東京・浅草橋の吉徳は、正徳元年(1711年)創業の人形店です。三河出身の初代・治郎兵衛が江戸浅草茅町に人形玩具店を開いたのが始まりで、2011年に創業300年を迎えました。人形専業としては江戸でもっとも古い店のひとつとされます。
その初代が工夫した陳列や売り方が、のちの浅草橋の人形問屋街の出発点になりました。YouTubeチャンネル「日本の老舗」のご当主インタビュー番組で、十二代 山田徳兵衛さんが、300年続いた商いと「顔がいのち」という言葉について語っています。
収録・公開:2021年2月19日/再生時間:48分44秒
動画の見どころ
この回には章立てのタイムスタンプが付いていないため、話題の並びを目次として整理しました。
- 人形専業の店として、江戸から数えて300年を越えた商いのなりたち
- 初代・治郎兵衛が三河から江戸へ出て、浅草茅町に人形玩具店を開いた話
- 徳川六代将軍から「吉野屋」の屋号を賜ったという家の由緒
- 六世以降は当主が「徳兵衞」の名を襲名してきた、家のかたち
- 関東大震災と東京大空襲で二度店を失い、そのたびに浅草橋へ戻って再建した経緯
- 「顔がいのち」という言い方に込められた、人形づくりの考え方
- 節句人形の需要が変わるなかで、何を守り、何を変えてきたか
吉徳とは — 創業はいつで、いま何代目か
創業は正徳元年(1711年)。三河出身の初代・治郎兵衛が、江戸浅草茅町(現在の台東区浅草橋のあたり)に人形玩具店を開きました。初代は徳川六代将軍から「吉野屋」の屋号を賜り、「吉野屋治郎兵衞」と名乗ったと伝えられています。その「吉野屋徳兵衛」が略されて、のちの商号「吉徳」になりました。正式に社名を吉徳としたのは明治6年(1873年)です(2026年10月5日、吉徳公式サイトの沿革およびWikipedia「吉徳」で確認)。
当主の名は、初代から五世までが治郎兵衛、六世以降は代々「徳兵衞」を襲名してきました。十一世・山田忠男さんが昭和59年(1984年)に、十二世・山田純一郎さんが平成22年(2010年)に襲名し、現在の社長を務めています。動画は2021年の公開で、出演者は「吉徳 12代目 山田徳兵衛」として紹介されています。襲名した名と戸籍上の名が別にあるため、本記事では動画の表記にそろえて「十二代 山田徳兵衛」と記し、公式サイトの表記(十二世・山田純一郎)を併記します。
沿革 — 二度焼けても、浅草橋に戻った
江戸時代には何度か暖簾分けがあり、文久2年(1862年)には久月が分かれています。大正12年(1923年)の関東大震災で店舗が倒壊し、昭和20年(1945年)の東京大空襲で焼失。そのたびに同じ浅草橋の地に再建し、昭和22年(1947年)に店を建て直しました。創業時から現在まで、所在地が浅草橋界隈から動いていないことが、この店の特徴です。
昭和35年(1960年)には、現在の天皇陛下のご誕生に際してご用命を受けています。昭和40年(1965年)からはテレビCMを始め、「顔がいのちの吉德」というキャッチフレーズが広く知られるようになりました。平成23年(2011年)に創業300年を迎えています。
人形の街・浅草橋 — 業種と地域の背景
浅草橋は、人形と花火の問屋街として知られる街です。台東区の観光情報では、東京の人形問屋の約70%以上がこの浅草橋界隈に集まったとされ、その成り立ちは正徳元年(1711年)に三河出身の次郎兵衛が吉徳初代として人形店を開いたことに始まる、と紹介されています。陳列や販売方法の工夫によって一帯が問屋街へと育ったという説明です(2026年10月5日、台東区の観光情報サイトで確認)。
人形店が扱うのは、主に節句のための人形です。3月の上巳の節句には雛人形、5月の端午の節句には五月人形。どちらも子どもの無事な成長を願う行事の品で、江戸時代に武家から町人へと広がりました。つまり人形店の商いは、暦と家族の行事に支えられています。少子化や住宅事情の変化で大型の段飾りが減り、小さく飾れる品が増えてきたのは、その延長にある変化です。
吉徳の店頭には、節句人形のほかに、飾り羽子板や木目込み人形、だるまのぬいぐるみなども並びます。人形専業の店が300年続いてきた背景には、節句の需要だけに頼らず、季節の縁起物や玩具まで扱ってきた幅の広さがあります。
名物と商品 — 何を売っているか
看板は節句人形です。雛人形、五月人形、それに飾り羽子板や木目込み人形。浅草橋本店の4階には「吉徳これくしょん展示室」があり、所蔵する人形や資料の企画展が開かれています。2026年10月時点では「吉徳のぬいぐるみ 70周年記念展」が開催中です。
- 節句人形:雛人形、五月人形
- 季節の飾り物:飾り羽子板、だるまのぬいぐるみ
- 木目込み人形などの工芸人形
- ぬいぐるみ(2026年で70周年)
- 老舗通販.netでは「こけし―へその緒入れ」やぬいぐるみなどを扱っています
買う・訪ねる
浅草橋本店は東京都台東区浅草橋1-9-14。営業時間は9:30〜17:00、12月30日までは無休と公式サイトに案内があります。催事や繁忙期に時間が変わることがあるため、お出かけ前に公式サイトでご確認ください(2026年10月5日、吉徳公式サイトの店舗情報で確認)。電話は03-3863-4419。駐車場・授乳室があり、バリアフリーに対応しています。
- 公式サイト:吉徳(吉徳の歴史)
- 老舗通販.net の商品ページ:吉徳
- agataJapan のニュース:【吉德】吉徳これくしょん展示室「迎春展」開催中
- 同じ浅草・台東区の老舗:宮本卯之助商店(太鼓・神輿)/吉野屋商店(江戸提灯)
- 同じ江戸の手仕事の老舗:いせ辰(江戸千代紙)/江戸鼈甲屋(鼈甲細工)
- エリアから探す:東京都の老舗
老舗フェスティバル2026は10月3日に開催されました
agataJapanが主催する「老舗フェスティバル2026」は、2026年10月3日(土)10:00〜18:00、東京・日本橋の福徳の森と仲通り周辺(東京都中央区日本橋室町2-5-10)で開催されました。全国の老舗と「ご当地」の生産者が集まり、奉納能や老舗サミット、名店コラボなどの企画が並びました。
2026年の開催は終了しています。当日の出展者や企画の詳細、次回の開催情報は老舗フェスティバル2026の特設ページでご覧いただけます。
100年続く老舗の品を、お取り寄せで
「老舗通販.net」は、3代100年以上続く老舗だけが参加する通販サイトです。2010年の開設以来、全国の老舗の品を扱ってきました。遠方でお店に足を運べない方も、ここから取り寄せられます。
動画で見る日本の老舗
この回は、YouTubeチャンネル「日本の老舗」およびagataJapanが配信するご当主インタビュー番組「伝統はイノベーションの連続である」(CICライブ)の一本です。3代100年続いてきた老舗に、伝統と革新、家訓など普段あまり語られてこなかったことを聞く構成になっています。
ほかの老舗の回は、連載「動画で見る日本の老舗」の一覧からご覧いただけます。
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