東京・京橋の店に入ると、壁一面にかけられた江戸箒が目に飛び込んできます。天保元年(1830年)創業の白木屋傳兵衛(白木屋中村傳兵衞商店)。簡略化した製法に移る箒店が多いなか、いまもほぼ手作業で職人が編み、江戸箒づくりの天才といわれた創業者の技術を守り続けています。YouTubeチャンネル「日本の老舗」の動画では、七代目ご当主が「決して機械化できない職人技」を語ります。
11分20秒。2022年12月24日公開、ナレーションはセイン・カミュさんです。
動画の見どころ
- 「あくまでも生活で使う道具ですが、うまい人間がつくると美しく仕上がる」という言葉
- 穂を指先でこすってランク分けする「草選り」という独自の工程
- 箒を1000本つくって、ようやく1種類の穂の違いが分かるという世界
- 10年後に来た客にも、綴じ糸の色を見ればほぼ同じ箒を出せるという品質管理
- 掃除機の時代に、なぜ箒がもう一度合う道具になるのか
白木屋傳兵衛とは——創業は何年で、いまは何代目か
創業は天保元年(1830年)。江戸箒づくりの天才といわれた創業者の技術を、およそ200年にわたって受け継いできました。現在のご当主は七代目・中村悟さん。正式な商号は「白木屋中村傳兵衞商店」です。
店のある京橋は、東海道の起点である日本橋の南に続く商人の町として発展した一帯です。いまはオフィスビルが立ち並びますが、そのあいだに江戸から続く商いがいくつも残っています。日用品を扱う店が都心の真ん中で200年続いてきたこと自体が、この町の性格を物語っています。
「草選り」——指先だけを頼りに穂をランク分けする
白木屋傳兵衛ならではの製法が「草選り」です。仕入れたイネ科のホウキモロコシの穂を合わせる際に、穂を指先でこすってランク分けをしていきます。良い穂になるほど弾力があり、草も多くなるため、ほこりをまとめやすく耐久性にも優れます。頼るのは指先の感覚だけ。
箒を1000本つくれば1種類の穂の違いが分かるようになる、という世界です。そこから2000本、3000本と経験を積み、あらゆる穂の違いを体にしみ込ませていきます。草選りをすることで、同じランクの箒に当たり外れが生まれず、一定の品質が保てます。「10年後にまた買いたいと言われても、綴じ糸の色を見れば、ほとんど同じものを提供できます」。ご当主がそう言い切れるのは、この工程があるからです。
ランク分けを終えた穂は、竹柄とのバランスを考えて編まれます。1本を編み上げる時間は、早ければ1時間半ほど。完成した江戸箒は驚くほど軽くてしなやかです。
箒は「試し掃き」で選ぶ
同じランクでも、コシや掻き出しの強さには繊細な差があります。そのため白木屋中村傳兵衞商店では、箒を買う人に必ず試し掃きをすすめています。何本も試すうちに、体にしっくりくる1本が見つかる。生活を共にする相棒のような親近感が湧いてくるのも、道具としての箒の面白さです。初めて箒を使う人は、店で相談するのがいちばん早い買い方です。
なぜいま箒なのか——掃除機にはない三つの利点
高度経済成長期以降、箒に代わって掃除機が台頭しました。それでもご当主は「箒こそ現代生活に合う道具」と話します。理由は三つ。音が響かないので早朝や深夜も使える。スペースを取らないのでコンパクトな部屋でも邪魔にならない。そして電気を使わないので環境に優しい。「実はSDGsなんです」というご当主の言葉は、集合住宅と省エネが前提になった暮らしのほうが、むしろ箒に近づいてきたということでもあります。100年先まで受け継いでいきたい道具です。
代表的な江戸箒
- 江戸手箒(特上11,000円、上8,800円):看板商品。コシの強い草を選別しているため、数ある江戸箒の中でもバネ感があり、ほこり取れがよい1本。座敷・フローリング・カーペットと場所を選びませんが、特におすすめはカーペット。潜んでいたほこりや髪の毛、ペットの毛をどっさり掻き出せます
- 江戸手箒(スリム)(6,600円):穂のボリュームを抑え、通常より横幅を細く仕上げたもの。軽くて扱いやすく、タンスの隙間やテレビ台の下など掃除機が届きにくい奥までほこりを掻き出せます。インテリアとして壁際に飾ってもおしゃれ
- おてがる箒(4,950円)・不精箒・長柄(3,850円):インドネシア産の輸入草を使ったリーズナブルな価格帯。インドネシアと日本の箒職人は縁が深く、昭和40年(1965年)頃から原料の栽培方法や箒の製作指導を現地で行ってきました。頑丈に編み上げているので家中でオールマイティに使えます
買う・訪ねる
- お取り寄せ:白木屋傳兵衛(老舗通販.net)
- 老舗ページ:白木屋傳兵衞|agataJapan.tokyo
- 当主インタビュー:創業以来変わらぬ製法。受け継がれる職人技で編み上げる江戸ほうき「白木屋中村傳兵衛商店」7代目中村悟さんに聞く<前編>
- 公式サイト:白木屋傳兵衛(江戸箒)
- 所在地:東京都中央区京橋3-9-8 白伝ビル1F/電話 03-3563-1771
- 営業時間:10:00〜19:00/定休日:日曜
- 同じ東京都・日本橋界隈の職人の老舗記事:黒江屋、うぶけや
営業時間と電話番号は公式サイトで、価格・所在地はagataJapan.tokyoの老舗ページで、いずれも2026年9月26日に確認しました。変更される場合がありますので、お出かけの際は公式サイトでご確認ください。
老舗フェスティバル2026で会える
スターマーク株式会社(老舗フェスティバル実行委員会)が主催する「老舗フェスティバル2026 by agataJapan」は、2026年10月3日(土)に東京・日本橋で開催されます。全国の老舗の逸品が並ぶ「老舗・ご当地マルシェ」、当主が登壇する「老舗サミット」、全国の酒蔵による日本酒の飲み比べコーナーなど、老舗の技と味にまとめて触れられる一日です。
- 日時:2026年10月3日(土)10:00〜18:00(予定)
- 会場:福徳の森・仲通り周辺(東京都中央区日本橋室町2-5-10)
- 入場:無料(飲食・セミナーなどは別途費用)
- 詳細:老舗フェスティバル2026 by agataJapan
- チケット・特設ページ:老舗フェスティバル2026 特設ページ(老舗通販.net)
YouTubeチャンネル「日本の老舗」について
この動画は、100年以上続く日本の老舗の当主に「老舗を老舗たらしめる五つの奥義」を語ってもらうYouTubeチャンネル「日本の老舗」のシリーズです。ほかの老舗の回は、動画で見る日本の老舗からまとめてご覧いただけます。
老舗の魅力を伝える企画・制作のご相談
スターマーク株式会社は、老舗の取材・動画制作・EC・イベントを一貫して手がけています。自社の歴史や技術をどう伝えるか、どう売るかでお悩みの方は、スターマークのお問合せフォームからお気軽にご相談ください。
100年続く老舗の品を、お取り寄せで
「老舗通販.net」は、3代100年以上続く老舗だけが参加する通販サイトです。2010年の開設以来、全国の老舗の品を扱ってきました。遠方でお店に足を運べない方も、ここから取り寄せられます。





