慶應義塾大学三田キャンパス正門のはす向かいに、秋色庵大坂家(しゅうしきあん おおさかや)があります。元禄年間(1688〜1703年)に日本橋小網町で店を構えた、創業300年以上という日本屈指の歴史を持つ和菓子店です。ショーケースに並ぶのは、色とりどりの生菓子と、日本初の三色最中といわれる「秋色最中」。
YouTubeチャンネル「日本の老舗」の【五つの奥義】シリーズでは、18代目ご当主の倉本勝敏さんが、一子相伝で受け継いできた技術と、「うまいものをつくるのは当たり前」という職人の構えを語っています。動画とあわせて、屋号の由来になった江戸の女流俳人「秋色」の物語と店の沿革を整理しました。
公開日:2023年9月2日/再生時間:12分7秒/ナレーション:セイン・カミュ
動画の見どころ
- 日本初の三色最中「秋色最中」——茶・白・緑、三つの餡をどう作り分けているのか
- 見た目で驚かせる「目玉饅頭」など、遊び心のある注文菓子
- 「作るのも食べるのも、気軽に楽しく」という店の姿勢
- 色合いや細部にこだわる理由——お客様の「楽しさ」をどう設計するか
- 一子相伝で技術を引き継ぐということ。跡を継ぐ予定の娘さんご夫婦との仕事
- 「50年ほど和菓子をつくっていますが、天候によっても日々塩梅が違う」という言葉
※この回の概要欄には章立てのタイムスタンプがないため、見どころを箇条書きで示しています。
秋色庵大坂家とは——創業は何年か
「大坂家」という屋号は、もともと大坂で商いを営んでいたことに由来します。江戸に移り、元禄年間(1688〜1703年)に日本橋小網町に店を構えると、『江戸買物独案内』などの古書にもその名が登場する人気店となりました。関東大震災や空襲で店を焼失しながらも、その都度再建し、現在は三田の地で歴史をつないでいます。
店の奥には工場があり、18代目ご当主の倉本勝敏さんと、跡を継ぐ予定の娘さんご夫婦が共にすべての商品をつくっています。親から子へ、一子相伝で和菓子づくりの技術を引き継ぐのがこの店の在り方です。
「いい材料を使っていい技術でつくるというのが全てにおいての基本です。それ以外の“こだわり”は、実はあまりないんですよ。だってうまいものをつくるために一生懸命になるのは当たり前のことだからね」。300年の看板を背負いながら、気さくにそう語る姿に職人の心意気がにじみます。(出典:agataJapan.tokyo「秋色庵大坂家」、2026年9月27日確認)
「秋色」とは誰か——13歳の句が上野の桜の名になった
屋号や菓銘にもなっている「秋色(しゅうしき)」とは、江戸時代にこの店の娘として生まれ、女流俳人として活躍したお秋の俳号です。寛文9年(1669年)生まれ、享保10年(1725年)没。日本橋小網町の菓子屋に育ち、近所に住んでいた宝井其角に俳諧を学び、「秋色女」「菊后亭秋色」と号しました。元禄3年刊行の其角撰集『いつを昔』にも句が載っています。
13歳のときに上野へ花見に行き、花見酒に酔う人を見て詠んだ『井戸端の 桜あぶなし 酒の酔』の句は江戸中の話題になり、講談の演目にもなりました。清水観音堂裏手の桜にこの句の短冊を結んだところ、寛永寺の門主がその樹に「秋色桜」と名づけたと伝えられ、上野公園内の清水観音堂脇にはいまも「秋色桜」が立っています(現在は代を重ねた桜)。(出典:Wikipedia「秋色女」、秋色庵大坂家公式サイト、2026年9月27日確認)
この句にちなみ、店の包装紙には可愛らしい桜の花があしらわれています。店の片隅には「秋色女」を描いた錦絵のレプリカも慎ましやかに飾られていました。和菓子屋の屋号が、そこで生まれた少女の俳号だという——300年の歴史がひとつの句に結ばれているのが、この店のおもしろさです。
何が名物か——秋色最中と三つの生菓子
- 秋色最中(しゅうしきもなか)(1個 180円)……16代目が考案した日本初の三色最中。「茶」は小豆の風味豊かな小倉餡、「白」は沖縄の黒砂糖を使った黒餡、「緑」は白餡に刻んだ栗を入れた栗餡。パリッと軽い皮と上品な甘さの組み合わせ
- 君時雨(330円)……口に入れた瞬間にホロホロと溶ける食感。控えめな甘さと卵黄のコク
- 若草(330円)……しっとりしたこし餡ともっちりした求肥が馴染み、柚子の香りがほのかに漂う
- 織部饅頭(330円)……大和芋の生地に、桃山時代の茶人・古田織部が好んだといわれる「織部焼」の釉薬の色を表現
- 秋色羊羹……江戸羊羹の旧家として親しまれてきた味
- うす水羊羹(夏季限定)……のどごしひんやりさっぱり
「定番商品の『君時雨』『織部饅頭』『若草』の3つを食べていただくと大坂家の味がわかります」と倉本ヒロ子さん。それぞれの菓子のためだけに練られた餡の風味の違いを楽しむのも一興です。店ではバラ売りもしています。(価格はagataJapan.tokyo掲載時点のもの。2026年9月27日確認)
買う・訪ねる
- 老舗通販.net:秋色庵大坂家の商品一覧(秋色最中9個入り・12個入り、ハートの焼印5個入、秋色汁粉6個入りなど)
- 店舗:〒108-0073 東京都港区三田3-1-9/電話03-3451-7465/営業 月〜土 9:00〜18:00/定休日 毎月第一月曜・日曜・祝日(お節句を除く)※7月8月は毎週月曜休業
- 公式サイト:秋色庵大坂家
- agataJapan.tokyoの紹介ページ:秋色庵大坂家
- エリアで探す:東京都の老舗
※営業情報は公式サイトの記載にもとづきます(2026年9月27日確認)。
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老舗フェスティバル2026で全国の老舗に会える
agataJapanでは毎年、日本が世界に誇る老舗の技術と文化に触れられるイベント「老舗フェスティバル by agataJapan」を開催しています。2026年は日本橋で開催します。
- 日時:2026年10月3日(土)10:00〜18:00(予定)
- 会場:福徳の森・仲通り周辺(東京都中央区日本橋室町2-5-10)
- 入場:無料(飲食・セミナーなどは別途費用)
- 内容:老舗・ご当地マルシェ、伝統工芸ワークショップ、全国の酒蔵による日本酒の飲み比べ、老舗サミット、ステージパフォーマンスほか
- 詳細:老舗フェスティバル2026 by agataJapan
- チケット・特設ページ:老舗通販.net 老舗フェスティバル2026特設ページ
会場に隣接する福徳神社は、古くから商売繁盛の祈願で親しまれてきた神社です。老舗の逸品を手に取りながら、日本橋の歴史と文化に親しむ一日をお過ごしください。
YouTubeチャンネル「日本の老舗」
この動画を公開しているYouTubeチャンネル「日本の老舗」では、創業100年を超える老舗の当主に、老舗を老舗たらしめる「五つの奥義」を語ってもらうインタビューシリーズを配信しています。ほかの回は動画で見る日本の老舗からご覧ください。
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