松波酒造の動画サムネイル

松波酒造|創業1868年、奥能登の大江山を若女将が語る【動画】

石川県の奥能登、能登町松波に「大江山」という銘柄の酒蔵があります。松波酒造、創業は明治元年(1868年)。和釜に甑(こしき)を乗せて米を蒸し、搾りは全量を木製の槽(ふね)で行うという、現代ではめずらしくなったクラシカルな造りを守ってきた蔵です。

YouTubeチャンネル「日本の老舗」には、この蔵の若女将・金七聖子(きんしち せいこ)さんが46分にわたって蔵の歩みと能登の酒を語った回が残っています。2022年8月に公開されたCICライブの一本で、2024年1月の能登半島地震より前に収録された記録です。

そして現在、松波酒造は被災からの再出発の途上にあります。動画で語られた蔵のありようと、そのあとに起きたことをあわせて読んでいただきたい一本です。

動画の見どころ

この回は番組「伝統はイノベーションの連続である」(CICライブ)として収録されたもので、概要欄に章立てのタイムスタンプは付いていません。以下は、番組の趣旨にそって語られている論点を箇条書きにしたものです。再生時間は46分15秒。

  • 明治元年から続く奥能登の蔵が、どのように代を継いできたのか
  • 能登杜氏の極寒仕込み、和釜と木槽しぼりという造りを続ける理由
  • 「大江山」という銘柄に込められた願い
  • 若女将という立場から見た、蔵のこれからと地域とのかかわり
  • 小さな蔵が時代ごとに変えてきたこと、変えなかったこと

松波酒造とは — 創業は何年で、何を造っているのか

創業は明治元年(1868年)。所在地は石川県鳳珠(ほうす)郡能登町松波30-114。代表銘柄は「大江山」と「つづらの波」で、「大江山」の名は豪快な飲み方を願って付けられたと伝えられています。日本酒造組合中央会の蔵元情報には代表者として金七政彦さんの名があり、動画に登場する金七聖子さんはその長女で、蔵の若女将として発信と商いを担ってきました。

造りの特徴は、能登杜氏による極寒仕込み。和釜に甑を乗せて米を蒸し、醪(もろみ)は全量を木製の槽で搾ります。圧力をかけて一気に搾る方式ではなく、時間をかけて穏やかに搾る昔ながらの手順です。手間はかかりますが、酒の口当たりに角が立ちにくいとされています。

なお創業年については、日本酒造組合中央会の蔵元ページで基本情報が1868年、同じページの紹介文が1876年創業と食い違っています。農林水産省北陸農政局の資料および地域メディアの記事はいずれも明治元年(1868年)としているため、本記事では1868年を採りました(2026年10月3日確認)。

能登杜氏と木槽しぼり — 業界と地域の背景

能登杜氏は、南部・越後・但馬とともに日本の代表的な杜氏集団に数えられてきました。冬のあいだ各地の蔵へ出向いて酒を造り、春に郷里へ帰る出稼ぎの技術者集団で、低温でゆっくり発酵させる仕込みを得意としてきたと言われます。奥能登は冬の寒さと湿気、良質な水に恵まれ、その技が生きる土地でした。

搾りの工程で使われる「槽(ふね)」は、醪を入れた酒袋を積み上げ、上から静かに圧力をかけて酒と酒粕に分ける装置です。今日の主流は自動圧搾機(いわゆるヤブタ)で、人手も時間も大幅に省けます。それでも木の槽を全量に使い続ける蔵があるのは、搾る速さではなく搾られ方そのものを酒質の一部と見ているからです。

2024年の能登半島地震と、その後

2024年1月1日の能登半島地震で、松波酒造は酒蔵と母屋が全壊しました。長く守ってきた和釜も木槽も、建物とともに失われたことになります。報道によれば、その後は小松市の酒蔵「加越」をはじめ全国の蔵の協力を得て、倒壊した蔵から救い出した酒米を使った共同醸造が行われました。自分の蔵で造れなくなっても、酒を途切れさせないという選択です。

2025年9月14日には、能登町松波の同じ地番にトレーラーハウスの仮設店舗を開き、営業を再開しました。北國新聞などの報道では、地震から1年9か月ぶりに慣れ親しんだ松波の地へ戻った再出発と伝えられています。仮設店舗の営業時間は14:00〜18:00、定休日は日曜から水曜(2025年9月の報道時点)。

この記事を公開する時点(2026年10月)で、公式サイトは本蔵の再建について情報を掲載しています。ただし本文がJavaScriptで描画されるため当方では内容を読み取れませんでした。最新の状況は公式サイトおよび公式SNSでご確認ください。動画のなかで語られている蔵の姿は、地震の前のものです。

買う・訪ねる

  • 所在地:石川県鳳珠郡能登町松波30-114
  • 仮設店舗(トレーラーハウス):営業時間 14:00〜18:00 / 定休日 日〜水曜(2025年9月の報道時点。訪問前に公式サイト・SNSでご確認ください)
  • 代表銘柄:大江山、つづらの波
  • 公式サイト:松波酒造株式会社
  • 公式オンラインショップ:松波酒造 Online Shop 奥能登の地酒-大江山-
  • 老舗通販.net:松波酒造 のページ(2026年10月3日時点では掲載商品がありません。取扱は時期により変わります)

営業情報は2026年10月3日に、公式サイト・日本酒造組合中央会・地域メディアの記事で確認したものです。被災からの復旧途上にあるため、変更される場合があります。

同じ「動画で見る日本の老舗」シリーズでは、ほかの酒蔵も取り上げています。洛中最古の蔵松井酒造(京都)、多摩川の伏流水で仕込む石川酒造(東京・福生)、瓶内二次発酵の滝澤酒造(埼玉・深谷)。地域ごとの造りの違いが見えてきます。

老舗フェスティバル2026について

agataJapanが企画・制作する「老舗フェスティバル2026 by agataJapan」は、2026年10月3日(土)10:00〜18:00、東京・日本橋の福徳の森と仲通り周辺(東京都中央区日本橋室町2-5-10)で開催されました。全国の老舗が集まる老舗マルシェ、奉納能、老舗サミットなどを通じて、3代100年以上続く老舗の品と技に触れられる一日です。

100年続く老舗の品を、お取り寄せで

「老舗通販.net」は、3代100年以上続く老舗だけが参加する通販サイトです。2010年の開設以来、全国の老舗の品を扱ってきました。遠方でお店に足を運べない方も、ここから取り寄せられます。

老舗通販.net で老舗の品を探す

動画チャンネル「日本の老舗」について

この動画は、YouTubeチャンネル「日本の老舗」で公開されている番組「伝統はイノベーションの連続である」(CICライブ)の一本です。日本各地の文化と経済の中心である「老舗」をテーマに、3代100年続いてきた秘訣、伝統と革新、家訓など、普段あまり語られてこなかったことをご当主に伺う約45分のインタビュー番組です。

よくある質問

松波酒造の創業は何年ですか

明治元年(1868年)創業です。日本酒造組合中央会の蔵元ページには紹介文に1876年創業との記載もありますが、農林水産省北陸農政局の資料や地域メディアの記事は明治元年(1868年)としています。

代表銘柄は何ですか

「大江山」と「つづらの波」です。「大江山」の名は豪快な飲み方を願って付けられたと伝えられています。

能登半島地震のあと、酒は買えますか

2024年1月の地震で酒蔵と母屋が全壊しましたが、他県の蔵の協力による共同醸造を経て、2025年9月14日に能登町松波でトレーラーハウスの仮設店舗を開き営業を再開しています。公式オンラインショップでも購入できます。最新の在庫状況は公式サイトでご確認ください。

この記事は、YouTubeチャンネル「日本の老舗」の動画をもとに、動画で見る日本の老舗シリーズとして構成しました。石川県の老舗もあわせてご覧ください。

老舗の魅力の伝え方をご相談ください

★STARMARK®は、老舗やご当地の魅力を映像・記事・イベントで伝えるブランディングを手がけています。動画の企画制作、メディア掲載、イベント出展など、伝え方のご相談はスターマーク株式会社のお問合せフォームからお寄せください。

新着・おすすめ情報

  1. 小澤酒造の動画サムネイル

    小澤酒造|創業1702年、東京の名水と澤乃井を二十三代目が語る【動画】

  2. 世代を超えて支持される、老舗の足袋。思いを込めて足袋作りを続ける「大野屋總本店」

  3. 日本刀剣(買う / 芝エリア)のページを公開しました

  4. 【第1回 伊藤まさこさん】何度食べても飽きない、言問団子の素朴な味

  5. 羽二重団子の動画サムネイル

    羽二重団子|創業1819年、文豪が愛した団子を七代目が語る【動画】

  6. 【第1回】日本人だからこそわかる、パジャマがわりの浴衣と花火大会に着ていく浴衣の違い

  7. 【総本家 更科堀井】季節の変わりそば「木の芽切り」

  8. 箱長 オレンジ通り店

  9. 【第4回】「夏着物」を涼しくおしゃれに楽しむコツ

  10. 木村家本店の動画サムネイル

    木村家本店|創業1868年、浅草の元祖人形焼を五代目が語る【動画】

  11. 子どもの頃から家業を手伝い、その道へ。浅草で最も歴史ある人形焼店「木村家本店」

  12. 大角玉屋

  13. 青野総本舗_青野 輝信さん

    青野総本舗

  14. 【神社とお寺の参拝マナー】お賽銭やお参りのしかた、御朱印のいただき方など

  15. 日本の「茶文化」を広く知ってもらうために。時代に合わせて変化する「玉鳳堂」の柔軟さ