代官山のヒルサイドテラスに、約800点の漆器が並ぶ店があります。山田平安堂(やまだへいあんどう)は大正8年(1919年)、東京・日本橋で「山田漆器店」として創業した漆器専門店。京都で修業した初代が、京漆器の魅力を東京に広めるために始めた店です。椀や皿だけでなく、文具やアクセサリー、海外ブランドとのコラボレーションまで手がける四代目ご当主・山田健太さんが、漆器を日常に戻すための試みを語ります。
山田平安堂 4代目ご当主 山田健太氏(CICライブ/YouTubeチャンネル「日本の老舗」)/再生時間:45分52秒/公開:2022年8月15日
動画の見どころ
この回は章立て(チャプター)が設定されていないため、話題の並びを目次の形に整理しました。
- 京都で修業した初代が、なぜ東京で京漆器の店を開いたのか
- 日本橋から代官山へ——三代目が店を移した理由
- 「漆器を身近に、もっと楽しく」というコンセプトの立て方
- 食器から文具・アクセサリーへ——品目を広げるときの線引き
- 塗り直しによる修理という、漆器ならではの付き合い方
- 海外ブランドとの協業が、老舗にもたらすもの
山田平安堂の創業は何年か
山田平安堂の創業は大正8年(1919年)です。京都の漆器屋で修業を積んだ初代・山田孝之助が、東京・日本橋で「山田漆器店」を創業しました。当時の東京には実用的で無骨な漆器が多く、京漆器の魅力を広めたいという志があったと伝えられます(agataJapanの老舗ページ「山田平安堂 代官山本店」・2026年10月7日確認)。2026年で創業107年になります。
店が代官山に移ったのは平成6年(1994年)です。三代目の「漆器をもっと若い方にも見ていただきたい」「漆器を通じてライフスタイルを提案したい」という思いから、日本橋を離れて代官山へ移転しました。移転先のヒルサイドテラスG棟は、建築家・槇文彦の設計でこの地区に段階的に建てられてきた複合施設の一棟(第6期・1992年竣工)です。老舗が自ら客層を選び直した移転だったことになります。
当代は四代目ご当主・山田健太さん。公式サイトは代表者名を公開していないため、本記事は動画の収録時点(2022年)の表記に合わせています。
「宮内庁御用達」をどう読むか
山田平安堂の公式サイトは、「漆器専門店として100年以上、宮内庁御用達を拝命しました先人達の伝統と技術を大切に受け継ぎながら」と記しています(2026年10月7日確認)。
ここは少し丁寧に見ておきたいところです。宮内省(宮内庁)の御用達制度そのものは、昭和29年(1954年)に廃止されています。日本広告審査機構(JARO)は「現在では『宮内庁御用達』という文言は、歴史的事実として表示するような場合を除き使えません」としています(J-CASTニュース 2023年12月8日・2026年10月7日確認)。つまりこの表記は、いま続いている資格ではなく、かつて皇室に納めた実績を指す歴史的な事実として読むのが正確です。山田平安堂の書き方も「拝命しました先人達の」と過去のこととして記されています。
漆器とは、どういうものか
漆器は、木地に漆(うるし)を幾度も塗り重ねて仕上げた器です。漆はウルシの木から採った樹液で、空気中の湿度を取り込みながら硬化します。工程は木地づくり、下地、中塗、上塗と重なり、蒔絵(まきえ)や沈金(ちんきん)といった加飾が加わります。
漆器の性質で見落とされがちなのが断熱性です。木製で熱を伝えにくいため、汁物を入れても手に熱さが届きにくく、中身は冷めにくい。椀が漆器であることには、見た目以上の理由があります。
そしてもう一つが直せることです。長く使って色が褪せたり擦り傷が目立ってきたりしても、塗り直しなどの修理を頼むことができます(agataJapanの老舗ページ・2026年10月7日確認)。割れにくく、直せて、縁起物とされる——結婚祝いの贈り物として選ばれてきたのは、この三つが揃っているからです。
何が名物か——800点の品揃えと協業
代官山本店には常に約800点が並びます。食器だけでなく、デスクが華やぐ文具や普段着にも馴染むアクセサリーまで扱うのが、この店の特徴です。引出物や各種記念品の相談、オリジナルの製作、修理の相談にも応じています(公式サイト・2026年10月7日確認)。
紹介されている逸品が「汁椀 溜(ため)」(11,000円)です。口縁部が外側に反った端反り(はたぞり)形で、口当たりがやわらかく飲みやすい。木製で断熱性が高く、汁物を温かいまま味わえます(agataJapanの老舗ページ・価格は変わることがあります)。
協業にも積極的です。チョコレートメーカーのGODIVA、高級時計・宝飾のChopardといった海外ブランドとのコラボレーションを手がけてきました。近年はポケモンの干支小椀を職人の手仕事で一点ずつ製作するシリーズを続けており、2026年3月には新絵柄「ポニータ」が発表されています(PR TIMES配信のプレスリリース 2026年3月26日・2026年10月7日確認)。
漆器は「しまっておくもの」になりがちな器です。文具にし、装身具にし、キャラクターと組む——どれも、漆器を棚から日常に戻すための手数と読めます。
代官山という場所
ヒルサイドテラスは、朝倉家が事業主となって1969年から1998年まで30年をかけて段階的に建てられた複合施設です。設計は槇文彦。旧山手通り沿いに住宅・店舗・オフィスが混ざって建ち並ぶ、代官山の街の骨格をつくった建築群として知られています。
日本橋は問屋と老舗の町、代官山は暮らしと感覚の町です。老舗が看板を同じまま、売る場所の性格を変えた——山田平安堂の移転は、商品ではなく立地で客層を動かした例として読むことができます。
店を訪ねる
- 住所:東京都渋谷区猿楽町18-12 ヒルサイドテラスG(代官山本店)
- 電話:03-3464-5541(FAX 03-3464-5543)
- 営業時間:10:30〜19:00(平日・土曜)/10:30〜18:30(日曜・祝日)
- 定休日:無休(年末年始・お盆休みあり)
- アクセス:東急東横線 代官山駅から徒歩3〜4分(急行・特急は停車しません)
- ほかの直営店:GINZA SIX店(銀座)
- 公式サイト:漆器 山田平安堂(オンラインショップあり)
※営業情報は山田平安堂の公式サイト「代官山本店のご案内」の記載によります(2026年10月7日確認)。agataJapanの老舗ページの記載と公式サイトは一致しています。価格は変わることがあります。
なお、山田平安堂は老舗通販.netには出店していません(2026年10月7日確認)。お取り寄せは公式オンラインショップからどうぞ。
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老舗フェスティバル2026 by agataJapan
agataJapanでは毎年、日本が世界に誇る老舗の技術と文化に触れられるイベント「老舗フェスティバル by agataJapan」を開催しています。2026年は10月3日(土)、東京・日本橋の福徳の森・仲通り周辺で開催し、老舗・ご当地マルシェ、日本酒の飲み比べ、当主が登壇する老舗サミットなどのセミナー、ステージパフォーマンスに多くの方にお越しいただきました。
- 日時:2026年10月3日(土)10:00〜18:00(終了)
- 会場:福徳の森・仲通り周辺(東京都中央区日本橋室町2-5-10)
- 詳細:老舗フェスティバル2026 特設ページ
- セミナー全編:老舗フェスティバル2026 セミナーアーカイブ(YouTube)
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チャンネル「日本の老舗」について
この動画は、YouTubeチャンネル「日本の老舗」で公開している当主インタビュー番組「伝統はイノベーションの連続である」(CICライブシリーズ)の一本です。3代100年続いてきた秘訣を、当主ご本人の言葉で聞く番組です。ほかの回は連載「動画で見る日本の老舗」からご覧ください。
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