老舗酒蔵のクラフトジンセミナーの動画サムネイル

クラフトジン|創業1688年の酒蔵も挑む「次の100年」を6社が語る【動画】

創業100年、300年を超える日本の老舗酒蔵が、次々とクラフトジンづくりに乗り出しています。日本酒や焼酎を守ってきた蔵が、なぜ別の酒に手を伸ばすのか。そこには「生き残るための経営戦略」がありました。

2025年10月11日、老舗フェスティバル2025 by agataJapanの「老舗・ご当地セミナー」(会場:野村コンファレンスプラザ日本橋6F 大ホール)で、クラフトジンをテーマにした2本のトークセッションが開かれました。登壇したのは、佐賀・鳥取・鹿児島の老舗酒蔵3社と、金沢・八王子・野沢温泉の蒸溜所3社、そして全国の素材を集める「県ジンプロジェクト」。

YouTubeチャンネル「日本の老舗」で公開した2本の動画とあわせて、話された内容を紹介します。ファシリテーターはいずれもジンコミュニティー「ジンラボジャパン」共同代表の佐藤靖氏です。

動画①「クラフトジン〜老舗の革新」(46分50秒)

日本酒・焼酎の伝統をもつ老舗酒蔵3社の蔵元・開発担当が、ジン開発の経緯と次世代へのビジョンを語ったセッションです。登壇者は岡空聡氏(千代むすび酒造 代表取締役)、光武博之氏(光武酒造場 社長)、宮之前諒太氏(小正醸造 研究開発課)。

動画①の見どころ

  • 02:22 千代むすび酒造 — 元銀行員の蔵元が語る、総合酒類メーカーへの転身
  • 04:47 光武酒造場 — 創業337年、日本酒・焼酎に次ぐ「第3の柱」をつくる
  • 07:03 小正醸造 — 研究開発の視点から見た、世界に向けたスピリッツ戦略
  • 10:39 前提知識 — 「ジン」とは何か。定義とクラフトジンの魅力
  • 15:17 日本酒輸出の「壁」と、世界への突破口としてのジン
  • 19:54 酒粕を再利用する「Last Gin」プロジェクト
  • 25:39 日本酒ベースの「Sake Gin」と、樽貯蔵への挑戦
  • 30:26 銅製ではなく「ステンレス製焼酎蒸留器」を使う理由
  • 35:04 総括 — 「現状維持は衰退」。生き残りをかけた多角化と未来

動画②「クラフトジン〜次の100年」(53分53秒)

こちらは蒸溜所側のセッションです。中川俊彦氏(アレンビック金沢蒸留所 代表取締役)、中澤眞太郎氏(東京八王子蒸留所 代表)、フィリップ・リチャーズ氏(野沢温泉蒸留所 代表取締役)、林正勝氏(県ジンプロジェクト 総合プロデューサー / スターマーク株式会社 代表取締役)が登壇し、各蒸溜所のジンづくりの哲学と、市場を勝ち抜く戦略を語りました。

動画②の見どころ

  • 02:45 登壇者自己紹介 — 金沢・八王子・野沢温泉、そして県ジンプロジェクト
  • 17:28 ジンの基礎知識 — ジンと蒸留酒の定義、クラフトジンとは何か
  • 21:30 こだわり — ボタニカル、水、製法。米のスピリッツをベースに選ぶ理由
  • 40:53 本題 — クラフトジンの「次の100年」をどう育てるか。市場の現状と展望
  • 52:47 まとめ

登壇した老舗酒蔵3社は、いつからの蔵なのか

千代むすび酒造(鳥取県境港市) — 慶応元年1865年創業

公式サイトの会社概要によると、創業は慶応元年(1865年)。上道町で日本酒の製造を始め、大正時代に中町、昭和初期に現在の大正町へ製造場を移しました。1945年の玉栄丸爆発事故で社屋が全倒壊しながら復活した歴史をもち、2025年に創業160周年を迎えています。代表取締役社長は岡空聡氏(6代目蔵元)。ジンの製造を始めたのは令和元年(2019年)で、2021年にはウイスキー事業にも参入しました。社名の由来は「千代に八千代にご縁を結ぶ」という願いだといいます。(公式サイトで2026年10月28日確認)

光武酒造場(佐賀県鹿島市) — 元禄元年1688年創業

公式サイトの会社概要に創業 元禄元年(1688年)、会社設立は昭和30年(1955年)10月1日と明記されています。合資会社光武酒造場、社長は光武博之氏。所在地は佐賀県鹿島市浜町乙2421で、清酒・焼酎・リキュール・発酵食品を製造しています。企業理念は「酒造りは人づくり」、合言葉は「伝統の中からの革新」。セミナーで語られた「創業337年」は、2025年の開催時点で1688年から数えた年数と一致します。(公式サイトで2026年10月28日確認)

小正醸造(鹿児島県日置市) — 明治16年1883年創業

公式サイトによると創業は明治16年(1883年)。代表取締役社長は小正倫久氏で、製造場の日置蒸溜蔵は鹿児島県日置市日吉町日置3309にあります。セミナーに登壇したのは研究開発課の宮之前諒太氏で、焼酎の蔵が培った蒸留技術をジンにどう生かすかという、現場寄りの話が中心でした。(公式サイトで2026年10月28日確認)

蒸溜所3社と「県ジンプロジェクト」

動画②に登壇した3つの蒸溜所は、それぞれ立地も発想も違います。金沢のアレンビック金沢蒸留所は飲みやすさを追求し、長野の野沢温泉蒸留所はベースに米のスピリッツを選び、東京八王子蒸留所は本場ヨーロッパの製法を守る——という対比が、セッションの軸になりました。

県ジンプロジェクトは、全国47都道府県の素材を集めて「日本人のジン」をつくろうという構想です。総合プロデューサーの林正勝氏(スターマーク株式会社 代表取締役)が、その全体像を語っています。アレンビック金沢蒸留所・東京八王子蒸留所については、翌年の地方創生とクラフトジン蒸溜所(老舗フェスティバル2026)の記事でも、地方創生の観点から取り上げています。

そもそもジンとクラフトジンとは何か

ジンは、穀物などを原料とする蒸留酒にジュニパーベリー(セイヨウネズの実)で香りを付けた酒で、日本の酒税法では「スピリッツ」に分類されます。ジュニパーベリー以外のボタニカル(香味を付ける植物)の選び方に決まりがほとんどないため、産地の素材をそのまま個性にできます。これが、日本各地の蔵や蒸溜所がジンに向かう理由のひとつです。

もうひとつは製造免許の構造です。日本酒や焼酎とは別にスピリッツの製造免許が必要になる一方、ジンは熟成を前提としないため、ウイスキーのように長い貯蔵期間を待たずに出荷できます。セミナーでは「日本酒単体では越えられない輸出の壁を、ジンから攻める」という逆算の発想が繰り返し語られました。

日本酒の世界でも、発泡日本酒のように新しい酒質へ挑む蔵があります(滝澤酒造の記事、小澤酒造の記事)。老舗の「革新」は、ジンだけの話ではありません。

セミナーで語られた酒

  • 赤鳥居(光武酒造場) — 同社が公式に発表しているジャパニーズジンのブランド。セミナーでは、インバウンドにも伝わる「赤鳥居」のブランドストーリーと、日本酒をベースにした「Sake Gin」という新ジャンルの話が出ました
  • Last Gin(千代むすび酒造) — 日本酒づくりの副産物である酒粕を再利用するプロジェクトとして紹介されました
  • クラフトジン(小正醸造) — 焼酎蒸留器を生かしたジン。同社は公式サイトでクラフトジンを商品カテゴリーのひとつに掲げています

※商品の構成・価格・取扱は時期によって変わります。最新の情報は各社の公式サイトでご確認ください。(2026年10月28日時点)

買う・訪ねる

老舗フェスティバル2026 by agataJapan

このセミナーが行われた「老舗フェスティバル」は、agataJapanが毎年開いている催しです。2026年は10月3日(土)に東京・日本橋で開催し、多くの老舗にご出展いただきました。ご来場・ご出展いただいたみなさま、ありがとうございました。

酒の分野では、このクラフトジンのセミナーのように、老舗が次の100年をどう描くかという話が毎年の軸になっています。当日の様子とアーカイブは下記からご覧ください。

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「老舗通販.net」は、3代100年以上続く老舗だけが参加する通販サイトです。2010年の開設以来、全国の老舗の品を扱ってきました。遠方でお店に足を運べない方も、ここから取り寄せられます。

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チャンネル「日本の老舗」について

YouTubeチャンネル「日本の老舗」では、老舗フェスティバルの「老舗・ご当地セミナー」のアーカイブを公開しています。複数の老舗が同じテーマで本音を語る回は、1社のインタビューでは見えてこない業界の動きが分かります。シリーズの記事は動画で見る日本の老舗にまとめています。

老舗の取り組みを一緒に広げませんか

agataJapanを運営するスターマーク株式会社では、老舗や地域の事業者の情報発信・EC・イベントのお手伝いをしています。ご相談はスターマーク株式会社のお問合せフォームからお願いします。

「老舗ウィーク フォトコンテスト(2026年10月10日〜10月31日)」開催中です。くわしくは https://bit.ly/shinisephotos をご覧ください。

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