東京・日本橋小舟町の伊場仙は、天正18年(1590年)を創業年とする扇子とうちわの老舗です。江戸扇子は、骨を削り、紙を貼り、折りを入れて仕上げるまでおよそ88の工程を、職人が一人で通してこなします。1ミリの狂いも許されない仕事です。動画「五つの奥義」では、400年を超えて続いてきた店の当主が「売れなきゃ意味がない」と言い切る、その真意が語られます。
動画の見どころ
全編11分2秒。この回には章立てのタイムスタンプが付いていないため、内容の流れで見どころをご紹介します。
- 88工程を一人で——分業ではなく、一本を最初から最後まで同じ職人が手がけるという江戸扇子のつくり方。
- 「良い扇子」の条件——開閉の軽さ、風の起こり方、たたんだときの収まり。使ってみて分かる差がどこから来るのか。
- 版元としての顔——浮世絵師に絵を描かせ、うちわに刷り込んで売っていた時代の話。
- 売れなきゃ意味がない——伝統を名目にせず、商品として成立させることにこだわる当主の考え方。
- これからの備え——災害への備えやデジタル化など、老舗が向き合う現代の課題。
伊場仙の創業は何年か
伊場仙は創業年を天正18年(1590年)としています。ただしこれは、正確な創業年が分かっていないため、初代・伊場屋勘左衛門の生年を創業年に充てているものです。勘左衛門は三河国・岡崎の生まれで、慶長8年(1603年)、徳川家康の江戸入府に伴って江戸へ移りました。和紙や竹を扱う商売を始め、やがて御用商人として幕府にも商品を納めるようになります。うちわの製造を始めたのは江戸中期のこと。(出典:agataJapan.tokyo「伊場仙」/伊場仙公式サイト、2026年9月25日確認)
江戸後期には、初代・歌川豊国、歌川国芳、歌川広重といった人気浮世絵師の版元となります。浮世絵をうちわに刷り込んで売ったことで、伊場仙の名は江戸中に知れ渡りました。版元とは、絵師に発注し、彫師・摺師を差配して出版まで担う存在です。つまり伊場仙は、扇子とうちわの店であると同時に、江戸の出版文化の担い手でもありました。いま店舗の右側通路に併設されている「伊場仙浮世絵ミュージアム」には、当時出版した浮世絵やうちわ絵の複製が展示されています。
江戸扇子とは何か
扇子の産地として知られるのは京都ですが、江戸には江戸の扇子があります。京扇子が多くの職人による分業でつくられ、骨数が多く繊細な仕上がりになるのに対し、江戸扇子は一人の職人が全工程を担い、骨数が少なく親骨が太い。開閉のときにパチンと小気味よい音が鳴るのも、この構造ゆえです。柄も、小紋や縞、動物、文字といった粋で大胆なものが好まれてきました。
伊場仙では、江戸扇子のほか、しけびき扇子、柿渋扇子、絹扇子、江戸うちわ、都うちわなど多彩な種類を扱っています。江戸うちわは、一本の竹を細く裂いて骨に仕立てるつくり。一部の扇子には書家による手書きの名入れも頼め、納品まで2週間ほどかかります。同じ日本橋の老舗では、浴衣と江戸小紋の竺仙、楊枝の日本橋さるや、刃物のうぶけやもこの連載で紹介しています。
買う・訪ねる
- 公式サイト:伊場仙
- お取り寄せ:老舗通販.net の伊場仙のページ
- 文字でも詳しく:agataJapan.tokyo の伊場仙
- 店舗:東京都中央区日本橋小舟町4-1/電話 03-3664-9261/営業時間 4〜9月は月〜金10:00〜19:00・土10:00〜18:00、10〜3月は月〜土10:00〜18:00/定休日 日曜・祝日・年末年始(出典:伊場仙公式サイト、2026年9月25日確認)
- エリアで探す:東京都の老舗/連載一覧:動画で見る日本の老舗
老舗フェスティバル2026 by agataJapan
日本橋の老舗が集まる一日、「老舗フェスティバル2026 by agataJapan」を開催します。東都のれん会をはじめ全国の老舗の逸品が並ぶマルシェ、伝統工芸のワークショップ、酒蔵の飲み比べ、当主が登壇する老舗サミット、特設ステージでのパフォーマンスなど。会場は福徳神社に隣接する福徳の森です。
- 日時:2026年10月3日(土)10:00〜18:00
- 会場:福徳の森・仲通り周辺(東京都中央区日本橋室町2-5-10)
- 詳細:老舗フェスティバル2026 特設ページ
- チケット:老舗通販.net の特設ページ
よくある質問
伊場仙の創業は何年ですか?
天正18年(1590年)としています。正確な創業年が分からないため、初代・伊場屋勘左衛門の生年である天正18年を創業年としているものです。
江戸扇子と京扇子は何が違うのですか?
江戸扇子は骨数が少なく親骨が太いのが特徴で、職人が全工程を一人で手がけます。分業でつくられる京扇子とは、つくり方も見た目の印象も異なります。
店はどこにありますか?
東京都中央区日本橋小舟町4-1です。店舗の右側通路には「伊場仙浮世絵ミュージアム」も併設されています。
チャンネル「日本の老舗」について
この動画は、スターマーク株式会社が運営するYouTubeチャンネル「日本の老舗」の連載「五つの奥義(The Five Inner Secrets)」の一本です。ナレーションはセイン・カミュさんが務めています。
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