日本橋の千疋屋総本店は、1834年(天保5年)創業。日本初の果物専門店として知られ、2026年で192年を迎えました。
その初代・弁蔵は、もともと侍だった——。老舗フェスティバル2026「老舗・ご当地サミット」(東京商工会議所枠)で、六代目・大島代次郎さんが、屋号の由来から海外展開まで、192年の歩みを語りました。
YouTubeチャンネル「日本の老舗」で公開したセミナー動画とあわせて、話の内容を紹介します。
収録:2026年10月3日 老舗フェスティバル2026(東京・日本橋)/再生時間:33分3秒
動画の見どころ
- 屋号「千疋」は、現在の越谷市にあった村の名前
- 初代は槍術の道場を営む侍。道場が立ち行かず果物の露天商に
- 「水菓子安売り処」から始まった商い
- 果物を「水菓子」と呼んだのは江戸だけ
- 二代目の妻と料亭のつながりが高級路線への転機に
- いまも10年ごとにブランドを見直している
チャプター
- 0:00 登壇者紹介
- 2:23 千疋屋総本店のパーパス
- 3:12 屋号「千疋」は越谷の村の名前
- 6:11 槍術の家の侍が果物商になるまで
- 8:01 親父橋のたもとの「水菓子安売り処」
- 11:27 果物を「水菓子」と呼んだのは江戸だけ
- 13:31 二代目と、料亭に通じた妻
- 15:34 日本橋室町へ——4階建ての店とフルーツ食堂
- 21:44 メロン栽培と関東大震災
- 23:45 10年ごとのブランディング
- 27:49 海外展開と新しい取り組み
- 30:41 家訓と、のれん分けの三店舗
「千疋」は村の名前、初代は侍
「千疋」という屋号は地名です。現在の埼玉県越谷市、JR武蔵野線の越谷レイクタウン駅から南へ歩いたあたりに、かつて千疋という村がありました。一帯は江戸近郊の桃の花見の名所で、桃をはじめ果物や野菜の産地。中川の舟運で江戸へ運んでいました。
初代・大島弁蔵は、その地で槍術の道場を営む侍の家の出でした。しかし江戸後期になると侍を志す人が減り、道場経営は立ち行かなくなります。そこで始めたのが、地元の果物を江戸へ運んで売る商いでした。
親父橋のたもとの「水菓子安売り処」
最初に店を出したのは、いまの人形町あたり、旧吉原にかかっていた親父橋のたもと。芝居小屋が集まり庶民でにぎわう場所で、掲げた看板は「水菓子安売り処」でした。おいしい果物をなるべく安く、という商売です。
大島さんによれば、果物を「水菓子」と呼んだのは江戸の市中だけ。全国から人と食が集まる江戸は舌の肥えたグルメの町で、そこへ果物を供給する産地も味を磨いた。それが、見た目まで意識した日本独自のギフト用果物の文化につながっている、といいます。
料亭とのつながり、そして日本橋室町へ
転機は二代目の時代。二代目の妻は、高級料亭が集まる場所でお茶出しをしていた人で、料亭に顔が利きました。そこから千疋屋の果物が料亭のデザートに使われるようになり、高級果物店へと舵を切っていきます。三代目からは代々「代次郎」を名乗り、明治の中頃、にぎわう中央通り沿いの日本橋室町へ移りました。
4階建ての店の1階は果物店、2階は果物食堂——まだ「フルーツパーラー」という言葉もない時代です。のちにメロン栽培にも取り組み、関東大震災も乗り越えました。
10年ごとのブランディング
現代の千疋屋総本店は、およそ10年ごとにブランドを見直しています。昔は30年に一度でよかったものが、いまは10年で変わる、と大島さん。アジアの百貨店への出店や米国西海岸の高級スーパーとの取引、コロナ禍に生まれたQRコードで果物を贈れるオンラインギフト、ブランドとのコラボレーションなど、新しい取り組みも紹介されました。
最後に示されたのは、創業者・弁蔵が残した家訓。元が侍だったからこそ「謙虚であれ」——その精神を、のれん分けした三店舗で共有しているそうです。
買う・調べる
- 千疋屋総本店 日本橋本店 フルーツパーラー:agataJapanの紹介ページ
- 東京の老舗の品を探す:老舗通販.net「東京土産」
- 同じ日本橋の老舗:榮太樓總本鋪(飴・金鍔)/山本海苔店(味付け海苔)/にんべん(鰹節)
- 同じ中央区の老舗:銀座松崎煎餅(瓦煎餅)/梅花亭(どら焼き)
- エリアから探す:東京都の老舗
※千疋屋総本店の品は、老舗通販.netでは現在取り扱いがありません(2026年10月4日確認)。日本橋本店か公式オンラインショップでお求めください。
老舗フェスティバル2026について
agataJapanでは毎年、日本が世界に誇る老舗の技術と文化に触れられるイベント「老舗フェスティバル by agataJapan」を開催しています。2026年は10月3日(土)、日本橋の福徳の森・仲通り周辺で開催し、老舗・ご当地マルシェ、日本酒の飲み比べ、老舗サミットなどのセミナー、ステージパフォーマンスに多くの方にお越しいただきました。
- イベント詳細:老舗フェスティバル2026 by agataJapan
- 特設ページ:老舗通販.net 老舗フェスティバル2026特設ページ
- セミナー全編:老舗フェスティバル2026 セミナーアーカイブ(YouTube)
100年続く老舗の品を、お取り寄せで
「老舗通販.net」は、3代100年以上続く老舗だけが参加する通販サイトです。2010年の開設以来、全国の老舗の品を扱ってきました。遠方でお店に足を運べない方も、ここから取り寄せられます。
YouTubeチャンネル「日本の老舗」
この動画を公開しているYouTubeチャンネル「日本の老舗」では、創業100年を超える老舗の当主へのインタビューや、老舗フェスティバルのセミナーを配信しています。ほかの回は動画で見る日本の老舗からご覧ください。
老舗のブランディング・販路開拓のご相談
スターマーク株式会社は、老舗通販.net の運営とagataJapanのメディア運営を通じて、老舗の魅力を国内外に伝える仕事をしています。自社の歴史や技術をどう伝えればよいか、ECや海外向けの販路をどう広げるか——そうしたご相談はスターマークのお問合せフォームからお寄せください。






