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江戸屋|創業1718年、3000種の刷毛とブラシを十三代目が語る【動画】

東京・日本橋の旧日光街道沿い、大伝馬本町通りに、白っぽい外壁がひときわ目立つ二階建ての商店があります。看板の「江戸屋」という文字をよく見ると、漢字のはらいがすべて刷毛の先の形をしています。享保3年(1718年)創業、刷毛とブラシの専門店です。店内に並ぶ品数は3,000種類以上。

YouTubeチャンネル「日本の老舗」には、この店を取り上げた動画が2本あります。シリーズ「五つの奥義」の8分18秒の回と、「江戸東京ブランド巡り」第10回として十三代目ご当主・濵田保雄さんが30分39秒にわたって刷毛とブラシを解説した回。このページでは2本をまとめてご紹介します。

動画①【五つの奥義】3,000種類以上の刷毛とブラシ

ナレーションはセイン・カミュさん。8分18秒で江戸屋の全体像をつかめる回です。概要欄に章立てのタイムスタンプは付いていないため、以下は語られている論点をまとめたものです。

  • 用途ごとに分かれた3,000種類以上の刷毛・ブラシという品揃え
  • 天然素材にこだわり、毛の種類・長さ・密度を用途に応じて決める考え方
  • 将軍家お抱えの刷毛師として始まった店の成り立ち
  • 300年以上愛される理由として当主が挙げる五つの要点

なおこの動画の概要欄には「享和3年、1718年に創業」とありますが、享和3年は1803年にあたり西暦と合いません。公式サイトの会社概要、agataJapan.tokyoの老舗ページ、Wikipediaはいずれも享保3年(1718年)としており、本記事では享保3年(1718年)を採りました(2026年10月4日、公式サイトで確認)。

動画②【江戸東京ブランド巡り】十三代目が刷毛とブラシを解説

一般社団法人江戸東京ブランド協会が主催し、★STARMARK®が企画するシリーズの第10回。十三代目ご当主・濵田保雄さんが、暮らしのなかにある多種多様な刷毛やブラシの特徴と使い方を、現物を手に取りながら解説します。30分39秒。

  • 豚毛のヘアブラシが髪にツヤを出す仕組み — ひと穴に数十本植えた毛が髪を通してキューティクルを撫で付ける
  • ブラシを長持ちさせる手入れ — 「ブラシクリーナー」で埃を払い、水では洗わない
  • リスの毛を用いた最高級の化粧用ブラシ。蒔絵の金粉を払う道具としても使われる
  • 野菜の洗浄機に組み込まれる工業用ブラシなど、BtoBの仕事
  • 職人の育成と正当な対価 — 伝統を継ぐために当主が取り組んでいること

江戸屋とは — 創業は何年で、屋号はどこから来たのか

初代・利兵衛は、江戸幕府7代将軍家継の時代に将軍家お抱えの刷毛師に任ぜられた人物でした。刷毛づくりの腕を認められ、御用商人の紹介を受けて屏風やふすま、化粧に用いる刷毛を徳川家に納めます。そして享保3年(1718年)、8代将軍吉宗の時代に将軍家より「江戸屋」の屋号を与えられ、江戸刷毛の専門店として開業しました。

当初の品揃えは、経師(きょうじ)刷毛、染色刷毛、白粉(おしろい)刷毛、塗装刷毛、人形刷毛、漆刷毛、木版刷毛といった江戸刷毛。明治時代に入るとデッキブラシ、洋服ブラシ、ヘアブラシなど西洋に由来するブラシ類も作り始め、現在まで法人向け・個人向けの双方に多種多様な品を納めています。

モットーは「誠実・良品・奉仕」。十三代目の濵田保雄さんは「できないとは言わない」ことを老舗のプライドとして挙げています。agataJapan.tokyoの江戸屋の老舗ページ、および連載記事徳川将軍お抱えの“刷毛師”が創業・用途に応じて素材を選びぬき、職人技で仕上げる・伝統文化を残していくため、職人の待遇も考慮するにも詳しい記録があります。

店舗は国の登録有形文化財 — 看板建築という様式

江戸屋の店舗兼住宅は、大正13年(1924年)に建てられた木造2階建て。人造石洗い出し仕上げの外壁を持つ、いわゆる「看板建築」です。平成26年(2014年)4月25日に国の登録有形文化財(建造物)に登録されました。間口6.2メートル、奥行19.6メートル。1階が店舗・事務所・倉庫、2階が居室と倉庫で、建具や金庫も当初のものが残っていると解説されています。

看板建築は、関東大震災後の東京で数多く建てられた商店建築の様式です。木造の町家の正面だけを平らな壁で覆い、そこに洋風の装飾を施す。モルタルや人造石で仕上げた一枚の「看板」のような正面が、通りに向かって店の顔をつくります。江戸屋の正面意匠が刷毛を表しているのは、この様式が持つ看板としての性格をそのまま活かしたものです。

店の建つ大伝馬町は、江戸期に伝馬役を務めたことに町名の由来を持つ一帯で、旧日光街道の起点に近い商人の町でした。毎年10月19日・20日に宝田恵比寿神社の周辺で開かれる「べったら市」は、この界隈の年中行事として知られています。

刷毛とブラシ、そして獣毛 — 道具としての背景知識

刷毛とブラシは、どちらも毛を植えた道具ですが、仕事の向きが逆です。刷毛は塗料や糊、漆を「塗る/のせる」ための道具。ブラシは埃や汚れを「掻き出す/払う」ための道具。江戸屋はその両方を扱ってきました。浮世絵の多色摺りに使う木版刷毛、表具に使う経師刷毛、漆器に使う漆刷毛、人形の頭に胡粉(貝殻から作る日本古来の顔料)を塗る人形刷毛 — 用途ごとに専門の職人が仕上げます。

毛の選び方にも理屈があります。馬毛は主に鬣(たてがみ)を使い、やわらかくて刺激が少ない。豚毛は馬毛よりやや硬く、強いコシがある。猪毛は毛先がYの字に割れており、繊維の奥の塵を掻き出すのに向く。山羊毛はあたりがソフトで、顔に使うブラシに適する。リス毛は非常に軟らかく、蒔絵の金粉を払う道具にも使われます。江戸屋の歯ブラシは馬毛や豚毛で作られており、ナイロン製のように毛先がすぐ開くことがなく、2〜3か月使えるといいます。

一方で、原料の確保は年々難しくなっています。十三代目は、輸入で量は確保できても品質面に課題があり、昔は8割から半分は使えた毛が今では3割しか使えないこともある、と語っています。そのうえで「作品」ではなく「道具」を扱う商人でありたいとし、職人の育成と正当な対価の支払いを大切にすると述べています。原料も人も痩せていくなかで、価格を上げきれないという老舗共通の悩みが、ここにも表れています。

日本橋には、ほかにも道具と素材を扱う老舗が残っています。江戸千代紙の版元いせ辰、漆器の黒江屋、刃物のうぶけや。江戸屋の木版刷毛や漆刷毛が、どんな仕事の相手だったのかが見えてきます。

名物・買う・訪ねる

  • 洋服ブラシ 手植え万能タイプ別誂 19,800円 — 毛先がYの字になった天然の猪毛を二段植毛で仕上げたもの
  • ヘアーブラシ6行植え S型 特級黒豚毛 7,150円 — 豚毛をずらして不均一な長さにし、髪通りをよくしている
  • フェイスブラシ 4,400円 — 山羊毛製。アイメイク用ブラシ、リップブラシとあわせてプロからの指名も多い
  • 店舗:江戸屋 — 東京都中央区日本橋大伝馬町2-16
  • 電話:03-3664-5671
  • 営業時間:10:00〜17:00 / 定休日:土曜・日曜・祝祭日
  • 支払い方法:現金・クレジットカード
  • 公式サイト:株式会社江戸屋 / 公式オンラインショップ:江戸屋通信販売
  • このほか、中央区まちかど展示館「江戸屋所蔵刷毛ブラシ展示館」でも所蔵品が公開されています

営業情報は2026年10月4日に公式サイトの会社概要ページで確認しました。老舗通販.netには江戸屋のコレクションページはありませんが、公式のオンラインショップから購入できます。

老舗フェスティバル2026について

agataJapanが企画・制作する「老舗フェスティバル2026 by agataJapan」は、2026年10月3日(土)10:00〜18:00、東京・日本橋の福徳の森と仲通り周辺(東京都中央区日本橋室町2-5-10)で開催されました。全国の老舗が集まる老舗マルシェ、奉納能、老舗サミットなどを通じて、3代100年以上続く老舗の品と技に触れられる一日です。

100年続く老舗の品を、お取り寄せで

「老舗通販.net」は、3代100年以上続く老舗だけが参加する通販サイトです。2010年の開設以来、全国の老舗の品を扱ってきました。遠方でお店に足を運べない方も、ここから取り寄せられます。

老舗通販.net で老舗の品を探す

動画チャンネル「日本の老舗」について

この動画は、YouTubeチャンネル「日本の老舗」のシリーズ「【五つの奥義】」と「江戸東京ブランド巡り—江戸のスゴ技、うまいもの教えます」で公開されているものです。「五つの奥義」は、100年以上続く老舗のご当主に、老舗を老舗たらしめる五つの要点を語ってもらうシリーズ。「江戸東京ブランド巡り」は一般社団法人江戸東京ブランド協会が主催し、★STARMARK®が企画するシリーズです。

よくある質問

江戸屋の創業は何年ですか

享保3年(1718年)です。初代・利兵衛が7代将軍家継の時代に将軍家お抱えの刷毛師に任ぜられ、享保3年に8代将軍吉宗の時代に将軍家より「江戸屋」の屋号を与えられて開業しました。

何代目が続いているのですか

動画に登場する濵田保雄さんが十三代目ご当主です。2022年の連載記事では、十二代目の濵田捷利さんが社長を務めていたことも記録されています。

お店の建物は文化財ですか

はい。大正13年(1924年)建築の木造2階建ての看板建築で、平成26年(2014年)4月25日に国の登録有形文化財(建造物)に登録されています。正面の意匠は刷毛を表しています。

この記事は、YouTubeチャンネル「日本の老舗」の動画をもとに、動画で見る日本の老舗シリーズとして構成しました。東京都の老舗もあわせてご覧ください。

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