老舗蔵元4社の日本酒テイスティングセミナーの動画サムネイル

日本酒|創業1596年ほか老舗蔵元4社の酒を元鑑定官と利き酒【動画】

同じグラスで4本の日本酒を並べて飲むと、蔵ごとの考え方の違いがそのまま舌に出ます。創業1596年から1863年まで、年代も地域も違う老舗蔵元4社が、元国税庁の日本酒鑑定官とともに自社の酒を利き酒した1時間のセミナーです。

2025年10月11日、老舗フェスティバル2025 by agataJapanの「老舗・ご当地セミナー」(会場:野村コンファレンスプラザ日本橋6F 大ホール)で開かれた「グラスが映すSAKEの真髄」。モデレーターは元国税庁 日本酒鑑定官の石渡英和氏、パネリストは滝澤酒造(埼玉)・豊島屋本店(東京)・八木酒造部(愛媛)・大和川酒造店(福島)の4社です。

使われたのは、石渡氏が開発に携わった日本酒専用のグラス。「顎を上げずに飲める」形にした理由から、スパークリング・江戸酵母・オーガニック・自社栽培米という個性の違う4本の味わいまで、プロの言葉で読み解いていきます。

動画「グラスが映すSAKEの真髄」(1時間37秒)

YouTubeチャンネル「日本の老舗」で公開しているアーカイブ映像です。公開は2025年11月27日。

動画の見どころ

概要欄に章立てが示されているので、そのまま目次として載せます。

  • 01:41 元鑑定官・石渡英和氏 自己紹介
  • 03:49 登壇蔵元4社 自己紹介(滝澤酒造・豊島屋本店・八木酒造部・大和川酒造店)
  • 06:34 なぜ今、新しいグラスが必要なのか(開発の経緯と形状の理由)
  • 15:20 【試飲①】滝澤酒造「菊泉 ひとすじ」— 透明なスパークリング日本酒
  • 25:52 【試飲②】豊島屋本店「金婚 江戸酒王子」— 江戸酵母と東京の米・水
  • 36:59 【試飲③】八木酒造部「山丹正宗 オーガニック」— 水酛と有機JAS
  • 48:15 【試飲④】大和川酒造店「弥右衛門 純米辛口」— 自社栽培米と再生可能エネルギー
  • 56:45 2025年の酒造りに向けての意気込み・エンディング

登壇した老舗蔵元4社

4社はいずれも100年を大きく超える蔵です。創業年の古い順に並べます。

豊島屋本店(東京都・創業1596年)

慶長元年(1596年)、神田鎌倉河岸での創業。白酒で知られ、清酒「金婚」は明治神宮・神田明神の御神酒にもなっています。登壇したのは十六代目の吉村俊之氏。今回出した「金婚 江戸酒王子」は、東京の米と水、そして約100年前に分離された「江戸酵母」を使った酸味の立つ一本です。

→ 豊島屋本店の記事を読む

八木酒造部(愛媛県今治市・創業1831年)

天保2年(1831年)創業、銘柄は「山丹正宗」。登壇したのは八代目の八木伸樹氏です。出したのは「山丹正宗 オーガニック」。室町期の寺院に起源をもつ伝統的な酒母づくり「水酛(みずもと)」と、農林水産省の有機JAS認証を掛け合わせた自然派の日本酒で、瓶には今治タオルのタグが付きます。

→ 八木酒造部の記事を読む

大和川酒造店(福島県喜多方市・創業1790年)

寛政2年(1790年)、会津藩の殖産興業政策のもとで初代・佐藤彌右衛門が酒造りを始めました。以来九代にわたって、飯豊山の伏流水で「弥右衛門」をはじめとする酒を醸しています。登壇したのは社長の佐藤雅一氏。出したのは「弥右衛門 純米辛口」で、原料米は自社の農業法人・大和川ファーム(栽培面積45ha)で減農薬栽培したものです。

今回の4社で唯一、agataJapanでまだ単独の記事がない蔵です。本社の大和川北方風土館(福島県喜多方市字寺町4761)では蔵の見学と利き酒ができます(見学時間9:00〜16:30。2026年10月29日に公式サイトで確認)。

滝澤酒造(埼玉県深谷市・創業1863年)

文久3年(1863年)創業、銘柄は「菊泉」。登壇したのは六代目蔵元の滝澤英之氏です。出した「菊泉 ひとすじ」は、瓶内二次発酵で炭酸を生ませた透明なスパークリング日本酒。瓶の中で発酵させてにごりを取り除く造り方は、シャンパーニュと同じ考え方にあたります。

→ 滝澤酒造の記事を読む

なぜ「日本酒専用のグラス」なのか

セミナーの前半は、グラスそのものの話です。石渡氏は国税庁で酒税課長補佐や国税局主任鑑定官を務めたのち、日本酒評価用の標準化グラスの開発に携わりました(令和5年度 国税庁補助事業)。

ワイングラスは香りを集めるために口がすぼまっており、飲むときに顎を上げる必要があります。日本酒は温度帯が5℃から55℃まで広く、冷やでも燗でも同じ器で評価できることが求められます。「顎を上げずに飲める」形にした理由は、動画の6分34秒から語られています。

器が変わると同じ酒の印象が変わる——この前提を4社で共有したうえで、同じグラスに注いだ4本を順に試していくのが、この回の組み立てです。

4本が示した、日本酒の4つの方向

出された4本は、それぞれ別の方向に振り切っています。

  • 泡(滝澤酒造「菊泉 ひとすじ」)— 瓶内二次発酵でつくる透明なスパークリング。乾杯の一杯という新しい入口をつくる。
  • 歴史(豊島屋本店「金婚 江戸酒王子」)— 約100年前の江戸酵母を今の米と水で使う。過去の酵母が現代の味をつくる。
  • 認証(八木酒造部「山丹正宗 オーガニック」)— 室町期由来の水酛と有機JASという、最も古い技術と最も新しい規格の組み合わせ。
  • 農と環境(大和川酒造店「弥右衛門 純米辛口」)— 自社農業法人の米と再生可能エネルギー。酒造りを田んぼから設計し直す。

業種の背景を補足すると、日本酒の国内出荷量は長期的に縮小が続いてきました。その中で各蔵が選んだのが、泡・歴史・認証・農という別々の差別化です。4社が同じ卓に並ぶと、その違いが輪郭をもって見えてきます。

買う・訪ねる

4社の酒は、老舗通販.netの各ページから取り寄せられます(2026年10月29日時点)。

大和川酒造のページは、2026年10月29日時点で掲載商品がありません。取扱は時期により変わりますので、老舗通販.net のトップから最新の品ぞろえをご確認ください。

地域別に老舗を探す場合は、東京都・埼玉県・愛媛県・福島県のページからどうぞ。

老舗フェスティバル2026 ご出展の御礼

このセミナーが行われた「老舗フェスティバル」は、agataJapanが毎年開いている催しです。2026年は10月3日(土)に東京・日本橋で開催し、多くの老舗にご出展いただきました。ご来場・ご出展いただいたみなさま、ありがとうございました。

酒の分野では、この利き酒セミナーのように、蔵元が自分の酒を自分の言葉で説明する場が毎年の軸になっています。当日の様子とアーカイブは下記からご覧ください。

100年続く老舗の品を、お取り寄せで

「老舗通販.net」は、3代100年以上続く老舗だけが参加する通販サイトです。2010年の開設以来、全国の老舗の品を扱ってきました。遠方でお店に足を運べない方も、ここから取り寄せられます。

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チャンネル「日本の老舗」について

YouTubeチャンネル「日本の老舗」では、老舗フェスティバルの「老舗・ご当地セミナー」のアーカイブを公開しています。複数の蔵元が同じテーマで本音を語る回は、1社のインタビューでは見えてこない業界の動きが分かります。シリーズの記事は動画で見る日本の老舗にまとめています。

老舗の取り組みを一緒に広げませんか

agataJapanを運営するスターマーク株式会社では、老舗や地域の事業者の情報発信・EC・イベントのお手伝いをしています。ご相談はスターマーク株式会社のお問合せフォームからお願いします。

「老舗ウィーク フォトコンテスト(2026年10月10日〜10月31日)」開催中です。くわしくは https://bit.ly/shinisephotos をご覧ください。

本記事の創業年・所在地・見学時間は、各社の公式サイトおよび動画概要欄をもとに2026年10月29日に確認しました。

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