「細くて長いものなら、なんでも扱っている」。東京・台東区駒形の町田絲店(まちだいとてん)は、元治元年(1864年)創業の糸と紐の専門店です。店名の「絲」は細くて長いものを意味する字。手芸用の糸やリボンから、根付紐、ゴム紐、梱包資材、寺社仏閣の装飾品まで、品揃えは業界でもトップクラスといわれます。七代目当主・町田俊治さんが、160年あまり糸一筋で続けてきた商いの中身を語ります。
日本の老舗〜伝統はイノベーションの連続〜 町田絲店 七代目 当主 町田俊治氏(CICライブ/YouTubeチャンネル「日本の老舗」)/再生時間:44分49秒/公開:2021年7月29日
動画の見どころ
この回は章立て(チャプター)が設定されていないため、話題の並びを目次の形に整理しました。
- 絹糸を扱う糸商としての創業と、現在地で商いを続けてきた経緯
- 関東大震災と空襲で二度焼け、そのたびに再建した歴史
- 「細くて長いものなら、なんでも」——品揃えをどこまで広げるかという判断
- 用途に合わせた裁断・ロール巻きなどの加工という仕事
- 手芸・和装・寺社仏閣・工業資材——客筋の広さがもたらすもの
- 「老舗の技を現代にいかしつつ、新しい物作りにも挑戦する」という構え
町田絲店の創業は何年か
町田絲店の創業は元治元年(1864年)4月です。初代・町田徳之助が浅草黒船町——現在の本社の地で、主に絹糸を扱う糸商として店を開きました(町田絲店公式サイト「会社概要」・2026年10月7日確認)。2014年に150周年を迎え、2026年で創業162年になります。
その後、関東大震災と太平洋戦争の空襲で店舗が焼けるという苦難に二度見舞われながら、そのたびに再建しています(agataJapanの老舗ページ「町田絲店」・2026年10月7日確認)。
※創業年には資料間の食い違いがあります。agataJapanの老舗ページは冒頭の見出しで「創業 寛政4年(1792年)」としていますが、同じページの沿革欄は「元治元年(1864年)、初代・町田徳之助が創業」と記しており、公式サイトの会社概要も「元治元年(1864年)4月」です。公式サイトと老舗ページの沿革欄が一致するため、本記事では元治元年(1864年)を採りました。
※当主についても補足が必要です。動画の出演者は七代目当主・町田俊治さんですが、公式サイトの会社概要に記載されている現在の代表者は尾見省三さんです(2026年10月7日確認)。本記事は動画の収録時点(2021年)に合わせて七代目・町田俊治さんを当主として扱っています。
「絲」という字が示す商いの範囲
店名の「絲」は、細くて長いものという意味の字です。町田絲店はこの一字に、商いの範囲そのものを込めています。「細くて長いもの(糸、紐)であれば、なんでも取り扱っている」——公式に掲げるこの言い方のとおり、扱う品はかなり広い範囲にわたります(agataJapanの老舗ページ・2026年10月7日確認)。
- 組紐、撚り紐、花結び紐
- テープ・リボン、ラッピング用品
- 根付紐、ゴム紐、ネックピース・ストラップ
- 手縫糸、ミシン糸、絹糸、綿糸・麻糸
- 寺社仏閣の装飾品、梱包資材
- オリジナル製品(記念品・ノベルティの注文製作)
店頭には糸に精通した専門スタッフがいて、裁断や糸のロール巻きなど、用途に合わせた加工を頼むことができます。「確かな技術力」「人と信頼の物作り」「挑戦する商品力」の3本柱を掲げ、国内での製造・加工にこだわり続けているといいます。
紹介されている逸品のひとつが花結び紐です。飾り結びに向いた紐で、ポリエステル素材のため色落ちの心配がなく、高級感のある風合いが特徴。カーテンのタッセルや巾着の紐にも使えると案内されています。
組紐と糸商——業種の背景
組紐は、複数の糸を組み上げて一本の紐にする技法です。大陸から仏教とともに伝わった技法が元になったとされ、仏具の装飾や経巻の紐、武具の緒などに使われてきました。江戸時代には刀の下げ緒や羽織紐が主な用途になり、明治9年(1876年)の廃刀令で刀の需要が消えたあとは、帯締めという和装の分野が組紐を支えます。
糸商という商売も、日本の近代とともに動いてきました。明治期、生糸は日本最大の輸出品でした。絹糸を扱う商いは、和装の需要と輸出産業の両方に支えられていたわけです。やがて洋装が広まり、和装の市場は縮みます。
そのなかで町田絲店が選んだのは、一つの用途に寄りかからないことでした。手芸、和装、寺社仏閣、工業資材、ノベルティ——用途の数を増やし、裁断や巻き直しといった加工の手間を引き受ける。「細くて長いもの」という括り方は、商品の分類ではなく生き残り方の設計だったと読めます。
駒形という土地
店がある駒形は、浅草寺の南、隅田川に近い一帯です。近くには駒形堂があり、浅草の祭礼と信仰の圏内にあたります。この界隈には、太鼓と神輿の宮本卯之助商店や岡田屋布施、手描きの江戸提灯の吉野屋商店、下駄と草履の辻屋本店など、祭礼と和装にかかわる老舗が集まっています。
紐と糸は、そのどれにも必要なものです。神輿の装飾、太鼓の締め紐、提灯の吊り紐、履物の鼻緒——町田絲店の客筋の広さは、この町の職人の多さと重なっていると見ることができます。
店を訪ねる
- 住所:東京都台東区駒形1-1-1
- 電話:03-3844-2171(FAX 03-3842-5147)
- 営業時間:平日 10:00〜16:00(12:00〜13:00は昼休憩)
- 定休日:土曜・日曜・祝祭日(夏季・年末・棚卸などの臨時休業あり)
- 公式サイト:町田絲店(オンラインショップあり)
※営業情報は町田絲店の公式サイトの記載によります(2026年10月7日確認)。agataJapanの老舗ページ(町田絲店)のスポット概要欄は住所・電話・営業時間が空欄のため、公式サイトで補いました。
なお、町田絲店は老舗通販.netには出店していません(2026年10月7日確認)。お取り寄せは公式オンラインショップからどうぞ。
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この動画は、YouTubeチャンネル「日本の老舗」で公開している当主インタビュー番組「伝統はイノベーションの連続である」(CICライブシリーズ)の一本です。3代100年続いてきた秘訣を、当主ご本人の言葉で聞く番組です。ほかの回は連載「動画で見る日本の老舗」からご覧ください。
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