の見せどころとされます。型紙は柿渋で貼り合わせた和紙に模様を彫刻して作られ、伝統的な江戸小紋には特に良質の和紙が求められます。(出典:文化庁 国指定文化財等データベース「江戸小紋」/2026年9月24日確認)
動画で語られる「型紙は一点物」という言葉の重みは、この背景を知ると変わって聞こえます。型紙が失われれば、その柄は二度と染められないからです。
日本橋小舟町という場所
小舟町は、日本橋川に近い堀留のあたりに位置し、江戸時代から水運を背景に問屋が集まった町でした。繊維・呉服の商いが集積した日本橋の一角で、竺仙もその系譜に連なります。日本橋にはいまも、豊島屋本店や黒江屋など、江戸から続く店が軒を並べています。
買う・訪ねる
- 公式サイト:竺仙
- お取り寄せ:老舗通販.net の竺仙のページ
- 文字でも詳しく:agataJapan.tokyo の竺仙紹介ページ
- 所在地:東京都中央区日本橋小舟町2番3号(営業時間は公式サイトでご確認ください)
- エリアで探す:東京都の老舗/連載一覧:動画で見る日本の老舗
老舗フェスティバル2026 by agataJapan
agataJapanでは毎年、日本が世界に誇る老舗の技術と文化に触れられるイベント「老舗フェスティバル by agataJapan」を開催しています。2026年は10月3日(土)、日本橋の福徳の森・仲通り周辺で開催し、老舗・ご当地マルシェ、日本酒の飲み比べ、当主が登壇する老舗サミットなどのセミナー、ステージパフォーマンスに多くの方にお越しいただきました。
- 日時:2026年10月3日(土)10:00〜18:00(終了)
- 会場:福徳の森・仲通り周辺(東京都中央区日本橋室町2-5-10)
- 詳細:老舗フェスティバル2026 特設ページ
- セミナー全編:老舗フェスティバル2026 セミナーアーカイブ(YouTube)
よくある質問
竺仙の創業は何年ですか?
天保13年(1842年)の創業です。所在地は東京都中央区日本橋小舟町2番3号です。
竺仙は何を扱っている店ですか?
浴衣、江戸小紋、風呂敷、手拭を扱う染呉服の老舗です。江戸中形の技術と江戸小紋の染めで知られています。
江戸小紋と浴衣(江戸中形)の違いは何ですか?
江戸中形は浴衣に用いられる中くらいの大きさの柄を染めるもの、江戸小紋はごく細かな単位模様を一面に配して一色に染め上げるものです。どちらも型紙を使って染めます。
チャンネル「日本の老舗」について
この動画は、スターマーク株式会社が運営するYouTubeチャンネル「日本の老舗」の連載「五つの奥義(The Five Inner Secrets)」の一本です。100年以上続く店の当主に、老舗を老舗たらしめる五つの奥義を語ってもらうシリーズで、ナレーションはセイン・カミユさんが務めています。
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