酒蔵を建てる場所は、水が決めます。日本酒は成分の8割前後が水であり、仕込み水の性質がそのまま味を左右するからです。文政5年(1822年)、田村家の9代目当主・田村勘次郎(賢真)が酒造業を興したとき、敷地内の各所で井戸を掘りました。そして大欅(おおけやき)の根元から泉が湧き出した——その水にちなんで、酒の銘は「嘉泉(かせん)」と名づけられます。
嘉(よ)い泉。銘柄名が、そのまま蔵の成り立ちの記録になっています。この井戸水は創業以来、仕込み水として使われ続けています。東京都福生市の田村酒造場は、2022年に創業200年を迎えました。
YouTubeチャンネル「日本の老舗」では、16代目当主が「やっと見つけた“よき水”」をめぐる話と、変わらない基本と進化させるべき技術について語っています。動画とあわせて、蔵の沿革と東京の酒造りの背景を整理しました。
公開日:2024年3月7日/再生時間:12分5秒
動画の見どころ
- 仕込み水を探して井戸を掘り、大欅の根元で「よき水」に行き当たるまで
- 酒造りの基本は変わらない。一方で技術の進化は必要だという考え方
- 品質の安定性をどう追求するか——年によって変わる条件のなかで
- 地元での採用と、技術を次の世代へ継承していくこと
- 家訓「丁寧に造って、丁寧に売る」が現場でどう守られているか
- 日本酒の魅力を世界へ伝えることを、業界全体の使命としてどう捉えるか
※この回の概要欄には章立てのタイムスタンプがないため、見どころを箇条書きで示しています。
田村酒造場とは——創業は何年か
創業は文政5年(1822年)。田村家の9代目当主・田村勘次郎(賢真)が酒造業を興したのに始まります。近隣の酒造家・酒屋と関係を結んで一貫した販売体制を築き、販売網を広げていきました。現在の当主は16代目・田村半十郎さんで、2008年(平成20年)に当主となっています。(出典:Wikipedia「田村酒造場」、agataJapan.tokyo「田村酒造場」、2026年9月28日確認)
蔵が掲げる家訓は「丁寧に造って、丁寧に売る」。伝統を守りながらも進取の精神にならった酒造りを続け、コストとのバランスを考えながら高品質な日本酒を製造・販売しています。
代表作は「まぼろしの酒 嘉泉」シリーズ。ほかに日本各地の米の味を楽しめる「かねじゅう田むら」、MADE IN TOKYOを掲げた「東京和醸」なども展開しています。
「よき水」とは何か——秩父奥多摩伏流水と中硬水
田村酒造場の仕込み水は秩父奥多摩伏流水で、硬度は中硬水にあたります。硬水はカルシウムやマグネシウムといったミネラルを比較的多く含み、一般にこうしたミネラルは酵母のはたらきを助けて発酵を進みやすくするとされます。逆に軟水で醸すと発酵はおだやかに進みます。つまり水の硬度は、蔵がどんな酒質を目指せるかの前提条件になります。(出典:Wikipedia「田村酒造場」、2026年9月28日確認)
動画のタイトルが「日本酒は水が命」であるのは、比喩ではありません。200年前に井戸を掘り当てた場所に、いまも蔵が立っている。設備は更新でき、米は買い分けられますが、水源は動かせません。だから当主が語る「やっと見つけた“よき水”」は、蔵そのものの存在理由にあたる話なのです。
東京で酒を造るということ——多摩の酒蔵
東京に酒蔵があると聞いて驚く人は少なくありません。しかし多摩川の中流から上流にかけての一帯には、江戸期から続く蔵が点在しています。福生市の田村酒造場、同じ福生の石川酒造、青梅市沢井の小澤酒造など、いずれも良質な地下水に恵まれた土地です。江戸という巨大な消費地を控えていたことも、この地域に酒造業が根づいた理由でしょう。
田村酒造場が掲げる「東京和醸」は、まさにそこを商品名にしています。華やかな桜と東京の街並みをイメージしたパッケージで、海外や地方への土産としても選ばれているそうです。東京の地酒は、いまや旅の土産になりつつあります。
何が名物か——嘉泉の定番酒
- 特別本醸造 幻の酒……2,310円(1.8ℓ)。酒造好適米を60%まで精米した特別本醸造酒。香りは控えめでコクがあり、飽きのこない味わい。熱燗にも冷やにも向き、焼き鳥やチョコレートにも合わせられます
- 田むら 吟ぎんが……3,421円(1.8ℓ・専用箱入)。岩手県産の酒造好適米「吟ぎんが」を55%まで高精米し、瓶燗火入れで仕上げた純米吟醸酒。冷やして飲むのがおすすめです
- 特別純米 東京和醸……1,650円(720ml)。芳醇でやや辛口の特別純米酒。瓶燗火入でお酒本来の風味を残した食中酒で、和食だけでなく洋食にも合います
- 杜氏の心 嘉泉純米吟醸……華やかな香りで飲みやすい純米吟醸酒
- かねじゅう田むら……日本各地の米の味を楽しめるシリーズ
※取り扱い商品と価格は時期によって変わります。最新の品揃えは老舗通販.netと公式サイトでご確認ください。(2026年9月28日確認)
訪ねる——蔵見学と福生蔵開き
田村酒造場では蔵見学を受け付けています。少人数酒造見学は1〜5名のグループ限定で、定員15名、指定された日程(月1〜2回の土曜日)14:00〜。公式サイトからの事前予約制で、定員になり次第受付終了です。団体酒造見学は10名以上の場合に予約でき、定員15名、1日1団体限定で希望の日時を指定できます。休業日(日・月・祝)や蔵の予定により催行できない日もあります。参加費は無料、所要時間は1時間程度です。
なお福生蔵開きの日は、事前予約不要・入場制限なしで蔵見学ができます。(出典:agataJapan.tokyo「田村酒造場」、2026年9月28日確認)
買う・訪ねる
- 老舗通販.net:田村酒造場(嘉泉)の商品一覧
- 蔵:〒197-0011 東京都福生市福生626(電話 042-551-0003)
- 営業時間:8:30〜17:00/定休日:日曜・祝日(冬季を除き月曜日休業あり)
- 公式サイト:www.seishu-kasen.com(2026年9月28日時点でSSL証明書の有効期限切れのため、リンクを設けずURLのみ記載します)
- agataJapan.tokyoの紹介ページ:田村酒造場
- エリアで探す:東京都の老舗
※営業情報はagataJapan.tokyoの掲載内容です(2026年9月28日確認)。変更される場合があるため、お出かけ前に蔵へご確認ください。
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老舗フェスティバル2026で全国の老舗に会える
agataJapanでは毎年、日本が世界に誇る老舗の技術と文化に触れられるイベント「老舗フェスティバル by agataJapan」を開催しています。2026年は日本橋で開催します。
- 日時:2026年10月3日(土)10:00〜18:00(予定)
- 会場:福徳の森・仲通り周辺(東京都中央区日本橋室町2-5-10)
- 入場:無料(飲食・セミナーなどは別途費用)
- 内容:老舗・ご当地マルシェ、伝統工芸ワークショップ、全国の酒蔵による日本酒の飲み比べ、老舗サミット、ステージパフォーマンスほか
- 詳細:老舗フェスティバル2026 by agataJapan
- チケット・特設ページ:老舗通販.net 老舗フェスティバル2026特設ページ
会場に隣接する福徳神社は、古くから商売繁盛の祈願で親しまれてきた神社です。老舗の逸品を手に取りながら、日本橋の歴史と文化に親しむ一日をお過ごしください。
100年続く老舗の品を、お取り寄せで
「老舗通販.net」は、3代100年以上続く老舗だけが参加する通販サイトです。2010年の開設以来、全国の老舗の品を扱ってきました。遠方でお店に足を運べない方も、ここから取り寄せられます。
YouTubeチャンネル「日本の老舗」
この動画を公開しているYouTubeチャンネル「日本の老舗」では、創業100年を超える老舗の当主に、老舗を老舗たらしめる「五つの奥義」を語ってもらうインタビューシリーズを配信しています。ほかの回は動画で見る日本の老舗からご覧ください。
老舗のブランディング・販路開拓のご相談
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