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糀屋三左衛門|室町時代創業、日本の醸造を支える種麹を二十九代が語る【動画】

味噌、醤油、日本酒。日本の醸造食品は、麹菌がなければ成り立ちません。その麹菌の種を全国の蔵元やメーカーに供給しているのが「種麹屋」で、今では全国に数社しか残っていません。愛知県豊橋市の「糀屋三左衛門」は、そのうちの一社。創業は室町時代にさかのぼり、自社は創業600年と称しています。二十九代当主の村井裕一郎さん(現・村井三左衛門)が、種麹という仕事と、麹文化を消費者へ届ける取り組みについて語っています。

動画はYouTubeチャンネル「日本の老舗」およびagataJapanが配信するご当主インタビュー番組「伝統はイノベーションの連続である」の一本で、2021年10月21日に公開されました。

糀屋三左衛門 二十九代当主 村井裕一郎氏(CICライブ/44分59秒)

動画の見どころ

この回には章立てのタイムスタンプが付いていないため、話題の並びを目次として整理しました。

  • 種麹屋とはどんな商売か。麹菌の種を醸造メーカーに供給する、表に出にくい仕事
  • 室町時代にさかのぼる歴史と、北野天満宮の「西京麹座」の座員として麹業を始めたという成り立ち
  • 足利義輝公から種麹業の許可証として賜ったと伝わる木版の話
  • 1965年に京都から愛知県豊橋市へ分離独立し、新会社として歩み始めた経緯
  • 取引先は3,000社以上。味噌・醤油・清酒それぞれで求められる麹菌が違うという話
  • 二十九代という代数を背負うことと、当主が「三左衛門」の名を襲名する家のかたち
  • 麹文化を次の世代へ伝えるために、甘酒や塩麹といった消費者向けの商品に取り組む理由

糀屋三左衛門とは — 創業はいつで、いま何代目か

創業は室町時代。自社の歴史ページでは「14世紀ごろ」とされ、関連会社ビオックの会社案内では「室町時代創業(約600年前、伝1394年)」と記されています。会社自身は「創業600年の種麹メーカー」と名乗っています。具体的な創業年を示す一次資料は確認できなかったため、本記事では「室町時代の創業」とし、伝承としての年代を併記します(2026年10月4日、糀屋三左衛門の歴史ページおよびビオックの会社案内で確認)。

成り立ちについては、北野天満宮の「西京麹座」の座員として麹業を始めたと伝えられています。また、室町幕府13代将軍・足利義輝(在職1546〜1565年)から種麹業の許可証として木版を賜ったとされる伝承があります。創業の伝承年代と義輝の時代は150年以上離れていますが、これは創業と公認が別の出来事として語られているためです。

現在の当主は二十九代。動画公開時(2021年)は村井裕一郎さんの名義で出演していますが、2025年に「第二十九代 村井三左衛門」を襲名しています。本記事では、動画に合わせて村井裕一郎さんの名前を用い、現在の名乗りを併記しています。

沿革 — 京都から豊橋へ

長く京都で営まれてきた家業は、1965年に京都から愛知県豊橋市へ分離独立し、新会社として設立されました。1971年に現在地へ新工場を建設、1985年にはパーフェクトクリーン工場が竣工しています。1992年には関連会社のビオックが設立され、麹菌の研究・製造を担っています。本社は愛知県豊橋市牟呂町内田111-1です。

種麹は醸造メーカーに供給され、顧客は3,000社を超えます。当主は別媒体のインタビュー(三和酒類「koji note」)で、種麹メーカーの仕事を「ガスや電気のようなインフラに近いもの」と表現しています。

種麹とは何か — 業種と地域の背景

種麹は、麹菌を供給するために蒸米などに加えるもので、味噌・醤油・清酒といった醸造食品をつくるときに使われます。米を原料に麹菌を培養し、胞子を着生させてから乾燥させたものです。胞子が着生した米を乾かした粒状種麹と、胞子だけを回収した粉状種麹があり、現代ではほとんどが粉状です。使われる麹菌で最も多いのはニホンコウジカビ(Aspergillus oryzae)です(2026年10月4日、Wikipedia「種麹」で確認)。

酒造メーカーでは今でも種麹を「もやし」と呼ぶ習慣があります。これは、酒造メーカーが歴史的に早くから外部の種麹業者から種麹を購入してきたためと考えられています。平安時代から、乾燥・保存した種麹を売る「種麹屋」があったことが文献に残っています。そして現在、種麹は全国に数社しかない種麹専門メーカーが製造しています。糀屋三左衛門はその数社のうちの一社です。

つまりこの商売は、消費者が店で買う商品にはほとんど名前が出てきません。それでも、全国の蔵元やメーカーがつくる味噌・醤油・日本酒の出発点にあたる部分を担っています。取引先が3,000社を超えるという数字は、その位置を示しています。

本社のある豊橋市は愛知県の東三河に位置します。愛知県は八丁味噌などの豆味噌や、たまり醤油の産地として知られる醸造の土地で、種麹の需要地のただなかにあります。1965年に京都から豊橋へ分離独立したという沿革は、この地理と重なります。

名物と商品 — 何をつくっているか

本業は醸造メーカー向けの種麹です。加えて、麹文化を次の世代へ伝えるために、消費者向けの甘酒や塩麹などの製造・販売にも取り組んでいます。

2022年11月1日には、「ほどける、ととのう、つむぐ。」をコンセプトにした麹商品ブランド「orise(オリーゼ)」を発売しました。麹を見た目・香り・味といった五感で楽しみながら、自分と向き合う時間をつくるという考え方のブランドです。

  • orise 甘酒:純米、小豆、いも、初恋レモンの4種類
  • orise 麹調味料:塩糀、かける糀の2種類
  • 価格は各810円(税込・発売時)
  • 老舗通販.netでは「orise全種セット」「orise甘酒全種セット」「orise甘酒&調味料セット」「orise純米3本セット」といったセットで扱われています

買う・訪ねる

本社は愛知県豊橋市牟呂町内田111-1。種麹は醸造メーカー向けの事業のため、一般の店頭販売ではありません。消費者向けの「orise」は公式オンラインストアと老舗通販.netで購入できます。本社は製造施設であり見学の受け入れについては公表されていないため、訪問を希望される場合は事前に会社へお問い合わせください(2026年10月4日時点)。

老舗フェスティバル2026は10月3日に開催されました

agataJapanが主催する「老舗フェスティバル2026」は、2026年10月3日(土)10:00〜18:00、東京・日本橋の福徳の森と仲通り周辺(東京都中央区日本橋室町2-5-10)で開催されました。全国の老舗と「ご当地」の生産者が集まり、奉納能や老舗サミット、名店コラボなどの企画が並びました。

2026年の開催は終了しています。当日の出展者や企画の詳細、次回の開催情報は老舗フェスティバル2026の特設ページでご覧いただけます。

100年続く老舗の品を、お取り寄せで

「老舗通販.net」は、3代100年以上続く老舗だけが参加する通販サイトです。2010年の開設以来、全国の老舗の品を扱ってきました。遠方でお店に足を運べない方も、ここから取り寄せられます。

老舗通販.net で老舗の品を探す(糀屋三左衛門の商品ページ)

動画で見る日本の老舗

この回は、YouTubeチャンネル「日本の老舗」およびagataJapanが配信するご当主インタビュー番組「伝統はイノベーションの連続である」(CICライブ)の一本です。3代100年続いてきた老舗に、伝統と革新、家訓など普段あまり語られてこなかったことを聞く構成になっています。

ほかの老舗の回は、連載「動画で見る日本の老舗」の一覧からご覧いただけます。

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